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レシピを公開する理由

 20年前、スマートフォンがまだ普及していない時代ですが、ネットでレシピを検索する。ってことがほとんどありませんでした。

 海外に修行に行ってた先輩やシェフが持っているレシピが、それはもう宝物のように重宝されていて、門外不出にするのが定例だったように思います。

 昨今ではSNSや動画コンテンツなどの普及もあり、レシピを発信する料理人も多くなってきました。

レシピを見て作った料理は何点か?

こういったサービスを利用してレシピを世の中に発信するのですが、レシピってそのまま見て作っても全く同じものというのはできない。という前提を頭に入れておく必要があります。

 例えると、レシピは「歌詞カード」みたいなもので、音程や歌詞がわかっていても、元々持っている声帯が違えばどれだけ似せても、似て非なるものになります。

 料理に使う食材も旬の時期、野菜はハウスか露地ものか。畜産は海外のものか国産か。魚介の鮮度や締め方。調味料は大量生産品か否か。など細かいこだわりの部分が削られる事は多いです。 理由は手に入りにくいものはレシピとしては魅力的ではなくなるから。です。

 手に入りやすいものを使って80点以上の味になるものがレシピ。でそこに料理人のこだわりや経験による勘がプラスされて、お店では100点になります。

 経験による勘とは、その日の気候や湿度、素材の感触、切り方、味などからゴール(完成)のイメージまでの道のりを瞬時に判断できる能力です。

決して当てずっぽうではないので、この辺りは経験の蓄積が必要なので、できるだけ数をこなすことが大事だと私は思います。

 飲食店であれば、修行時代から積極的にまかないを作る。自炊する。と並行して、外食するなど。自分の現在地と目的地を知る必要がある訳です。

 料理の工程で、どの素材をどのように切って、どのようなタイミングで調味し、どれくらい熱処理をするか。を一つ一つ言語化することは可能ですが、かなり細かくなります。それを一つ一つ伝えるのには、なぜそう考えるかという背景の部分から説明する必要があるので、タイミングが重要でもある過程では、収まりきれません。

なので、ここは暗黙知となる訳ですが、そこが面白い。と思う部分でもあります。(自分で気づいて、分かって蓄積する知識となる)

 

さて、話をタイトルに戻します。


レシピを公開するのは、自分の頭の中のレシピをアウトプットすることで、人に伝えやすくなる。や、料理を楽しんでほしい。という想いがあります。 

 また、飲食店に所属している責任ある立場の方だと、何度も同じことを口頭で伝えるより、事前にレシピなどを通じて共感できることがあれば同じ方向性を向いて考えられるスタッフと一緒に働ける可能性も高くなります。

 もちろん、人それぞれの考え方があるので、これだけではないですが、私がレシピを書き留めるのには、以上の理由と自分がレシピを忘れるから(笑)です。

 

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