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2025年、人類が再び月に降り立つ筈のアルテミス計画は失敗しました。

 これは素人の個人的研究に基づく予言ですので本気にする必要など1mmもありません。また、この記事はつまらない事実陳列罪でもあり、もしあなたがこの記事を根拠として何かを話した場合、あなたの名誉を傷付けることになるでしょう。
 しかしながらアルテミス計画の不都合な事実を横断的に述べた日本語記事としては、本記事が最大のものとなるでしょう。なぜなら、このようなDisりを行うインセンティブが、政府にもメディアにも企業にも存在しないためです。
 要は私だけが気付いた真実(苦笑)です。そんな駄文を読む価値はないでしょう。

 キラキラした夢の宇宙開発の話をお望みの方はこのような本を読まれてはいかがでしょうか?警告は以上です。

ナンセンスな月面往還機

非効率な有人月面往還機

 アポロ計画(アポロ11号)では3人を月周回軌道へ送り、うち2人が月面に着陸しました。この輸送システムのうち飛行する宇宙船と月面往還機、そして打上機は合計で約2,800tでした。
 アルテミス計画(アルテミス3号)では3人を月面に着陸させる予定であり、この輸送システムのうち月周辺軌道への宇宙船と打上機が約2,600t、月面往還機を運用するのに約4,900tの打上機/宇宙船を7回程度発射する必要があり、合計37,100t程度となります。更に月周辺軌道に中継基地を作る為に追加で数千tの発射が必要です。月面着陸1人あたりに必要な打上質量はアポロ計画で約1,400tに対し、アルテミス計画では約12,400t(以上)と、恐ろしく非効率です

Artist’s rendering of SpaceX Starship human lander design. NASA

 効率が悪い理由は幾つかあります。
 ひとつはロケット技術の化学的な効率の限界は既に1960年代にほぼ達成しており、その後の効率面での進歩は殆ど無いためです。世界中の組織が僅か数%の差を詰めたり妥協したりしているのが現状です(つまり現在、多くの場合は化学的な効率以外の部分で勝負が行われています)。よって現在アポロ計画と同じようなことをしたとしても、大幅な質量効率の改善は見込めないでしょう。
 とはいえ集積回路の高密度化や、蓄電池のエネルギー密度の向上、より比強度の高い材料などの進歩がある現在、月面着陸1人あたり1,100t程度まで詰められる筈です。アルテミス計画においてこの値が10倍以上悪化している主要な理由は、月面往還機が巨大である点と、システムが過度に単純な点にあります。
 2023年夏時点でNASAは月面往還機にSpaceX社のStarship HLSを採用しており、アポロ計画での月面往還機は約16t(空虚重量約5t)の2段式であるのに対して、Starship HLSは1,200t(空虚質量約100t)程度の単段式です。一般論として、この種の輸送機は多段式にした方が質量効率が向上します。多段式として分割すればするほどシステムとしては複雑になり、開発難度は向上しますが、力学的には効率が良くなります(詳しくは近所のロケット工学を学んだ方にお訊ねください)。しかしアルテミス計画では単段式を採用したために、非常に巨大な月面往還機とならざるを得ません。
 空虚質量ベースでは1人あたりアポロ2.5t、アルテミス33.3tと、非常に非効率となっています
 このような形を採る根拠として多くの資材を月面に輸送したいというニーズに応じる為と説明することはできます。より大きな質量を下すにはより大きな着陸機が必要となる事は力学的に合理的です。
 しかし月面に資材を下した後の月面往還機の任務は3人の人間と幾ばくかの月面サンプルを月近傍軌道へ上げるだけであり、明らかに過大な、物理的合理性に欠く輸送機といえます

再使用できない再使用機 Starship

 2023年夏時点でSpaceX社が開発中のStarship/Superheavyシステムは全段再使用可能な宇宙船/打上機システムです。Starship HLSはStarshipの派生型です。これもまた再使用可能な輸送機であり、再使用をすれば地球から発射する質量を削減できるように思うかもしれません。
 しかしながらこれを再使用するためには月周辺軌道で生命維持等の消耗品の他に推進剤(燃料)を補給してやる必要があります。その推進剤を輸送する補給機は1度の発射分では足りず、複数回発射して地球低軌道で補給機に補給機で補給する事を繰り返す必要があります。ブラック・バック作戦での空中給油機の動きほど複雑ではないにせよ、やっている事は本質的に同様です。

 このような手間とリスクを取って月面往還機を再使用するくらいなら、新造したStarship HLSを上げても質量効率は大差ありません。

Artemis III Concept of Operations NASA https://ntrs.nasa.gov/citations/20220003725

 そして更に致命的な点として、次の月面ミッションで月面に展開するはずの大質量大容量ペイロードを地球から、再使用する月面往還機に持ち込む手段が事実上存在しません。Starship HLS(Human Landing System)はその名前に反し、本質的には大質量大容量ペイロードのついでに人間を載せていく輸送機であり、つまり大質量大容量ペイロードを搭載しないStarship HLSはでくの坊に過ぎません。

 このような理由から、Starship HLSを再使用する事は力学的に非効率といえます。

2025年?計画は更に遅延します

 月面着陸はStarship HLSに委ねられていますが、2023年夏現在、Starship/Superheavyの飛行は成功していません。既に1度の試験飛行が行われましたが、エンジンの故障や飛行終了システムおよび推進剤分散システムが想定通り機能しなかったという致命的問題が複数発生しました。そして地上設備は想定外の破壊に見舞われました。
 この機体はStarshipファミリーのどのモデルにあたるとも言い難い試験機であり、有人飛行に必要な機器の一部の試験は行われているでしょうが総体としては全く有人宇宙船の体を成していません。
 またイーロンマスクさんは当初の予定よりもエンジンの増強を行う旨の発言をしており、これは機体の根本的な設計変更を意味します。

 Starship HLSに人間を乗せて月面着陸を行うには少なくともStarshipの地球低軌道飛行を済ませる必要があり、無人による月面離着陸も一度は成功させておきたいでしょう。
 何十か月かかると雑な予想を言うのも憚られるほど時間がかかることは明らかであり、、、などという記事を書いているうちに、再延期が発表されました。予言が当たってよかった。

「アルテミス計画」延期を発表 NASA - ライブドアニュース (livedoor.com)

 今回の発表では2026年9月以降とされています。次の延期報告はいつでしょう。わくわくしますね。私はアルテミス計画の全面撤回が最も正しい道だと思いますが。

ナンセンスな打上機SLS

廃品活用なのに新造されるエンジン

 アルテミス計画を構成する要素の中で最も派手と言えるものは新型打上機のSLS(Space Launch System)でしょう。
 目玉の要素として既に退役したスペースシャトルに使われていた高性能な再使用エンジンRS-25を採用し、推進剤タンクもまたスペースシャトルのそれを使う。それによって開発期間と開発コストを下げるという触れ込みでした。

STS-36 Atlantis, Orbiter Vehicle (OV) 104, with nose landing gear (NLG) and main landing gear (MLG) deployed glides above Runway 23 dry lake bed at Edwards Air Force Base (EAFB), California prior to touchdown. OV-104’s port side and space shuttle main engines (SSMEs) are visible. NASA

 一方SLSは使い捨て打上機であり、つまり再使用エンジンであるRS-25を使い捨てにすることを意味します。またRS-25をそのまま使う事は出来ず、1発あたり数億円のコストをかけてSLS用に改造する必要があります。

 RS-25の廃品利用によってコストを下げるという話であった一方、アルテミス計画全体で必要なエンジンの数に対して在庫のRS-25が不足しており、アルテミス計画を完遂する為にはこの高価なエンジンを新造する必要があります。
 廃品利用という最初の話と全く異なり、詐欺的な計画と評せます。

 推進剤タンクの設計を流用するという話ですが、スペースシャトルのタンクをそのまま使うわけにいきません。

The space shuttle Discovery is seen on launch Pad 39a after the Rotating Service Structure (RSS) is rolled back on Wednesday, Nov. 3, 2010 at the NASA Kennedy Space Center in Cape Canaveral, Fla. During space shuttle Discovery's final spaceflight, the STS-133 crew members will take important spare parts to the International Space Station along with the Express Logistics Carrier-4. Photo Credit: (NASA/Bill Ingalls)

 スペースシャトルの推進剤タンク(ET)は主に自重および空力的な荷重に耐える構造ですが、SLSでは前部にオリオン宇宙船を乗せる都合、そして後部にエンジンを付ける都合で、ETよりも前後方向の荷重はより大きくなっています。つまるところ根本的な再設計が必要であり、実質的には新型タンクです。

Artist Concept: Space Launch System in Flight This artist concept shows NASA’s new rocket, the Space Launch System (SLS), in its Block 1 crew vehicle configuration. The SLS is a super-heavy-lift rocket that will provide an entirely new capability human exploration beyond Earth’s orbit.

ナンセンスな宇宙船オリオン

過大なオリオン宇宙船

 最大6名が乗務できるとされていますが、実際に月面着陸を行う人員は3名であり、3名分は余剰座席となります。中継基地LOP-Gに月面に降りない要員を長期滞在させる場合にはこの席を埋める事もできますが、あくまで緊急用として空席が設定されています。

An artist’s impression of the Orion crew capsule with ESA’s service module.

 このようにアルテミス計画とはミスマッチな過大な宇宙船ですが、これが採用された理由は既存の打上機ではミッションが達成できない仕組みにする為、つまりSLSの新規開発に合理性を持たせるためであり、月面着陸の為に必要だから設計したわけではないという実に歪な動機に基づいています。
 また宇宙船のesaとの共同開発も政治的動機であり、開発の為の開発という色が非常に色濃い計画です。

 もしロバート・ゴダードがアルテミス計画を見たら、全力でぶん殴りにくるでしょう。いや、既に他人に期待するのを諦めているでしょうか。

月着陸とは無関係な飛行計画 アルテミス1号

 2022年11月16日にケープケネディから発射されたアルテミス1号機は月フライバイから月高軌道へ遷移、そして約半月後に再び地球へ帰還しました。

【特集】「アルテミス1」有人月面探査計画の最初のミッション | sorae 宇宙へのポータルサイト

 アルテミス計画で月面着陸に必要な飛行経路は
地球-地球低軌道-月遷移軌道-月の南北軌道(LOP-G)-地球遷移軌道-地球
です。一方アルテミス1の飛行経路は
地球-地球低軌道-月遷移軌道-月の東西軌道-地球遷移軌道-地球
です。
 同じ月周辺空間であっても明らかに行先が異なります。LOP-Gへのドッキング試験も行われておらず、非効率な飛行試験と評さざるをえません。
 もっともLOP-Gはまだ影も形も存在しないのですから、試験のしようもないわけですが。

何の価値もない中継基地LOP-G

妥協の産物

 アルテミス計画では月重力と地球重力の中間的な月高軌道にLOP-Gと称する宇宙ステーションを設け、友人月面往還ミッションではそこで前述のStarship HLSと宇宙船オリオンの乗り継ぎを行います。

 アポロ計画では3人乗りのカプセルを月低軌道に送り、2人乗りの月着陸船を分離して月面往還を行いました。一方アルテミス計画では月高軌道を使います。

 力学的には、月低軌道よりも月高軌道の方が地球から力学的に少ない力で行けます。一方で、月高軌道から月面へ、月面から月高軌道へという行路は、月低軌道から月面へ、月面から月低軌道へという行路よりも多くの力が必要です。
 ニュートンはビタ1文負けてくれません。

 LOP-Gが月高軌道に置かれる以上、Starship HLSは月面と月高軌道の間を往復せざるを得ず、これがStarship HLS肥大化の一因です。

 ではLOP-Gがなぜ月高軌道に置かれるのか。それは単純に、オリオン宇宙船が巨大すぎ、地球から月低軌道まで到達できない為です。

嘘の説明-火星への中継基地

 地球から火星遷移軌道に行くために必要な速度変化量は概ね12.6km/sです。
 月面への速度変化量は14.66km/sです。
 月面へ行くよりも火星遷移軌道の方が近いのです。
 火星面へ着陸するには追加で速度変化量が必要ですが、火星大気を用いた制動(エアロブレーキング)を用いればかなり「負けて」貰えます。

 アルテミス計画では、将来月面開発を行い、月面の水を推進剤として用いることで火星開発の中継基地となると説明されています。

JAXAの月面水素資源利用RFIから読める事と読めない事|OttoBikkuri (note.com)

 しかし月面往還を加味すると月軌道に推進剤を持ち上げるのに必要な速度変化量は17.2km/sにもなり、火星へ直行するよりもずっと多くの速度変化量が必要になります。月面と月軌道の往復が推進剤とそれを積んだ往還船だけである事を加味しても明らかに遠回りであり、また火星行路の計画が複雑化する要因となり、それはリスクそのものです。
 これはまったく不合理な話ですが、当然米国では考慮されています。
 如何様に考慮されたかと言えば、月面開発利権の派閥と火星開発を行いたい派閥の折衷案であり、つまるところ妥協の産物に過ぎません。

アメリカ人を再び月へ…劣勢トランプの切り札「アルテミス計画」の壮大な中身 「中国には負けるわけにいかない」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 LOP-Gは火星への中継基地ではなく、紛れもない月面への中継基地であり、それ以上の価値を持たせるには月面に膨大な質量の投下、つまり月の氷を採集し、精製し、水素と酸素に分解し、貯蔵し、輸送する為の莫大な投資が必要です。
 この事実を評するなら「嘘」と言うのが最もシンプルでしょう。

LOP-Gには負の価値しかない

 アルテミス計画の中の目玉である有人月面往還では中継地点となるLOP-Gですが、ここに科学実験設備を設ける計画です。
 地球からここへ至るためには約12.2km/sほどの速度変化量が必要です。
 一方地球低軌道には既に国際宇宙ステーション(ISS)や中国の宇宙ステーションが存在し、地球から9.0km/sほどの速度変化量が必要になります。つまりLOP-Gへ行くには約3.2km/sの速度変化を追加で支払う必要があります。
 ISSでは主に微小重力環境実験(いわゆる無重力)が行われており、政府機関や企業が利用しています(期待された割にその成果はあまり取りざたされませんが)。

ISSのこれまでの成果と今後の活用の在り方について (cao.go.jp)

 ISSの微小重力環境はわりと微小重力の度合いが低く、より重力加速度の少ない環境を求める種類の実験が存在するのは事実であり、LOP-Gはその種の実験を行うのに適している可能性があります。その反面、高い微小重力度合いが必要な実験は稀なため、おそらくLOP-Gでは地球低軌道でも全く問題なくできるような植物栽培実験や人体実験の類、そして子供騙しの「科学実験」が行われるでしょう。しかし実際のところそれらは全くの無駄です。

 また前述のようにLOP-Gに行くには地球低軌道へ行くのに加えて3.2km/sの速度変化を追加で支払う必要があり、そのコストは(3.2+9)/9=1.35倍、という単純なものではなく、実際には持っていける貨物の量が数分の1から10分の1以下となり、それに応じてコストが上昇、つまり数倍から10倍以上に向上します。
 これはISSに100kgの実験試料を持っていける金額で、LOP-Gには10kgしか持ち込めないといった形で反映されます。この点で、LOP-Gを宇宙実験室として用いるのは非効率であり、ISSのように地球低軌道に実験室を設けた方が圧倒的に効率的といえます。

月面へ行って何をする?

 1969年のアポロ11号によって月面には神もウサギも宇宙人もニュータイプも居ない事が月面の直接探査によって明らかになり、宗教や民間伝承や陰謀論が単なるデタラメである事が証明されました。
 「アポロは月へ行っていない」だって?寝てるの?じゃぁ一生寝ててください。

 月面はまさに何もない環境であり、約半月間続く極寒の夜は、機械ですら生き残るのが困難です。ここを冒険したところで喜ぶのは地質学者と冒険家だけ。あとはチンケな功名心を満たす程度の役にしかたちません。その為に必要なリソースは、膨大な量の燃料と液体酸素とそれらを動かす各種の機器、それらを作り運用する膨大な数の人間です。
 個人や企業が遊びでやる分には「どうぞご勝手に」で済みますが、国を挙げて金と人員を大量に投入するのは如何なものでしょうか。オリンピックや万博のように、愚民を喜ばせる手段と考えているのでしょう。
 それはそれで無価値とは言い切れませんが、それを国内の企業に仕事として投げるならまだしも、米国に任せたところで、日本国のマトモな企業に一体どういう効果があるといえるのでしょう?たとえるなら地方で公共工事をやっても東京のゼネコンに落札され、地方自治体から金を出したのに地元の土建屋が全く儲からない現象と似ています。
 アルテミス計画を推し進めたとしても、日本国内においてはエンタメ系企業やキラキラ系の宣伝屋さんが儲かるだけで、基幹産業面では何の成長も見込めません。

Artemis Base Bace Camp NASA

 月面で人類が自活するにはアーコロジー的な環境構築が必要ですが、半分の時間は夜です。宇宙空間を漂うアーコロジー宇宙船の方が太陽エネルギーを常に使える分ラクとすら言えます。

 人類史において、月面はもはや価値がありません。
 また日本国政府がアルテミス計画に投資するのは不合理と言えます。

対中戦略としてのアルテミス計画

 月面開発で利潤を得るために必要な初期投資額は莫大です。雑な試算をしましょう。月面の氷を推進剤に変え、月軌道上でガソリンスタンド的な機能を持たせるために必要な月面設備を1000tと仮定しましょう。
 2024年現在、商業月面輸送の価格は1kgあたり約1億円強とされています。このレートでは、運賃だけで100兆円となります。

 昭和のSFで持て囃された核融合燃料のヘリウム3に関しても月面での採集、保管、輸送、そして地球での発電効率を勘案した場合、到底採算が取れない(そのために必要な燃料を宇宙発射体に積まず、火力発電所で燃やした方がより多くの発電量を得られる)事が明らかになっています。

 中国も米国もインドもそんな事は百も承知です。それでも彼らが月面を目指すのは功名心や国家としての威厳を求めるためです。それは相対的な価値観であり「米国やソ連がやったのにウチ(中共)がやらないのはおかしい」といった程度のチンケな価値観です。

 しかしながら出来る可能性があるのにやらないのは我慢ならないのが人間というもので、それはどの国、どの個人にとっても同じでしょう。それをカッコよく表現した言葉が「プレゼンス」です。

 田舎のヤクザが信号無視してイキるのと同じようなものですね。

China's Yutu 2 rover explores the lunar far side shortly after its Jan. 2, 2019, touchdown. (Image credit: CNSA)

 つまるところ米国が不毛な月面着陸を目指す以上、中国もインドもそれに追従したくなってしまう。そして国内の限られたリソースを、月面という何もない目的地に行く事に費やしてしまう。
 米国にとっての国益があるとすれば、中国やインドといった競争相手に負の経済効果を与えることが出来る。この1点に尽きると言えるでしょう。
 アルテミス計画に付き合わされる日本をはじめとした同盟国にとっては、たまったものではありませんが。

まとめ

 利権の為に力学的に合理性のない計画が策定され、適切ではない宇宙船や宇宙発射体が設計され、それらに対しては噓の説明がなされ、投資対効果が全く見込めない。これがアルテミス計画です。
 そういった事情は米国の議員や官僚が最もよく理解している筈ですが、動き出してしまったものを止めることが出来ないのは洋の東西を問わないようです。

 今後もマスコミや各社企業や地質学者の皆さんはアルテミス計画に関してキラキラしたストーリーを発信し続けるでしょうが、残念ながら月面にはエーリュシオンもソブンガルデもありません。

 綺麗な初見の風景が見たければ、CGでいいじゃないですか。どうせRGB越しでしか見られないのだし。
 ダメですか?

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