創造力を育む大学教育に 1

★ 昨今の教育論で、「教えるほど学生の自発性は低下し、発想力や想像力は減退する」という趣旨の意見をよく見かけるようになりました。
 これまでの教育は、ある想定された状態にまで学力(知識の量)を引き上げるという目的に沿って、「如何に教えるか」という視点で、組織、制度、方法、カリキュラムが考えられ、工夫されてきましたが、その方法の問題点が徐々に明らかになった今、それをすべて覆すほどの抜本的改革が必要なのかもしれません。

★ 子供は、興味に任せておけば、行動でも思考でも実に面白いことを始めてしまいます。でも、それらは大概、大人の経験や知識をもとに、方法の誤りや、結果の危険を指摘され、諭され禁止されて、やがて子どもたちは、発想や冒険への興味を失って、言われたことを覚えるだけの「面白くない勉強」を続けるようになってゆきます。そしてこれが「制度による教育」の実態となっているのです。

★ 今「教育」は、若者に「創造力」を求めながら、実態は「記憶力」で評価しているのが現状です。「教育の改革」を行うには、まずこの矛盾の解消がまず必須ではないでしょうか。しかしこれが実は非常に難しいのが現状です。
 理由は単純で、実は教師にその力が無い。習ったことと違うことを考えられないのです。だから学生(生徒)が自分で考えたことを肯定できないのです。自分でできないことは人に教えられないですから。

★ 大学は「最高学府」と言われます。その意味は「未来の創造」、大学教育は「未来を作るの創造力」のある学生を育成するのでなければなりません。教授が今持っている知識をすべて覚えても、それは「過去の知識」に過ぎません。教授の考えと違う発想ができて初めて意味があるのです。

★ 未来は、過去の延長にあるのではありません。過去の知識をすべて学べば、自然に新しいことができるのではありません。
 まず、新たな突飛な思いつきがあって、それを実現するために知識を総動員して利用するのです。発明は素人から生まれることが多いのはそのことなのです。

★ 大事なのは発想力、思い付きを楽しむ力、自分の考えを肯定する能力。これらは教えてできることではないのです。         (続きます)
               〈濤瀞〉

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