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Webサイトの目的を言語化する方法

こんにちは、ゆうこやです。事業会社でWebサイトの制作、運用を行っています。

みなさんは、Webサイト制作を制作会社に発注する時に、まず何からはじめますか?おそらく、プロジェクトの方向性や要件をまとめたRFPを作成し、制作会社さんへお渡しするのではないかなと思います。

RFPは大きくわけると「プロジェクトの概要」と「Webサイトの目的」をまとめたものですが、Webサイトの目的ってどう言語化するとよいかわからないですよね。

そこで今回のnoteでは、RFPの書き方について ── 特に「Webサイトの目的」の言語化の方法について、私なりの知見をまとめてみたいと思います。


現状の課題を言語化する

Webサイトでどのようなことを解決したいのか?今どんなことに困っているのか?関係者の間で認識を合わせると、プロジェクトの方向性を定めやすくなります。このため、まずは現状の課題を言語化していきます。

「なんとなく必要だと思って」「今のサイトが古いから」などの漠然とした理由しか思いつかないかもしれませんが、もう少し深掘りして伝えられると、制作会社さんも提案を考えやすくなりそうです。

課題の言語化におすすめなのが「Webサイトの制作やリニューアルが必要だと思った瞬間」を具体的に思い出してみることです。例えば、こんな瞬間はなかったでしょうか。

  • 上司や同僚からリクエストを受けた

  • 競合を見て、いいな、と思った

  • 記事やセミナーで、必要だと言われていた

思い出せたら、それらをもう少し深掘りします。

  • 上司や同僚からリクエストを受けた
    →その人はどんな立場でどんな仕事をしている人か
    →どんなリクエストだったか
    →その人はいつ何に困っているのか

  • 競合を見ていて、いいな、と思った
    →どの会社のどんなサイトだったか
    →どのポイントが良いと思ったか
    →なぜ良いと思ったか

  • 記事やセミナーで、必要だと言われていた
    →具体的な記事やセミナーはどれか
    →その記事やセミナーは、何をテーマにしていたか
    →どこが自社にも参考にしたいと思ったのか

私が関わってきたとあるサイトのリニューアルでは、「新しいコンテンツを追加したいけど、今の構成だと適切な場所がないな」と思ったことがきっかけになったことがありました。この場合、サイトのページ構成や、訴求内容が現在の戦略と合わなくなっていることが課題でした。

このように、簡単に思い出せる記憶から少しずつ深掘りしていくと、具体的な課題が言語化しやすいと思います。

想定ユーザーを明確にする

次にWebサイトに訪問してほしい想定ユーザーについて、年齢、性別、職業、興味・関心事など、できるだけ具体的に言語化します。

想定ユーザーをイメージするときにおすすめなのが、まず「絶対にユーザーにならない人は誰か?」を考えてみることです。その上で、なぜその人はユーザーにならないのか?ユーザーになる人とはどのような違いがあるか?を深掘りしていくと、だんだん想定ユーザー像が具体化していきます。

例えばサイボウズの場合は、主にBtoB向けのサービスを提供しているので、お客様の比率として「子供」や「学生」は少なくなります。この場合以下のように深掘りができます。

  • 学生がユーザーにならない理由は?
    →企業で働いていないから

  • では企業で働いていたら全員ターゲットに入る?
    →PC利用を想定したサービスだから、PCを使って仕事をする人が多そう

  • PCを利用するホワイトカラーなら全員ターゲットに入る?
    →システム導入に関わるとすると、中堅くらいの年齢層が多そう

※単純化しているため、実際の製品やサービスの想定ユーザーとは異なる部分があります。

このように「絶対にナイ」から徐々に狭めていくと、想定ユーザーを言語化しやすくなります。

製品の特徴や強みを理解する

続いてWebサイトに掲載するサービスの特徴、他社との差別化ポイントを言語化していきます。自社の強みは社内にいると見えにくいので、なるべく社外の人、お客様の声を参考にすることをお勧めします。以下のように、「外から見た自社」の情報を集めて、競合と比べた時の強みが何か?を考えられると良いと思います。

  • 既存顧客や取引先にヒアリングを行う

  • 社内の営業に聞く

  • 顧客アンケートを見る

  • SNSでのコメントを見る

最近とてもすてきだなと思ったWebサイトがあります。「〆切手帳」という手帳のWebサイトです。

「これで〆切が守れる」のコピーがとても刺さるなあと思いました。作り手の立場だとつい「編集者が開発した手帳」というようなコピーを採用してしまいそうですが、手帳を使う人から見た時の強みは「誰が開発したか」より、「締切が守れる」こと。ユーザーのインサイトを捉えている実例を見て、「ユーザーから見た時の自社の強みを、ユーザーの言葉で表現することの大切さ」を感じました。

(「〆切手帳」のサイトはデザインや画像も美しくて、見入ってしまいました。来年は購入したい…。)

サイトの集客手段とゴールを設定する

最後に、ユーザーがどこからやってきて、サイトを見た後にどのようなアクションをしてほしいかを明確にします。

集客手段

ユーザーがWebサイトを訪問する経路によって、適しているWebサイトの型は異なります。Web広告、検索、メルマガなど、さまざまな集客手段がありますが、今回想定する集客経路について、関係者の間で事前に相談し、認識を合わせておくと、制作がスムーズに進めやすいです。

ゴール

ゴールとはユーザーがWebサイトを閲覧したあとにしてほしいアクションのことを指します。BtoBサイトではたとえば「資料請求」「トライアルお申し込み」「お問いわせ」などが候補になります。Webサイト制作では、「つくること」に集中してしまい、ゴール設定の検討があと回しになってしまうこと意外と多いように思います。制作をはじめるときに、どのようなゴールにするか?を決めておくことをおすすめします。

まとめ

今回は特に「Webサイトの目的」の言語化の方法について、私なりの知見をまとめてみました。

アートディレクター カイシトモヤ さんの著書「すべての仕事はデザインから始まる。」に以下のような記述があります。

良い発注とは自分の情報を開示し、意思を相手に伝えることから始まると考えています。(中略)肝心なのは、「あなたが今置かれた立場で持っている情報や意思」を言葉にし、誠実に相手に伝えるということなのです。(中略)発注者とデザイナー、それぞれが持つ専門性のバトンの受け渡しがうまくできれば、リレーはきれいに繋がります。

すべての仕事はデザインから始まる。(カイシトモヤ)


自社の情報を制作会社さんに上手く伝えることができれば、発注側と制作側のコミュニケーションがスムーズに進むのではないかなと思います。

今回の記事を書くにあたり、改めて考え方を整理したことで、私自身次回のRFPが書きやすくなりそうです。お互いがんばりましょう。

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