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ドラマ『だが、情熱はある』~夢を追う若者と平成バラエティー史~


現在、日本テレビで毎週日曜22:30から放送中のドラマ、『だが、情熱はある』に絶賛大ハマり中のえいきちです。

この記事を書いている時点で放送されているのは第6話までですが、僕が思うこのドラマの魅力を書いていきたいと思います。



オードリー・若林正恭と南海キャンディーズ・山里亮太の2人が結成していたユニット「たりないふたり」。
ドラマでは主に、2021年に行われた2人の最後のライブを軸に、どういった経緯で2人は出会うのか。また、それぞれの半生を振り返ってどんな生き方をしてきたのか、、という、時系列を行ったり来たりする作りになっています。

基本的には若林さん・山里さんの、幼少期から学生、若手時代と順を追ってその時々の出来事にフォーカスする年表形式になっているので、非常に観やすいです。

ドラマの展開自体にも感動するのですが、全体的に、特に2人がお笑いを始めたあたりからは、2000年代のお笑い史の振り返りみたいになっていて、テレビっ子からしたら「はぁ~、、なるほど、、」の連続でめちゃくちゃ面白いです。

「ガチンコ!出てたんや。。」とか、「エンタの神様のオーディション受けまくってたんや。。」など、世代的にもドンピシャなので、歴史の勉強みたいになっています。

また、本人たち以外の人物は仮名での登場なので、「おそらくあの人のことを言っているんだろうな。。」(とは言っても確実にわかる笑)と照らし合わせながら観るのも楽しいです。

ヘッドリミットはキングコング、谷勝太は前田健ですね。
第6話では、わくわくテントの鈴木足秋(スズタリ)が出てきましたね。今やオードリーの番組を構成作家として支えている、どきどきキャンプの佐藤満春(サトミツ)さんの事ですよね。もうクイズやん。

僕は特にお2人の熱狂的なファンではないですが(わかりやすいところで言うと、ラジオが全然詳しくない。「オールナイトニッポン」も「不毛な議論」ももちろん存在は知っているが)、ファンであればより胸熱ポイントばかりだろうと思うので(春日さんは売れてない時期にプールに通っていたから潜水が得意になったのか、とか)、資料映像という観点からしても非常に見ごたえのあるドラマだと思います。



現時点ではありますが、僕が個人的によかったのは、第2話の、山里さんが関大の寮で生活をはじめるシーンです。
大阪のNSCに通うために、実家の千葉県から大阪の大学に入ったのはいいものの、中々踏ん切りがつかず、ザ・学生ライフを謳歌している中で、寮の先輩に熱く説得され。みたいな。
あの先輩役の宮下雄也さんがよかった。。『ブラッシュアップライフ』の加藤役(カラオケで粉雪歌ってた)でもいい味出してましたもんね。。

芸人になってからの苦労話もいいのですが、まだ何者にもなっていない若者の葛藤が、観ていて心を動かされます。


オープニングで、「ちなみにこれはサクセスストーリーでもないし、誰の参考にもならない」というナレーションが入るのですが、これに関しては僕は異を唱えます。

確かにこのセリフって、一般視聴者に向けたものではあると思いますが、お笑いをやっている人間や、夢を追い求めてる人間からしたら2人の姿って参考になりまくると思うのです(性格的な問題は共感できるところばかりじゃないけど)。

ほんでめちゃくちゃ成功してるし!サクセスストーリーやし!笑
もちろん謙遜の意味合いだと思うし、ましてや現役バリバリで活動されているからこそ、本人たち的にはそのスタンスになるんだと思います。
でも、このドラマはどうしても、「頑張ったから今の地位があるんだ」という考え抜きでは観れません。
決して説教じみてはないけれど、2人の生き様や人生そのものが、ある意味夢を追う者にとっての教科書のようになっているのです。


また、俯瞰で見た時に思うこのドラマの特異点は、先ほども触れたように、「題材となっている人物が現役バリバリ」という点。
今や、日本のテレビ界においてのキーパーソン、なくてはならない存在にまで登り詰めた若林さんと山里さん。
この2人をテーマにしたドラマがこのタイミングで作られるという事が、ある種スターであることの証明につながっていると思うし、もう“そういう領域”に到達したのかなと考えます。
1本のドラマとして成立してしまうんですからね。すごい。



そして何より、このドラマをドラマとして成立させている最大の要因にして、最大の魅力は、主演の2人の素晴らしい演技力です。

若林さんを演じるKing & Princeの高橋海人くんと、山里さんを演じるSixTONESの森本慎太郎くんの演技がとりあえず最高なんです。

2人ともめちゃくちゃ本人の特徴を捉えていて、すごく似ているのですが、なんていうか、ただのモノマネではないんですよね。
やりすぎていないので、気にならない範疇というか。
ちょうどいい塩梅なので、視聴者としてもドラマの内容に没頭できるのです。

若林と山里という人間の物語のはずなのに、観ている自分自身をも投影させてくれる、“他の誰か”を演じてくれているようにも見えるのです。

あの演技を具現化させるのに、めちゃくちゃ研究されたんだろうなというのがヒシヒシと伝わってきますし、改めて高橋くんと森本くんの役者魂を感じました。
あ、2人以外のキャストのクオリティーも半端ないです。戸塚純貴さん演じる春日さんも、富田望生さん演じるしずちゃんも最高です。


素晴らしい演技力によって見せられる、夢を追う若者の群像劇と、平成後期のバラエティー史の資料映像という、異なった要素を同時に味わうことの出来る、非常に稀有なドラマだなと思います。



次回はいよいよM-1グランプリに向けての2組が見られます。
結果自体は知っているけれど、どう描かれるのかがすごく楽しみです。

観てない人は是非見てください!
観てる人は最終回まで楽しみましょう!


それでは、また!



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