やまぶ記 第十四夜 〜歪んだ茶碗〜 ※へうげものネタバレあり

こんばんは。

漫画アプリの無料枠で「へうげもの」をちまちま読んでいたのを我慢できず、等々大人買いして全て読み切ってしまいました。

元々は望郷太郎を待っている間暇つぶしに読もうと思っていただけなのに、同じくらい引き込まれてしまいました。

今回の日記もネタバレを含むので気をつけてください。しかし毎度ネタバレを含む日記ってなんなんでしょう。

戦国の世に渦巻く欲望

へうげものの面白いところは安土桃山〜江戸という大激動の時代を、不完全な、もしくは不相応な業を背負いながら四苦八苦する人々が史実をベースに生き生きと描かれているところです。

歪んだ茶碗を愛するが如く、作中の偉人たちの豪傑さはもちろん、むしろその至らなさにこそそれぞれの強い魅力が出ているように思いました。
lneyaは文化人よりも戦国大名が好きなのもあるかもしれませんが今回はあえて古谷織部や利休ではなく明智光秀、豊臣秀吉、石田三成について少し書いてみます。

明智光秀

作中の光秀は家臣を顧みなくなった織田政権を憂い、千年続く泰平の世を実現しようとする心からの善人でした。
ただ残念ながら読中彼からは「やり切る力」「強かさ」のようなものが感じられず、最期には秀吉という傑物に敗れ理想と共に死んでいきます。
天下を統べる人物ではないなと感じつつもその死には同情と尊敬の念を持たずにはいられませんでした。

豊臣(羽柴)秀吉

本作では秀吉は光秀をけしかけ信長から天下を簒奪したこととなっています。(更に千利休が共犯なのですが。)
豪快さと繊細な気配りを併せ持っており権力者として冷酷な判断が出来る人物でありながら人間らしさもあわせ持ち、生涯を通して孤独と罪悪感に苦しみ続けた様子が描写されています。(ちなみに千利休は割とケロッとしているように思いました。)
晩年には瓜売りの仮装をする瓜畑遊びという催しを好んでいましたが、実のところ彼はその人生をかけて「天下人」という芝居を見事に演じていたのでしょう。

石田三成

今回の歪んだ茶碗というタイトルに一番ふさわしいかもしれません。
能面顔をしており杓子定規な性格から親近感という言葉の対義語のような人物です。
秀吉が彼のような人物を好み側においていたこと自体が数奇趣味のようですが…内面は、良いと考えれば主人公古田織部の忠告を聞き入れ内心慕っていたり、数奇の良さを理解しようと努力してもことに苦しむ素直で真っ直ぐな一面があります。
兄の正澄は性格が全く違い人たらしなのですが彼も(曲がった茶碗とは少し違いますが)とても魅力的な人物でした。


他にも取りあげたい人物はたくさんいますが、これくらいでやめておきたいと思います。
読んでない人に良さが伝わるような内容ではなかったと思いますがもし読んでない人がいたらまずは(合法の!)無料アプリからでもぜひ読んでみてください。
それではまた来週。

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