まふまふ『デジャヴ』ーボクの既視感を紐解く
まふまふさんは11月22日のツイキャス配信にて『デジャヴ』の歌詞について、次のようにコメントしている。
「正解とは何だ、正しさとは何だ、と。狂っていると言われてしまうこと、狂ってしまうこと。例えばこの世界で生きることがあまりに苦痛であるがゆえに、頭がおかしい方が楽だったりすると思う。若者たちはそう苦しんでいると思う。」
これを踏まえつつ、歌詞の言葉を読み解きながらこの曲を紐解いていきたい。
『デジャヴ』
作詞作編曲:まふまふ
1.愛が見つからない
排気ガス それと乖離無く
宙に浮いて 彷徨って 愛に巻く
予定調和で固定相場制
番装い気取った今日まで
排気ガスと同じように
ふらふらとさまよって 愛に身を隠す
(※愛に巻く:「煙に巻く」の慣用句の転換)
予定通りに進み 大きく変動しない
今日まで仲間のふりしていた
そりゃ愛じゃないという また愛はないという
足りない願い以外
そうやってワンと鳴いて御仕舞
(愛だと思っていたものは)愛じゃないし、
(ここにあると思ったが)ここにも愛は見あたらない、
そんな満たされない願いだけを抱いて
負け惜しみの声をあげて 終わる
壊して直し 壊して
そして手元に余った哀のパーツ
それは高価な心の穴
きっと二度とは戻せなそうだな
これは違うと終わりにし 再び修復し また壊す
そして手元に残ったのは 哀しみのかけらのみ
大損失を被った心の穴
きっと二度とは元通りに直らなそうだ
ーーーーーーーーーーーー
※※ここまでの歌詞は『ジグソーパズル』に通ずる心理といえる※※
参照:まふまふ『ジグソーパズル』
損失 利得 体裁 気にするたびに
右も左も差し出していく
穴ボコ開いた ジグソーの模様
パズルピース
あの子と手を繋げるために
余り物にならないために
切り取って すいて 貼って
何もハマらない 心のトコ
足りないのだ 足りないのだ
足りないのばっかで何にもないや
優しさは 3ピースもないなあ
砕けた強がりの欠片
ーーーーーーーーーーーー
「君は普通じゃない」
ボクは普通じゃない
ズレていたのはいつからだったっけな
人に指摘されて
自分が変わっていることに気づく
窓枠はめ込む九教科
嘘ついてまで笑わせたいチョーク
こんな空疎な世界なら
狂ってしまっていられそうだ
きっちりと決められた時間割
正しいことを教えず 聞こえのいいことしか言わない(板書する)先生
こんな薄っぺらい日常なら
気も狂ってしまいそうだ
ねえ なんでなんで 好き勝手
流行り病みたく愛して
期待感未満 哀願ノーカウント
確定化 囚人のジレンマ
どうして 思うままに
誰もかれもやっているみたいに愛してくれないの
期待感ももてない 切なる願いはとりあってもらえない
決まっていくことが 必ずしも全体の利益にならない
(※ここで囚人のジレンマの詳細な説明は割愛)
密売の心臓 行為 願望 取り巻いた蜃気楼
否応ない後悔 どうだい 脳内 どうだい
わからないんだよ なんで なんでよ
非公式に取引される大切なもの やってしまったことと己の願望 そして手に入れられないものを臨む
絶対的な後悔にさいなまれる 頭の中はどうなっているんだい
わからない なんで手に入らない?
法定内のナイフ持った 場違いの感覚は主人公
震える君は拒否反応 刃先は静脈に続いていく
この瞳が疼いたのは 既視感だらけの生
凶器にはならないナイフを手に 自分が人とは違うという意識はまさに主人公
恐怖心から君は拒否反応を起こし、ナイフで致命傷は負わせない
めまいがするのは この何度も見たことのあるものばかりの人生
2. 真面目に生きる難しさ
ドラマにありそうな愛はたくさんあった
間に合わせにちょうどいいですね
さよならの顔はまるで印象なくて
受信できずに砂嵐が吹いて 滑稽
ドラマでよく見る愛の形なら たくさんある
その場しのぎで心を埋める分にはちょうどいい
相手と別れたときにも名残惜しくはなく
チャンネルを受信しないテレビの砂嵐の画面のように 映像として思い浮かんでこない
夕焼け小焼けでまた明日
約束 宿題 忘れた者勝ち
そうして今夜も世界から
零れ落ちてしまいそうだ
放課後「また明日」と家に帰る
誰かとの約束も宿題もすっぽかしてしまった方が気が楽だ
こんなことを考えて 家にいる一人の夜は
世界から自分が落ちこぼれてしまうような感覚になる
ねえ なんでなんで 好き勝手
傾いた生涯に非常灯
非行 逃避行 オイルライター
口内の爆弾バラまいて
自分の思うままに
道を逸れ始めた人生から 避難する逃げ道を探す
非行に走る 現実逃避をする たばこを吸う
炎上の火種となるようなことを言いふらす
秘密裡 売買 等価交換 野次馬の罵声
否応ない後悔 どうだい 脳内 どうだい
怖がるんでしょう なんで なんでよ
裏でひそかにレートにあった取引 外野が文句を言う
抗えない後悔の念に 頭のなかはどうなっている?
実は恐怖心を抱えているんでしょう?
じゃあなんでそんなことをするの
法定内のナイフ持って 将来を均等に捌いた
高い制服まで着こなした奴から 順番に倒れていく
今日もボクを蝕むのは 既視感だらけの生
見えない武器で 将来の可能性を自分でつぶした
良い学校に入って真面目に通っていたはずなのに そういう人ほど道を踏み外していく
今日も何度も見てきた光景を目の当たりにして苦しむ
3.どうすればいいのだろう
虚無 二乗 目新しい物はないや
これ以上 真新しい物はないや
羨望 恋情 迷妄 錯綜
本性 警鐘 未来永劫
創造 構想 想像 範疇にすぎない
虚無に虚無を重ねる 代り映えのしない日々
この先もきっと このままなのだろう
うらやましい、恋しい、心の迷い、複雑な気持ち
本来の自分とこのままではいけないという危機感がこの先も続く
頭の中で思いめぐらせることは 枠組みから外れることはない
猜疑心 虚栄心 交配
存在の証明済みでも
誰彼構わず 詮索 操作
人を疑う気持ちと 見栄を張る気持ちが 交錯し
既に何者か明白になっているにもかかわらず
誰彼構わず 調べあげる
どこを探せど 愛は欠乏 救いはない
歪む未来に御手々を頂戴
どこにも愛はないし 救いは見つからない
自分の今後が危ぶまれ 助けを求める
身に余るデジャヴに苛まれ
心はどこに捨てよう?
自分の手に負えない既視感に苦しみ
心はどう処理すればよいのだろう
ねえ なんでなんで 好き勝手
流行り病みたく愛して
期待感未満 哀願ノーカウント
確定化 囚人のジレンマ
密売の心臓 行為 願望
取り巻いた蜃気楼
否応ない後悔 どうだい 脳内 どうだい
愛しているんでしょ なんで なんでよ
(※1番サビ繰り返し)
なんで なんで なんで なんで
ボクらはどうやって生きるの?
所詮センキュー メリーバッドエンド
生まれりゃ大方はディストピア
この瞳が疼いたのは 既視感だらけの生
何故こうなってしまうのか
ボクらはどうやって生きていけば正解なのか
どうせめでたく メリーバッドエンドなんだ
生まれ落ちたこの世界の大部分はディストピア
この何度も見たことのあるものばかりの人生に苛まれるばかり
※※最後は『メリーバッドエンド』『ハローディストピア』と繋がる※※
◇◇◇◇◇◇◇◇
求める愛を見失ってしまい
どこにも答えを見つけられないボクは
何度も見てきた光景に今日も苛まれながら
まともな道から知らず知らずのうちにずれていく
この負のスパイラルからは脱け出せないのだろうか
AY
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