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you はなぜ単数も複数も同じか(臨体)

"you" は、単数の聞き手も複数の聞き手も表せる。こういう言語は西欧に多いが、どうしてこうなったのだろう。

それは、ローマ帝国以降、各地の王が自分を"we" と呼ぶ習慣がヨーロッパに広がったことがきっかけだったという( royal "we" )。

 王が自分のことを "we" と呼ぶので、臣下も王を、複数形である "you" (起源は古英語 ye の目的格複数形)で敬称する ようになった。

この習慣が一般の人も広がり、単数の聞き手でも敬称的に "you" で指すようになったという(江川泰一郎『代名詞』研究社、1955年、6、8頁)。

おそらく、宮廷の "you" が一般にも広がった理由は、単数でも複数でも一語で済ませることができるし、敬称的でもあるので、使い勝手がよかったからだろう。


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