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LE SSERAFIM (르세라핌) EASY TRAILER 'Good Bones' が大好き

今月19日にリリース予定のルセラフィムのミニアルバム『EASY』のトレイラーが10日ほど前に公開されました。


ルセラフィム(LE SSERAFIM(르세라핌))

ルセラフィムというグループは、恐れるものは何もないというI'm fearlessをアナグラムしていて、周囲に惑わされず、自分の道を突き進むカッコいいグループ(ルセラフィムのメンバーは自分たちのグループを紹介するために自分たちのことを「カッコいい」ものとして紹介することがある。(例:異なる国籍の友達を作る方法 (feat.LE SSERAFIM)"https://www.youtube.com/watch?v=KMIhIdDSQ_A")
そんな、カッコいいを自称するグループが、何か困難が訪れたときに間違ってもキツいとか辛いとかは、なかなか言いづらい。
ここまで出したミニアルバムにタイトルが「FEARLESS」「ANTIFRAGILE」。ここに「EASY」が加わることになる。

EASY TRAILER 'Good Bones'

トレイラーは各メンバーがソロでフィーチャーされ、交代で場面が展開されていく。トラックはアルバム「UNFORGIVEN」にあったような、インタールード系のトラック、メンバーが(途中一か所を除き)それぞれ母国語で台詞を述べていくスタイル。最後にキーフレーズをユニゾンでリフレインする。
台詞に重なる彼女たち一人ひとりの所作や服装に、ルセラフィムというグループの在り方と「EASY」というタイトルに込めたメッセージが込められている。

チェウォン

まず登場するのはリーダーのチェウォン。
バスケットボールが入った青色のビニール袋を手に取って「It's EASY.」と呟き、部屋を出るところから始まる。展開される台詞のテーマは運。
ルセラフィムというグループは、昨年においてK-POPで間違いなく大成功した活動を言って申し分なかったと思いますが、そういうことを快く思わない人たちも当然いて、彼女たちの耳には賛辞や称賛だけではなく、心無い言葉を浴びせられたということも一度や二度ではすまなかったことでしょう。そういうものに対するルセラフィムからの意思表示、一種の回答としてもこのトレイラーはできているようにみえます。好き。

まず、印象的なのがこのチェウォンのシーンにおいてのみ、5人全員が述べる台詞があるということ。ここが韓国語だというのが、まず好きです。K-POPグループとして5人で言うことを主戦場である韓国語に意図的にしている、他の台詞では英語と日本語を交えているわけですから。私は韓国語が分かりませんが、日本語字幕だと「世の中が私たちにだけ易しいと思う?」と出てきます。やさしいというのは、世の中からの待遇ということであれば、「優しい」という漢字をあててしまいそうなものですが、トレイラーが「EASY」であるから「易しい」というのをあてている。こういう細部までこだわりを感じるところも私がルセラフィムを好きな理由のひとつです。

このセリフの後に、個人的に印象的なシーンが流れるのですが、ユンジンが高速で歩いてきて、チェウォンにぶつかって振り向きも悪びれもせずに通り過ぎていきます。チェウォンはこのときに持っていた袋を落としてしまいます。身長差が10センチ程度なので、そこそこ体格差があるので、路上でぶつかられたらそりゃそうなるよね。しかも、そのときの台詞はユンジンが英語で「自分らしく生きているってだけの理由でその人をけなしていいと思う?」というものです。いや、ユンジン、確かにけなしてないけど、チェウォンを轢いてる……。チェウォンはぶつかってきたユンジンを一瞥すると、袋を拾って、また進んでいきます。

私がこのシーンが印象に残った理由として、アイドルグループとしてのトレイラーなので別にこういうシーンは必要ないと思うのですが(むしろ、こういうメンバー同士の(身体的にしろ、精神的にしろ)ぶつかり合いというのはもうちょっとドキュメンタリーなところで映えるものだと思うのですが、トレイラーに入れ込んできたということは、メンバー間においても馴れ合いのような関係はないということでしょう。だから、ユンジンは振り向かないし、チェウォンがぶつかってきたユンジンに対して何かするということはないし、落としたものを拾って、進んでいくというところに、ミスだとか、できないものに対するタフさ、諦めの悪さの演出だと感じました。好きです。

ユンジン

チェウォンの次は、ユンジンのシーン。ルセラフィムのマークが印刷された潰れた紙コップを手に取り、ストローの包装を紙で食いちぎり、ブラトップに超ショートパンツ、実質インナーにダウンコートを着て練り歩くユンジン。超カッコいい~~~。紙コップが最初は潰れていて、そこから飲み物を入れる効果音が入っていて、それを飲み始めているので、これはユンジンが手に取ってユンジンの何某かが注入されて、それをユンジンが飲んでいるので、マジでどういうことなの?という感じですが、もう本当にユンジンがひたすらカッコいいということにつきます、ユンジンが好きなんだ、俺は……。(ユンジン以外ももちろんカッコいいですし、好きですぞ~)

ウンチェ

ユンジンカッコいいカッコいいカッコいい……と思っていると黒いパーカー、黒いパンツ、ガーリーなバッグを持った金髪のウンチェが現れて、ユンジンは紙コップを彼女に渡します。こうしてウンチェのシーンへ。台詞は運の話から、人生の話に移行します。人生の苦しみは半分で、残り半分を埋めるのは自分にかかっている。そうして調子で続いていく台詞が途中で切れて、ウンチェが階段で足を踏み外して転落しますが、実際に転落したのはスタントマンなので大丈夫です。無傷のウンチェは機械的な所作で体を起こし、顔を上げると、後光を浴びた天使のカズハが歩み寄り、ウンチェは彼女とタッチを交わします。ウンチェが階段から落ちても無傷で、少々機械的な所作をするところは、アイドルがステージで表現するという非日常、非人間性を表しているのと同時に、マンネのウンチェが持つ純粋さ、無垢なものを感じる演出でした。ウンチェや~。

カズハ

カズハは「UNFORGIVEN」のMVから繋がっているような、片翼が折れた天使の衣装で登場します。ショートパンツを履いているものの、薄いレースのスカートを身にまとっていることでかなり歩きにくそうに見えるのですが、結構な早歩きをしています。台詞は人生の話から、内省的、個人的なものに移行します。自分で選んだ道への情熱、その過程での苦しみ、見えない未来、つらい。でも、やめない。
早歩きをしたいのであれば、機能的な服装で歩くことが合理的なのですが、そうしない。人の選択は必ずしも合理的ではないけど、自分が選んだ服と自分が望む歩みの速度にズレがあるのであれば、それを克服するために自分ができることをする。カズハのリアルなバックグラウンド、ルセラフィムとしてのパフォーマンス、トレイラーの狙いと台詞が分かりやすくかみ合った良いシーンだと思います。好き。

カズハが練り歩いていった先で、サクラは眠りについています。このトレイラーを進めていくためにはサクラを起こす必要があるのですが、私が個人的に一番好きなシーンがカズハがサクラを起こすシーンです。カズハが頭元、枕のような位置を足で2回ほど小突くんですよね。ここの行儀の悪さというか、柄の悪さみたいなところが本当に好き。年齢的にもサクラが年上ですし、アイドル歴ということであれば、それこそカズハの大先輩にあたるわけですが、メンバー間の関係性はフラットというか、求めたパフォーマンスを発揮するためには、先輩後輩とかは関係ないということを感じます。ここは、チェウォンとユンジンの衝突のシーンでも感じるところではありますね。

サクラ

小突かれたサクラが目を覚ますシーンがこのトレイラーのサムネイルになっています。サクラの周りには花が配されていますが、白や黄の芍薬、牡丹(に、個人的には見えます。本当かは分からない)が配されていて、ここには「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という美しい女性グループであることを暗に述べているのかなと。

目を覚ましたサクラが衣装を整えたシーンで、このトレイラーにおいて恐らく最も重要な台詞がユンジンの英語で述べられます。運、人生、個人的な感情などいろいろあるけれど、ルセラフィムとして私たちの活動は「簡単に見えるようにやってのけただけだから(Because I've made look it easy)」それまでのことだと。この際、私たちがやっている内容とか質、やるまでの過程は脇に置いておいて、簡単に見えるようにやっていると。楽に売れやがってという批判に対して、楽に見えるようにやっているのだから、それはそうだよねという返答。強い。この台詞はルセラフィムのインスタグラムでも引用されたうえで画像が展開されています。

サクラが進んだ先は、コンクリートの行き止まりでした。でも、ルセラフィムのオンニのサクラがこの程度の壁を超えられないわけがありません。EASY, CRAZY, HOT I can make it というユニゾンフレーズのリフレインの中で淡色のビームがサクラの2つの瞳から放たれたかと思うと、コンクリートの壁はみるみるうちに溶けていったかと思うと、突然、爆発。一仕事終え、鼻血を垂らしたサクラの顔がアップになります。そして言い放つ「EASY」。
それって本当に「EASY」なの?と見ている側に感じさせるところが好きで、なぜ好きかというと、そこにルセラフィムというアイドルグループの人間的な側面や体温を感じるからです。それでもルセラフィムは「EASY」と言ってのけますという意志表明、所信演説、宣誓のようなものかもしれません。それにしても、壁が何で爆発するのかよく分からない。ANTIFRAGILEのときといい、強さを爆発や衝突で描こうとするとどこかコミカルになってしまうのがルセラフィムの良いところなんじゃないかなと思います。

再びチェウォン

終わった感がある演出ではあるのですが、まだトレイラーは終わりではありません。サクラが放ったビームは海を越えます。そのビームに包まれながら、チェウォンはスラムダンクを決めます。物理的なスケールが大きすぎて私には理解ができません。確かにそういえば、チェウォンが持ってた袋にはバスケットボールが入ってたけど、チェウォンが言ってた「It's EASY」ってダンクくらい簡単だってことだったんですね。
ここでビームが海を越えるのにも意味があって、遠く離れていてもルセラフィムは5人組だという繋がりでしょう。バスケットボールを選んだところには、チェウォンがアメリカ遠征の際、体調不良で一人乗り遅れたことに対するちょっとした遊び心もあると思いますが、そういうことだと思います。

アウトロ

ルセラフィムのマークに緑色が発光。ディレクター、クリエイティブディレクターの名前が緑色で表示され、画面は電線で充電しながらおやつを食べてるユンジンが映しだされます、かわいいですね。
その後、5人が寝ころびながら充電していて、右端には充電だけでは飽き足らずケーキを食べてるウンチェがいます。かわいいですね。
そして映し出されるMAKE IT LOOK EASY。簡単にやっているように見えるのではなく、簡単にやる、簡単にやれるようになるまでやる、ということでしょうか。ルセラフィム、ファイティン!

雑感

さて、トレイラーには'Good Bones'という単語が付されています。曲名でしょうか、その割に、この単語は印象的な台詞にはなっていなかったように思います。育ちが良い、なんていう慣用句に使われる表現だそうですが、アイドルグループは何かと見た目で評価されがちですが、私たちは中身も良いんだぜというメッセージ、といったところでしょうか。知らんけど。

そして、彼女たちが紡いでいる台詞はルセラフィムのためだけのものでなければ、K-POPアイドルのためでもなく、女性のためだけの言葉でもない。それは、すべての、努力と運に裏打ちされ、成功を収めた人たちへのバッシングに対する声を代弁している。その点において、ルセラフィムはガルクラの先の価値観に手を伸ばしている、と贔屓目で彼女たちを見てしまう私は思っています。UNFORGIVENにおいて、"unforgiven boys"と歌っていたものの、Eve, Psyche & the Bluebeard’s wifeではgirlsだけになったことを思うと、強く生きる女性の味方という一面が強いことは間違いないですが。

そういうわけで、このトレイラーが大好きだということを滔々と述べてきましたが、EASYが楽しみです。では、ごきげんよう。


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