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書評『 学校の「当たり前」をやめた。』

tatsuki

本書は千代田区立麹町中学校長、工藤勇一氏が本来の学校の在り方や目的を考え、学校の改革を行った話が書かれています。

学校は子どもたちが「社会の中でより良く生きていけるようにする」ためにあり、子どもたちには「自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する資質」すなわち「自律」する力を身につけるに必要があると校長は考えています。そして、子どもたちに自律する力を身につけさせるためには、学校の「当たり前」をやめる必要がありました。

目的と手段を取り違えない

学校の「当たり前」の見直しの中で対立があるのですが、校長は目的を見失わず合意形成を図りながら学校を改革しています。

学校での最上位の目的は「社会の中でより良く生きていけるようにする」であり、その手段として「自律する力を身につける」があり、その手段として「学校の当たり前をやめる」必要がありました。

「社会の中でより良く生きていけるようにする」(最上位の目的
↓(手段
「自律する力を身につける」(目的
↓(手段
学校の「当たり前」をやめる新しい教育カリキュラム

目的と手段を取り違えないためには、最上位の目的を見失わないことが大切です。校長は常に目的を見失わなかったからこそ、対立があっても合意や協力が得られたのだと思います。

学校の「当たり前」をやめた

やめた学校の「当たり前」に宿題や定期考査があります。宿題や定期考査の本来の目的は継続的な学習を促すところにありますが、手段として適切ではないとしています。

宿題の廃止について

宿題の目的は、学力を高めること、学習習慣をつけることです。しかし、子どもたちは宿題すること自体が目的になってしまい、終わらせることに注力してしまいます。そのため、継続した学習には繋がらず、自ら学ぶ姿勢を奪っている可能性があります。そして、宿題には教師が学力を評価する資料としての役割が大きく、教師側の都合で実施されている面があります。

工藤校長は宿題を無くしましたが、その結果、生徒が自分の時間を自分の考えで使えるようになり、継続的な学習時間が増えたそうです。

目的:宿題の目的は本来は学力を高めること、学習習慣をつけること。
問題:宿題には生徒を教員が評価するための資料としての役割が大きい。
   宿題が子供から自律的に学ぶ姿勢を奪っている。
手段:宿題を無くす
結果:自分の時間を自分の考えで使えるようになり「自律」につながった。

定期考査の廃止について

定期考査の本来の目的は学習成果の持続ですが、定期考査の出題範囲のみを頭に叩き込み、その記憶は定着していなかった経験はないでしょうか。定期考査は学習効果の持続という本来の役割を担えていない可能性があります。

校長は定期考査を無くしましたが、代わりに、単元テストを行うようにしました。学習のまとまりごとに小テストを行うことで、理解しきれていないところの復習につながったそうです。また、単元テストは再チャレンジできるようにしておくことで、単元の内容を着実に習得することができるようになったそうです。

目的:学習の成果を持続的に維持する。
問題:「テストの点数を取る」という力の評価にすぎない可能性がある。
手段:定期考査を無くす。代わりに、単元テストを行う。
結果:理解しきれていないところの復習につながる。継続的な学習になる。

新しい学校教育

校長は自律のための環境づくりを行っています。授業とは別の三年間のカリキュラムを作成しており、その中で最初にノートや手帳の使い方を教えるそうです。

従来ノートの使い方と違い、黒板を板書するのではなく、授業から学びをアウトプットする形式のノートの書き方になっており、ノートを見返すことで授業を思い出させ、効率的に復習できるようになっています。他には、ブレストやKJなどのスキルアップ研修、クエストエデュケーション、ツアー企画取材旅行、模擬裁判などがあり、学校生活の三年間を通して自律する力が身につけるためのサポートを行っています。

教育のヒント

問題は作られる

取るに足らない問題を取り上げ、言葉にしてしまうことで、問題となってしまうことがある。大人が良かれと思って掛けた言葉で、子どもは救われることもあれば、追い込まれることもある。

「対立」とどう向き合うか

主張すべきことは主張し、対話をして乗り越えていく必要がある。対立はどこでも起きるもので、対立を避けることのほうが大きな問題である。大切なのは考えに違いがあることを「当たり前」のことと捉えた上で、上位目的を見据えながら、合意形成を図っていくことである。このことを子どもたちに伝えなければならない。

感想

自律を早い時期から身につけておくことは、社会に出てからの助けになると思います。学校には様々な生徒がいて、その中での対立したり、信頼関係を構築するため、成長の絶好の機会であると同時にうまく経験に活かせるように大人が手を貸す必要があると思います。
私も自分の子どもが自律できるようサポートしたいと思います。


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tatsuki
東京でシステム開発に従事しています。 2019年より株式会社ゆめみにてPMを担当しています。 経歴:ガラケーのアプリ開発→Androidのアプリ開発→開発リーダー→PM