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夜のお話です。 闇の中、布団の中、月に照らされた中で、昼とは違う一面を見せて大胆になったり、記憶を呼び起こして懐かしんだりするようです。
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#短編小説

月夜の口紅 エピローグ

月夜の口紅 エピローグ

月夜の口紅 1/4

 冬場は日が暮れるのが早い。住野くんが小さなあくびをして、もう外真っ暗じゃん、と呟いた。交換ノートを閉じて立ち上がる。

「そろそろ昇降口閉まるから早く帰りなよ」

 嫌がる住野くんを急かす。ボールペンを、かち、かち、かち。

「わかったよ、帰ればいいんでしょ。帰るから怒らないでくださいよ」

 住野くんは出していた筆箱と裏紙の束を鞄に詰め込んで、きいと音を立てながら椅子を引

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月夜の口紅 3/4

月夜の口紅 3/4

月夜の口紅 2/4

月夜の口紅 1/4

 真っ暗な夜。風もなくて、雲が分厚くて、月は隠れて、じめじめした夜。汗が滲んでいく。

 川へ行く道は足が覚えている。風が湿ってきた。セーラー服の襟は風になびいて、リボンがめくれ返って首をなぞる。

 あれ、私、鞄はどうしたかな。授業のノートが詰まった学生鞄。今日習ったところを復習しなくちゃいけないのに。玄関に置いてきたんだっけ、それとも、走っている途中

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