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『AIR』〜熱さを取り戻す映画〜
最近、劇場で全然観てないな、、ということで、年末の『THE FIRST SLAM DUNK』以来の映画館での映画、『AIR』観てきました!
あらすじ
1984年当時、NIKEのバスケ部門はアメリカ全体のシェアで見ると、コンバース、アディダスに大きく遅れを取り、経営不振から部門自体の存続が危ぶまれていました。
ソニー(マット・デイモン)は、バスケ部門の社員で、有望な大学生をスカウティングする超バスケ好き人間。目利きは優秀だけど、変わった性格から社内では少々疎まれる存在。
そんな彼が、社長であり創設者である、フィル・ナイト(ベン・アフレック)から、バスケ部門の立て直しを命じられることに。
ソニーがその切り札として目をつけたのが、まだNBAデビュー前のマイケル・ジョーダン。
NIKEのバスケ部門を盛り上げるべく、スター候補のマイケルと契約を結ぶために、会社を挙げて仲間と奔走する姿が描かれる。。そんな作品です。
NIKEが生み出した“革命”
僕はスポーツが大好きで、スポーツにまつわる歴史も好きです。
なので、NIKE創設のいきさつなどは多少知っている方でしたが(創設者フィル・ナイトが靴作りを学ぶために、神戸のオニツカタイガーに師事するなど)、この映画は、それより少し後のお話。
すでに陸上部門(アメリカではNIKEといえば陸上なんですね)では成功を収め、軌道に乗っていたNIKEですが、バスケではあまり利益をあげれていなかったとかは知りませんでした。
まず1972年創業の企業ですからね。スポーツ界ではadidasやpumaに比べて後進企業。
だからこそ、「シェアを広げてやるぞ!負けないぞ!」という気持ちがみんな強かったんですかね。
そして、個人的に驚きだったのが、言わずと知れた「エアジョーダン」ブランドが、マイケル・ジョーダンが活躍してから出来たものではないという事。
NBAデビュー前だったんですね。
いや、とんでもない賭けですよね。
マイケル自体選手としてどうなるかわからんかったのに。
その後、バスケは詳しくなくとも、「エアジョーダン」は知ってるという人が世界中で溢れるくらいに、ファッションやカルチャーの領域まで上り詰めるわけですが、それまでになかった「個人の名前を冠した、個人の為のシューズを作る」という手法をNIKEが取った時点で、ブランディングやそういう“企画”という意味で、ある程度の勝利だったのかなと思います。あくまで結果論ですが(NIKEの社訓で、結果が全てみたいな話もしてました)。
いや、それにしてもマイケルのおかんが凄かった。笑
一見やばい母親ですが、結果的に彼女がいたから、大袈裟にいえば、アスリートファーストの価値観がアメリカに根付いたとも言えます。
信じられないくらい、信じた。
みたいなことですね。
母親の気持ちとソニーの気持ちが合わさって、アメリカスポーツの革命に繋がるわけです。
もう一度、熱さを取り戻す
興味深かったのが、この時点で会社創設からは12年の月日が経っているということ。
NIKEのみんながしきりに、「創設当時を思い出すよ」と言っていました。
創設メンバーはみんな40〜50代の中年。
それはつまり、過去に経験した熱くなれるものをもう一度、今ここで手に入れようとしていたのです。
プロジェクトのために熱くなれたあの時を思い出す、中年世代にも響く作品だったのかなと思いました。
最初は無謀だと跳ね返していた周りの仲間たちが、ソニーの頑張りを見て、希望を持ち始めてくる姿に心打たれました。
「罰金なんて払ってやるよ」のくだり最高。あれなんて今で言う炎上商法ですもんね。
演出的には、マイケル・ジョーダン本人とジョーダン完成品の見せ方がよかったです。
全然知ってるモデルのはずなのに、エアジョーダン1を見せられた時、「おぉ〜、、」ってなりましたもんね。笑
そして何より、この映画は豪華俳優陣の力がハンパないです。
監督も務めたベン・アフレックは『アルゴ』、主演のマット・デイモンは『フォード&フェラーリ』と、実話をやらせたら最強の2人。
間違いないです。
フィル・ナイトの厳しくもあり、創設者ならではの頭の柔らかさをベン・アフレックが見事に表現していました。
ソニーのプレゼンのシーンは圧巻。マット・デイモンの俳優力が出まくってました。
「自分のためではなく、人々のために履いて欲しい」のセリフが個人的に痺れました。
クリス・タッカーもやっぱり良かった。
冒頭のシーンで、当時のスポーツ界の状況を端的に説明しながらも、笑いをとる軽妙な語り口は圧巻でした。韓国のくだり最高。
まとめ
とにもかくにも、アスリートとスポーツブランドのパワーバランスを変えたという意味で、マイケル・ジョーダンという存在は大きいですし、1人のスター選手によって、企業に多大なる影響を与えるんだという事を考えさせられる作品でした。
思えば、NIKEのゴルフ部門を大きくしたタイガー・ウッズや、日本のミズノを大きくしたカール・ルイスなども、このジョーダンの流れと多少関係しているのかなとも思います。
また、スポーツを越えてカルチャーの世界にまで存在感を広げたという凄さを改めて感じました。
ファッションの世界でいえば、あのジョーダンのロゴが、サッカークラブ、パリ・サンジェルマンのウェアに採用されていたりします。
スポーツの垣根を越える事を証明しました。
そして、桜木花道が履いていたあのシューズもエアジョーダンですし、湘北のユニフォームはブルズのカラーですもんね。
80年代のジョーダンの影響を受けた、90年代の日本のアニメが、今現在また世界で大人気なわけですよ。
え、、待って、、気がついたら話がスラムダンクに戻ってるやん!
と、ええ感じにまとまったところで、映画『AIR』の感想でした。
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