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【詩】透明な


自販機のひかりがまぶしくて
泣いてしまったことはありますか

冬の畔で
突然
いなくなりたいと思ったことは

死んだひとのホームページを
何度も
何度も
確かめてしまうことはありますか

すべての犬に習性があるように
すべての竜がまぼろしであるように
少女は透明になることを求められる
月のひかりで皮膚がうすく削ぎ落とされ
頭のなかの蜜蜂がつぎつぎ繁殖する

その明滅と雑音を
受け入れている事実に
少女は気がつく

またひとり二階から飛び降りる
血の匂いにひかれて近所の犬が集まる

死体は
人間のかたちをしていたらしい

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