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「JPOP」とは何だったのか

2030年の今、昔「JPOP」と言われた音楽ジャンルは完全に形を変えています。今やトイレットペーパーやシャンプーと変わらない「消費財」としての様相が色濃くなった音楽シーンの中で「JPOP」がどんな未来を辿ったのか振り返ってみたいと思います。

248年でメロディーは枯渇する

「考えうる限りのすべてのメロディを作り出して著作権を取得する」というプロジェクトをご存知でしょうか。音楽を作る時に重要なメロディーを考えた時、それはドレミファソラシドの組み合わせでしかなく、理論的には枯渇するとされています。その期間は248年。2030年、完全に主要なメロディーは使い果たされました。

今でも少なからずクリエイターが作曲に勤しんでいます。しかし、メロディーは特許で守られているため安全な一方、折角作成したメロディーが実はデータベースの中にあるため、厳密には新規に「クリエイティブ」したものにはならず、クリエイターの創作意欲が減退しているのも事実です。

JPOPに与えた影響

JPOPは日本人の誰もがJPOPと言われると分かるほど特徴がありました。様々なジャンルの音楽を融合し、日本人が好むメロディーライン、コード進行に落ち着け、日本人に馴染みのある楽器達で構成する音楽で基本的には成り立っています。

2020年にも、TMレボリューションとL'Arc~en~Cielを混ぜた感じ、とかRADWIMPSっぽい感じ、とか星野源っぽい感じ、モー娘。っぽい感じ、など聴く人が聴くと新規性のない音楽に溢れていました。事実、音楽への純粋な関心は薄れてきており、無関心層が10%程度増えてきているというデータもありました。(「音楽メディアユーザー実態調査 2019年度」より)

少し音楽をかじっていれば誰でも声質やピッチもいじれるようになったこの時代。重要なポイントは「プロモーション」の一点のみで、JPOPシーンではいかにオリジナリティをもたせるか(音楽性以外で)に焦点が当てられていました。

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流行りの延長線上にある音楽を作るのか、過去の遺物に再度注目して音楽を作るのか、JPOPは大体この繰り返しで流行り廃りを繰り返していました。

メロディーが使い果たされた現代、「JPOP」はボタン一つで「誰でも」作れるようになりました。Googleがフリーミアムモデルで展開した「歌詞に合わせて勝手に自動作曲するサービス」を使って。

今まで聴いてきた個々人の音楽の傾向をディープラーニングし、好みの音楽を提案してくれるようになりました。聴きたい時に聴く「消費財」としてのJPOPになったのです。

音楽のこれから

JPOPに限らず、世界の様々なジャンルの大衆的な音楽は機械に代替され、クリエイティビティを必要としなくなりました。生き残るアーティスト達もプロモーション手法が出尽くされ、大体見たことのあるような売り出し方をしながら一定の売上を上げるといった状況です。

IT化により無駄な手作業から解放され自由な時間を手に入れたことで、引き続きライブ・エンターテインメント市場は成長を続けています。音楽を楽しむのではなく、「アクセサリーとしての音楽」として人々を楽しませているのです。

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参照) https://corporate.pia.jp/news/detail_live_enta_20190912.html

一般市民である私にとって、いつでも好きな音楽が手に入る感覚は悪くはないです。しかし、自己実現欲求ではなく、承認欲求のために作曲をしていたクリエイター達にとっては大打撃となり、アーティストの人数も相当数減少したと言われています。

機械に代替できない音楽シーンが来ることはあるのか、ないのか。
そんなことを考えながら日々生きている私です。

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