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トイ・レコードメーカー 〜オリジナルレコードを作ってみた〜



オリジナルレコードを作ろう!

Yellow music project 夏のワクワク工作が始まった。
やぎさん(カメラマン)が冬に買ってそのまま放置していた
「大人の科学マガジンシリーズ トイ・レコードメーカー」
をようやく開封し作る時が来た!

YKのアルバム制作期間の終了と共に、企画動画を再開する第一弾として今回はレコードを作ってみる。
この商品はレコードプレイヤーを自ら組み立て、実際にレコードを聴くことが可能になるもの(7インチのレコードに限る)だが、なんと付属のブランクレコードに好きな音源をカッティングする機能も付いているのだ!
音楽家(YK)として、オーディオマニア(やぎ)としてこれは是非ともやってみたいとのことで、この企画が始まった。
現物が欲しい(CD化したい)と言っていたYKにとって、楽しみな企画だ。


いざ開封!

なんともまあ、部品の多い事。
もっと本体が出来上がっているものと期待していたのだが、残念ながらそうはいかない。
「大人」と付くだけあって作る工程もシッカリと噛み締めることができる仕様だ。本誌には制作に1時間かかると書いてあったが、実際にやってみると難しく、一通り冊子を読み終えてから挑む方がいいと感じた。
今回読まずに始めた事が後々、仇となってしまう。
仕方がない。YouTuberとはいつも体当たりなのだ。


組み立ててみて

手のひらサイズの可愛さ、そしてマシーンのカッコ良さも兼ね備えた「おもちゃ」が出来上がった。インテリアとしても良い感じだ。
正しく作れているかの確認の為、ハードオフのジャンクコーナーで手に入れたレコードを聴いてみた。

今回試聴した2枚
・中村雅俊「恋人も濡れる街角/蒲田行進曲」(著作権の関係上、動画では流せず)

・ベートーベン 「ピアノソナタ 月光と悲愴」

中村雅俊の方はレコードの状態が良いおかげで良い感じの音で聞くことが出来た。ベートーベンの方はノイズが酷く音がフラットする部分が多かった。しかし、低価格(定価380円)で聴けるという事を考慮すれば良い物だ。
このようにシングルサイズのレコードプレイヤーとして使えるのでおすすめだ。
試聴は成功。無事出来上がっていたので安心した。

次はカッティングの工程に行く。
と、その前にテストカッティングを試してみる。

いざカッティング!

カッティングマシーンを操作し、ブランクレコードに降ろしカッティング。これだけの単純な作業で音が聴けるようになるとは、レコードというのは不思議なものだ。

真っ新なレコードに溝を刻む。これは音の振動、波形を刻み曲の情報を書き込んでいる。
この溝に針を落とすと、その波形から針が振動に変え、電気信号に変え、アンプそしてスピーカーへと送るという仕組みだ。
この仕組みが小さな機械で再現できるとは、、
素晴らしい世の中だと思う。

ということで、テストカッティングから始めた訳だが
残念ながら初カッティングは失敗に終わる。
動画を撮り終えてから分かった原因としては、
YKの施す加工が極端すぎた事だ。それは音量による影響が大きく、あまりにも小さすぎたのだ。
カッティングマシーン先端から刻む音源が流れるのだが、最初は蚊が鳴いているかのような音しか流さなかった。
テストカッティングから改良を重ね、合計5枚(動画内では4枚と勘違いしている)を費やし、ようやく聴けるまでに至った。

成功したときのポイントとしては

・カッティングマシーン先端から流れる音源は、普通に聴けるくらいの音量
・音量上げ過ぎのサインはカッティングマシーン全体が揺れ始め、音が割れだす。これはやり過ぎ。
・音量がでかいと針が飛びやすくなる。訳は溝を深く掘ったり水平に削る動作によって音量差を表現する為、大きな音量の変化がある場合は注意が必要
・低音域や超高音域の扱いに気をつける。
・削っている最中、削りカスが出てくるのでカッティングマシーンに触れないように取り除く。

ぐらいだろうか。

またYKが施した事前のEQ(イコライザー)処理は

スマホから流す場合でも音楽再生アプリに恐らくEQが付いているであろう。必ず加工してからカッティングすることを勧める。
こうして、ある程度聴けるようになった所で、我々は疲れ果ててしまい夏の工作を終了した。

どのように出来上がったかは動画を見ていただけると確認できると思う。
動画で流す用に、刻んだレコードの音をdawに落とし込んだ時に気づいたのが4khz以上にノイズが盛りだくさんだということ。
おそらくだが、4khz以上を加工し過ぎるとノイズが増えるのかもしれない。
今回のYKのEQ処理は過剰にしている可能性もあるので、参考にする前に一度しっかりと冊子を読むことをおすすめする。また音楽のジャンルによっても処理を変えなければならないだろう。


【今回の豆知識】 EQ処理について


Equalizer、EQは音の周波数を変化させることを一般的に言う。イコライジングともいう。
楽器をやっている人や、音響関係、音楽制作に携わる人ならEQの扱いは慣れていると思う。
今回はEQ処理とはなんぞやという人向けに簡単に説明して行こう。
音楽アプリや音楽再生機器等にイコライザー(EQ)という項目が付いているものはそういった処理をする事ができる。お手元にあるものを確認してみて欲しい。

今回は3つの項目に分けて説明しよう。
①イコライザーの特性
②どういう時にいじるのが妥当か?
③どのように変化させるのか?

①イコライザーの特性

周波数を変化させるイコライザー。

私たちが普段聴いている音の正体は振動である。揺れる物体が発する音の波が耳に入ってきているのだが、どのくらい振動しているかを表すのが振動数(周波数)という。
その値が小さければ私たちの耳に入る音は低く、大きければ高い音となる。(ピアノの一番低い音は27.5hz、一番高い音は4186hz)
イメージで例えるなら洗濯機の音や、車の音。
これらの音は動作が速く(大きく)なればなるほど音が高く大きくなるのに気付くだろう。そんな感じだ。

話を戻そう。音の正体を理解した上で、それを変化させるのがイコライザーである。
イコライザーはある一定の周波数(=振動数)の音量を増幅、もしくは減少させて音を変化させることができる。その変化の幅を調整する事も可能だ。

実際の数字で表すと
100hz〜150hzあたりを0.5db増幅させる
と言ったように、音を補正し整えるのがEQ処理である。

②どういう時にいじるのが妥当か?

今回のレコードメーカーの様な用途以外にもEQは使われている。
音楽は聴く環境で左右される。その環境はスピーカーやイヤホン、ヘッドホンと様々だ。
その環境下で自分の意図しない音になってしまった時、EQ処理をして幾分か聴きやすくしたりする。音楽制作に携わる人も日常的にEQ処理をしている。

例としては
・車の中で聴く音楽が走行音で掻き消され、音がはっきりしない
→1khz〜5khzあたりを増幅してみる。
・新しいヘッドホンでは以前のヘッドホンよりもRockを聴いた時に迫力を感じない
→ベース、ドラムのキック辺り、50〜100hz辺りを増幅、ギターの歪感にパンチを出す為に500hz〜1khzあたりを増幅させる。

と言った様に自分が求める音に近づける為にEQ処理を行う。

③どのように変化させるのか?

②で少し説明したような使い方で変化をさせるが、その変化のさせ方にも種類がある。
ピンポイントで変化させるものと、大まかに変化させるもの、ある一定の場所から全て変化させるものも。
一般的に使われる事が多いのは、大まかに変化させるグラフィックEQと呼ばれるものだろう。音楽再生機器等に付いている多くはこれだ。
変化させることができる周波数があらかじめ決まっており、その周波数帯を増幅、減少させるものだ。

先ほどの画像↓ のEQはグラフィックEQ
Apple Music付属の物。
決められた周波数、全10箇所を増減させる事が可能。


他のタイプのEQには自分で「変化させたい周波数」と「範囲」を選ぶ事ができるものもある。(パラメトリックEQ)

ではどのように変化させるのか?
それを理解するのは一番難しく、一筋縄ではいかない。
最初は適当にいじってみて、自分の納得する音になるまで繰り返しやってみるのが良いだろう。その内「ここをいじればこうなる」と段々理解が深まっていくと思う。


そうは問屋が卸さないという方に、今回は簡単なEQ処理のポイントを教えて終わりにしたいと思う。

簡単!EQ処理のポイント!

一般的なバンドサウンド
ドラム、ベース、ギター、ピアノ(キーボード)、ボーカルがある楽曲を処理する場合を想定してみる。

ポイント1

鳴っている音(楽曲)を3分割して考える。
①低音域②中音域③高音域
その3つを変化させる事を基本にする。

①低音域に属するもの  〜800hz
ベース、ドラムのキックやフロアタムの響き。
ギターやピアノの低い音。
②中音域に属するもの    800hz〜2Khz
ベースの腰、タッチ音、
ドラム各部分の響きやアタック音(ぶつかる音)
ギター、ピアノのメインの音。そしてボーカル。
③高音域に属するもの    2Khz〜
ドラムの金物の響き、アタック音。
ギター、ピアノの高い音の響き、アタック音。
ボーカルの歯擦音(サ行等の発音)など。

大体で分けるとこんな感じになる。この3つを意識しながら自分の欲しい音に近づける。
ベースやドラムの太さが欲しいなら①を増幅。
ボーカルが聴こえ辛い場合、②と③を少しずつ増幅。
と言ったように調整していく。

更にここから分割をして、更に分けて、、と繰り返し行った結果が音楽再生機器に付いているグラフィックEQの決められた数字なのだ。だからそれぞれに意味があり、それは変化させるべきポイントを教えてくれている。

ポイント2

増幅して欲しい音を上げても良い結果に繋がらない場合は、減少させると上手く行く時もある。
以前の記事にも少し書いたが

音の中には人に聴こえにくい音がある。これを考慮しよう。
増幅させても上手く行かないのは、いろんな周波数を上げすぎて音が密状態(このご時世よく使う言葉)すなわち飽和状態になっていて音同士がぶつかり合っている。
欲しい音の居場所を作る為に、他の周波数を減少させることで上手くいく場合もある。

ポイント3

音の正体を知る。どんな楽器なのか、どんな声なのか。想像してみよう。
ドラムのシンバルを例にしてみる。
バシャーンと鳴らした音の中にどんな種類の音が含まれているだろう?

スティックが当たった時のぶつかる音 →高音域
シンバルが揺れ始め響く音→ 中音域
次第に揺れが落ち着き響きが低くなる。→低音域

大まかにこんな感じに分かれる。
気になる音を分解して考え、周波数に当てはめて考える。そうすることで音への理解を深める。いろんな楽器で想像してみる事が大事だ。

以上がEQ処理を上手くやるポイントだ。

最後に

今回は「大人の科学マガジンシリーズ  トイ・レコードメーカー」を作ってみた。動画と合わせて読んでいただけると嬉しい。
これからもちょこちょこと音楽工作シリーズ物をやって行けたらと考えている。

いつも聞いている曲をレコードにする。それは音楽媒体の歴史の一部を知ること、そして音楽を作る流れの一部分を体感するいいキッカケになると思う。興味がある方は是非挑戦してみて欲しい。


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