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夜のお話です。 闇の中、布団の中、月に照らされた中で、昼とは違う一面を見せて大胆になったり、記憶を呼び起こして懐かしんだりするようです。
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2020年8月の記事一覧

話してくれないから

 「今日どうだった?」

夜の十一時、野菜炒めと味噌汁を温めて机に並べる。いただきます、と手を合わせてから、陽菜が黙々と頬張っていたところだった。

「普通」

いつも通りの素っ気ない返事。高校三年生にもなれば反抗期も終わるかと思っていたが、未だに心を開いてはくれないようだ。最近は塾で帰りも遅いし、陽菜が毎日何を考えて過ごしているのかさっぱりわからない。大学受験のために毎日勉強を頑張っているようだ

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