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パナソニックドアホンVL-SW150Kの終了ボタンの修理

わが家のドアホンは、パナソニックのVL-SW150Kで2006年から使ってます。すでに生産終了しており、メーカーの修理部品保管期間も過ぎています。このドアホンが無線通信に使うのは2.4GHz帯ですが、パナソニックの現行製品は1.9GHzに移行しているで、電話機などは現行機種とは無線で接続できません。
わが家では、固定電話機は1.9GHzの製品に置き換え済ですが、ドアホンはまだ使えていたので、電話回線から外した旧型の電話機を物置に置いて、VL-SW150Kを使っています。
ところが、使用開始から15年あまりが経過したころに、ドアホン親機の終了ボタンが効かなくなりました。たいへんニッチな話題ですが、その修理をやってみたので、記録を残しておきます。

同じ問題を解決した方はいないか?

家電などの大量生産製品に関する問題は「世界中で自分だけが困っている」ことは稀です。まずは、同じ問題で困っている人が、ネットに解決法を提供してくださっていないか探します。
すると、まったく同じ問題に遭遇して解決した「先輩」を発見しました。

このブログ主さんのドアホンはわが家とまったく同じ機種で、同じ終了ボタンが機能しなくなっており、状況が酷似しています。
詳しくは上のブログ(以下、参考ブログ)をお読みいただければと思いますが、終了ボタンのパネル部分は本体の筐体と一体成形されており、スイッチ本体は、基盤に直付けのマイクロスイッチです。参考ブログのドアホンはパネル部分を支えるヒンジ部分が経年劣化で折れてしまっていたのですが、わが家のドアホンも、まったく同じ場所が折れていました。
参考ブログでは、超強力接着剤とBONDICで折れた部分を原状に近い状態に復元していますが、手もとにそうした資材がないので、手もとにあるもので終了ボタンを使える状態に戻してみました。
筐体を開けるのには参考ブログに記載のある特殊ネジ用ドライバーDTC-27を用います。任天堂のゲーム機(Nintendo64, SFC)の筐体と同じネジだそうです。このドライバーは今回あらたに購入しました。

終了ボタンの状況

ユーザーが押すスイッチのパネルは写真1のオレンジ色破線で囲んだ位置にあり、これはドアホン本体の筐体とは別の部品です。パネルを指で押すと、その内側にある+字型の突起のある部分が押し込まれ、+字突起が基盤のマイクロスイッチを押す仕組みです。スイッチが押されたあと、押されたことによって曲がったヒンジ部分が元の形に戻る力で、スイッチは押されつづけることなく、元に戻ります。
ヒンジ部分が折れると、部品の位置もずれるのか、そもそも基板上のマイクロスイッチが押されない状況になるようです。写真1のピンク色の部分が折れた部分です。

写真1 終了ボタンの状況

ちなみに、正常に機能している通話ボタンのヒンジ部分は、下の写真2のようにしっかりつながっています。通話ボタンのヒンジ部分の方が、終了ボタンより心持ち太い(広い)ので、経年劣化が遅いのかもしれません。

写真2 正常に機能している通話ボタン

終了ボタンの機能を回復するするには、破断したヒンジ部分が再び機能するようになればいいわけです。

終了ボタンを外す

ここから、参考ブログとは別の方法に分岐します。
私がとった方法は、ステンレスの薄板(厚さ0.3mm)による補強です。B5版くらいのものが数百円で売ってます。
裏側だけからだと、形状が複雑すぎて修復には非常に緻密な工作が必要な雰囲気です。また、ボタンを押す力は表側からかかるので、裏側から補強するよりも、表側から補強した方がよさそうでもあります。
そこで、表側の終了ボタンの部品を外しました(写真3)。

写真3 終了ボタンを外す

終了ボタンのパネルを外す際、本体表面の一部になっている半透明の化粧板のごく一部を折ることになりますが、どうせ生産終了品で、この修理でうまくいかなければ現行製品への買い換え時かと腹を括っているので、構わず外します。
ただ、終了ボタンの上についている「外部機器」「機能」の2つのボタンとの噛み合わせの部分は破損しないように気をつける必要があります。

ステンレス薄板で補強する

写真4でピンク色で示したような形にステンレス薄板を切り抜き、ゼリー状瞬間強力接着剤で破断した部品を筐体本体に繋ぎました。
写真4でグリーンで示した穴には、終了ボタンの突起(写真3のグリーンの四角)が通るので、ここは塞がないようにします。裏を返せば、ここを塞がなければ、あとはかなり適当でも大丈夫です。実際、私が金切鋏で切り抜いたステンレス薄板もかなりテキトーで不格好なものです。
破断した部品や本体を計測して、ステンレス薄板を金切鋏で切り抜きます。お手軽に接着剤で接着することにしたので、なるべく接着面積を広く取れるように切り抜きました。
これをまず、破断した部品に接着します。金切鋏で切り抜いたせいで、ステンレス薄板には曲がりが出ているので、なるべく平らに直してから、接着してクランプで止め、強制的に平らに戻します。本体側に接着する部分はクランプで挟めないので、ペンチや金槌を使ってなるべく平らになるようにがんばりました。
破断した部品側に薄板がしっかり接着したら、次に本体側に接着します。このとき、プラスチックのヒンジ部分の破断面にも接着剤を塗布し、元通りの位置に隙間なく接着するするようにします。
写真4のように破断した部品をつなぐことができました。ここで一度ドアホンに通電して、ボタン部分を押すことで終了ボタンの機能がはたらくことを確認しました。

写真4 ステンレス薄板で補強する

終了ボタンを戻す

あとは終了ボタンを嵌めるだけですが、少しだけ工作しました。
終了ボタンを押すと、その裏面の2箇所の小さな突起(写真3のピンクの四角)が、写真4のピンクの★のあたりを押すことになります。この部分の押し込みが深くなると、終了ボタンが押しっぱなしになってしまう恐れがあります。
ステンレス薄板(0.3mm)と瞬間強力接着剤で、突起が押す部分は、本来より前方におよそ0.4mmほど出っ張った状態になっていると考えられます。
そこで、終了ボタン裏面の2つの突起(写真3のピンクの四角)を、カッターナイフで少しだけ、目分量で0.4mm(のつもり)だけ削りました。
あるいは、この突起が触れる写真4の★部分にステンレス薄板がかからないようにすれば、その方が良かったのかもしれませんが、細かい細工ができる工具を持ちあわせていないので、私はカッターナイフで細工できるボタンの突起を削りました。
2つの突起を微妙に削ったスイッチを本体に嵌めて完成です。押した感触は元通りとはいきませんが、特に強い力も要らず、終了ボタンが機能するようになりました。
次に同じ支障がでたら、そのときはドアホンの買い換え時ということでしょう。これであと数年、延命してくれれば御の字です。

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