マガジンのカバー画像

英語の基本日記

322
英語関連の話題について書いています。英文記事の紹介とか、文法の話とか、使える英語フレーズなどです。ちょっと高度かもしれませんが、どうか気楽にお読みください。
運営しているクリエイター

2018年2月の記事一覧

英語の文は<静→動>の順でできている

英語の文は<静→動>の順でできている

対象を静止したものととらえておいて、それからその動きを認識すると、対象が理解しやすく感じられる。

たとえば

1/3(三分の一)=0.3333333...

と言われると、すんなりと「そうだね」と納得する。

ところがこれを逆にして、

0.33333333... = 1/3

という形で見ると、「あれ、ほんとかな?」と思ってしまう。

無限に動いているものが、静止したものとイコールだといわれる

もっとみる
goとcome takeとbring 移動動詞の特徴(動態)

goとcome takeとbring 移動動詞の特徴(動態)

go とcome, take とbring という四つの移動動詞の概念をまとめておこう。

go とtake     話し手は、主語のいる位置にいる。そして主語は主語自身(go)または所持物を(take)、どこかに「運ぶ」。

come とbring     話し手は、到達点に先回りしている。そして主語は主語自身(come)または所持物を(bring)、到達点まで「運ぶ」。

話し手が、はじめ観念

もっとみる
英文は二次関数に似ている(構解)

英文は二次関数に似ている(構解)

英語で自分の意識を表現するとき、体(名詞)、動(動詞)、状(形容詞)という三種類の概念を使う。

三種の概念の相互関係は、じつは二次関数に似ている。

Y = x・x  + 2x + 2           (x・x は、"x の二乗" の意味)

ここでY は、表現対象になっている自分の意識であり、x・x(xの二乗)は、体(名詞)である。体を微分した 2x すなわち動(動詞)が、次にくる。2x

もっとみる
概念がわかれば、訳さなくても不安でなくなる 歴史的困難の解決

概念がわかれば、訳さなくても不安でなくなる 歴史的困難の解決

英語を読むとき、日本語に訳さないと不安だという人がいる。

そういう人は、英語を聞くのも不得意かもしれない。聞いて、それを訳そうとしても間に合わないことが多いからである。

<英語がわかるには、訳すしかないのか?>

明治以来つづくこの問題、じつは解決する方法がある。

それは、英文の意味(訳)ではなく、概念をつかむことである。概念をつかむには、他の概念との関係を理解すればよい。

たとえば、次の

もっとみる
tell は授与動詞

tell は授与動詞

英語の番組で、インタビューされたほうが、

"I thank you let me tell you my story."

というセリフを最後にいうことがある。

「私のほうこそ、話を聞いてくれてありがとう」

といった意味になる。

このtell は、give やsend などとおなじ「授与動詞」である。

give が、

He gave me the book.

などと使えるのと同様、t

もっとみる
言葉は心の出来事を表す

言葉は心の出来事を表す

じっさいに車を手に持っていなくても、車を家に二台所有していれば、

"I have two cars." 

と言える。

言葉は、人間の意識の世界を表すものだから、お金とか土地とか、親兄弟にも have はつかえる。

「所有」という概念は、物理的に「持っている」ことだけでなく、社会的に占有が承認されているという認識のことであり、英語ではその認識を have という音声・文字で表す。

言葉は物

もっとみる
コロン:とセミコロン; 使い分けのコツ

コロン:とセミコロン; 使い分けのコツ

コロン :  とセミコロン ;  の違いはわかりにくいし、説明もあまり見かけないので、メモしておこう。

colon(コロン)[:]は、同じ対象について違う言い方をしたいときに使う。「すなわち」(that is, namely)に近い。

同じことを短くいいかえるだけなので、コロンのかわりにピリオドを使うことはできない。たとえば、

He lived for only one thing: mon

もっとみる
【コラム】 英文はなぜ大文字で始まるか(臨独体)

【コラム】 英文はなぜ大文字で始まるか(臨独体)

英文は大文字で書き始めるが、これには立派な理由がある。

英語では、<この場ではそれが唯一の存在だ>という唯一性を一種の個性ととらえ、大文字で表す。

その場で唯一という個性を体化(名詞化)した概念を、臨独体と呼ぶ。

Prof.  とか Mr. のような称号とか、"STOP" などの交通標識は大文字で書くが、これらはその場に唯一という個性を表すためである。

ひとつひとつの文も、その文章全体とい

もっとみる
have は heavy のいとこ

have は heavy のいとこ

haveは、「持ち上げる」の意味の heave と深い関係がある。heave の姉妹語がheavy。(ランダムハウス英和大辞典)。

Heave ho! (うんこらしょ! 錨(いかり)を巻き上げるときのかけ声)

は~と息を吐く身体感覚が、h 音に託されている。

身体感覚と英語の発音の関係を調べたイギリスのリードは、「精力的な活動」「強烈な感情を意味する言葉は、hで始まることが多い」といい、he

もっとみる
マッカーサーはなぜ "I will return." と言わなかったか

マッカーサーはなぜ "I will return." と言わなかったか

太平洋戦争のはじめ、日本軍の急襲を受けたフィリピン駐留の米軍司令官・マッカーサーは、やむなく脱出を決意する。

このことについて、日本英語学の大御所・小西友七氏は、こう述べている。

「最高司令官のマッカーサーは魚雷艇で脱出をはかるが、そのとき有名な  “I shall return.”  (私は必ず帰る) ということばを残していく。

このことばが不思議な魔力を与え、フィリピン人を元気づけたらし

もっとみる
you はなぜ単数も複数も同じか(臨体)

you はなぜ単数も複数も同じか(臨体)

"you" は、単数の聞き手も複数の聞き手も表せる。こういう言語は西欧に多いが、どうしてこうなったのだろう。

それは、ローマ帝国以降、各地の王が自分を"we" と呼ぶ習慣がヨーロッパに広がったことがきっかけだったという( royal "we" )。

 王が自分のことを "we" と呼ぶので、臣下も王を、複数形である "you" (起源は古英語 ye の目的格複数形)で敬称する ようになった。

もっとみる
do の語源は「ドンと置く」(動存)

do の語源は「ドンと置く」(動存)

do の語源は古英語のdon。

さらにさかのぼれば、put (together), place, set の意味の印欧祖語の語根 *dheまでたどれる。

つまり do は、「置く」が原義である。(THE BARNHART DICTIONARY OF ETYMOLOGY, P.292.『英語語源辞典』研究社、382頁)

do の関連語に、deed(行為)やindeed(in+deed 行為にお

もっとみる
”I” はなぜ大文字で書くのか(臨体)

”I” はなぜ大文字で書くのか(臨体)

”I” は肉体ではなく、<この文の話し手>という概念。

だからどの文でも、話し手はみな ”I” になり、それは無数にあるので、フランス語やドイツ語では、”I”にあたる je や ich は小文字で書く。

では、なぜ英語の”I” は固有名詞のように大文字で書くのだろうか。

ひとつには、" i " と小文字で書くと、小さくて見にくい。

もうひとつの理由は、どの話し手にとっても、話し手自身はいつ

もっとみる
be はなぜ複雑に変化するか(動存)

be はなぜ複雑に変化するか(動存)

beの語源は、印欧語の語幹*bheu- (存在する)までさかのぼれる。

この古い語幹は、今も neighbor(近くに住む者)のつづりに保存されている。

さて、英語の不規則動詞be の語源は、beだけでなく、次のようにいくつかある。

①es-/er-  存在する。 これが、am, is, are という現在形となった。
②be-   生成する。 これが、be、being、 been となった

もっとみる