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深夜の独り言 31

14分です。私が眠って、起きるまでの時間。14分間の夢を見て、息を切らして、汗だくで目を覚まして、たった14分しか経っていないことに驚く。また、14分眠る。

バイト先でいろいろ、ほんとうにいろいろあって、そのせいかはわからないけれど不眠気味です。調子のいい日は眠れるのですが、そうでない日は浅い眠りを繰り返しています。

教職用の授業を受けています。

すべての生徒に当てはまる万能な指導方法は存在しないのだそうです。これはATI(適正処遇交互作用)概念と言って、教育心理学者のクロンバックが提唱しています。学習者の個性と教育者の指導方法には相性がある。

私は個別指導塾でバイトをしています。個別指導塾は近年人気が高まっているようですね。どうしても一斉指導しか行えない学校と違って、個性に合わせて指導ができる。

しかし、個別指導の恐ろしいところは、まさにそこだと思います。一人ひとりに合わせて指導をする。だから、理解が遅い生徒には、はじめから、難しいことの説明をしない先生がいるのです。ここは暗記だから、覚えようね、なんて、嘘八百。理解させるのはたしかに大変だけれど、そうやってさぼっていたら、いつまでもできないままなのに。

私はそう思っていました。だから、ゆっくりでも説明をしたかった。でもそうではない生徒もいるんですよね。勉強が好きではない子、どうせこの先数学を活かしていく気なんてまるでない子は、テストだけ乗り切ればいいと思っている。そういう教育を、受けてきている。実際にそれで何も困ることがない。

わかる喜びを、数式が自分のものになる感覚を、味わったことのないまま諦めている子どもがいるなんて。目の前に体系的に新しい問いが浮かび上がってひとつひとつ解決していくと、だんだんと世界ができあがります。その世界が、自分の成長とともに大きくなっていくのが学ぶ幸せというものでしょう。生徒が自分で考えてひとつ成長をするたびに、私は万歳をするし、生徒が赤くなるくらい褒めちぎるし、一緒に幸せになります。そのくらい、嬉しいことなのに。

私の思っていたよりも、世の中は深刻なようです。私のそういう考えは一方的で、今では勉強を楽しいと思う子どもなんて絶滅危惧、ただ定期テストのたびに行うべき作業を覚え、先生たちもそれがわかっているから、なんなら先生たち自身も勉強の楽しさなんてこれっぽっちもわかっていないから、どんどん余計につまらなくなっていく。

私は「いい」先生になりたい。勉強はこんなに楽しくて、奥が深くて、繊細だ。もちろん大変だし、覚えるのは面倒だけれど、そのぶんやりがいがあると教えたい。でも、初めから勉強はつまらないと決めつけている生徒に、どうしたらそれを伝えられるのでしょう。

こんな世の中、馬鹿みたいだ。夢は浅く、儚く、すぐに覚めてしまいます。バイト先で起こったいろいろが、私を苦しめています。ただのバイトなのに、本部と校舎長の間で板挟みになって、仮面を被っています。せめて、生徒たちを不安にさせないように、笑顔で嘘をつきます。未来は明るいよと。

世界は広いよと。


教えたい夜に、



深夜の独り言。

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