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オミクロンに対する集団ワクチン接種は最後のとどめとなるのか?

Dr. Geert Vanden Bossche 2021年12月9日投稿
Will mass vaccination against Omicron give the final blow?
の翻訳です。原文を参照の上ご利用ください。

オミクロンに対する集団ワクチン接種を行えば、SARS-CoV-2が自然免疫機能を完全に保持している宿主に有利な自然選択することを防ぐ最後のチャンスが失われてしまう。

多くの科学者は、オミクロン変異株が莫大な数の変異を取り込んだことは、ウイルスの進化にとって不利であり、ウイルスは軽症化し、おそらくエンデミック化するか、完全に消滅してしまうと信じているようだ。繰り返すが、自然な進化の流れが大規模な人為的介入で妨げられた場合には予測は信憑性を失う。現在のパンデミックの場合、このウイルスの進化能力に関する懸念を無視して拡大を続け、継続されている集団ワクチン接種が最も懸念すべき脅威の源である。

更新された(つまり、オミクロン対応の)ワクチンによる集団接種が、なぜ、生物兵器同様のリスクをもたらすことになるのか、それを理解するためには、集団レベルの免疫圧力がウイルスの感染性に及ぼされたことで生じた進化の結果、つまり、今では集団ワクチン接種キャンペーンによって促進されたと広く認識されている現象(1)、について追究しなければならない。パンデミックの只中に集団ワクチン接種が行われている状況下で、ウイルスの抗原配列に劇的な変化(例えば、オミクロンに起こったような)が起きたならば、そこに大規模な免疫圧力が関わっていることは疑いないだろう。しかし、ウイルスの感染性に対する免疫圧力によって、オミクロンの中和性でさえ影響を受けているというのに、どうしてそれが、より穏和なウイルス挙動につながると言えるのだろうか。このパンデミックで学んだ最大の教訓は、ウイルスの進化的振る舞いについて疑問を感じたときには、常に自然免疫のルールに立ち返るべきだ、ということだ。スパイクタンパク質に対する中和抗体に対して、より一層抵抗性に進化することで、SARS-CoV-2は宿主の自然抗体をますます解放するようになっている(自然抗体はもはや抑制されていない)。

自然抗体は抗原非特異的にウイルスを除去するため、対応する自然抗体から逃避するSARS-CoV-2変異株というものは単純に存在しえない。そのため、そのような自然選択は生じない。具体的に言うなら、オミクロンは疑いようもなく集団レベルの免疫圧力の結果であり、集団ワクチン接種によってその生存を脅かされたSARS-CoV-2がその進化能力をどのように発揮するかの明白な例と言えるが、自然抗体との競合を続けたままでは、この進化適応は許されなかった。英国健康安全保障局が発表したCOVID-19ワクチンの週間サーベイランス報告(第33週から第48週)は、自然抗体が、特に徹底的に訓練された場合(高齢者層など)にはワクチン由来抗体との競争に耐え、接種者の感染率を劇的に減少させたことを示唆している(2)。したがって、例えば、オミクロンに対するワクチン由来抗体のウイルス中和力がさらに低下すれば、自然抗体がその力を取り戻し、接種者の発症を劇的に減少させることは驚くべきことではない。

その一方で、非接種者が以前に(デルタ株への軽症感染で)獲得した短命の抗体ではオミクロンは認識できないことも、より年齢の低い非接種者の罹患率の低下につながる(注1)。オミクロンの感染性は非常に高いため、私たちはまもなく、世界中で、感染の巨大な波を目撃することになるだろう(ただし、重症疾患は少ないだろう)。 しかし、この波の後には、ウイルスの感染圧力は激減する。今こそが、全ての集団ワクチン接種を中止し、ウイルスの感染力を低下させ、同時に広範に抗ウイルス化学予防プログラムを実施して、この高感染性変異株の伝搬をさらに抑える最後のチャンスである。

公衆衛生や国際保健当局がパンデミックと集団ワクチン接種がもたらす悲惨な結末について全く無知、無理解であり続けていることを考えれば、私がこれまでに示唆してきた大災害を防ぐことができる可能性は低いと考えられる(3)。以前の軽症感染の結果、オミクロンのスパイクタンパク質に対する短命の抗体を獲得するようになれば、より多くの接種者が発症するようになり、科学的に腐敗した物語がさらに助長されることだろう。オミクロンのスパイクタンパク質に対する短命の抗体は、接種者において、より容易に自然抗体を凌駕し、ワクチン抗体による免疫抑制によって、その訓練は滞ってしまう。感染性の高いオミクロン株に短期間に再曝露すると、接種者はより罹患しやすくなると考えられる。

注1

すでに報告されているように、ワクチン非接種の高齢者層では、症例率が著しく低い。おそらく、徹底した免疫訓練により、より親和性の高い自然抗体を得たと考えられる(すべてのワクチン非接種層において、長期間の曝露による発症減少が認められる:英国健康安全局発表データ参照https://www.gov.uk/government/publications/covid-19-vaccine-weekly-surveillance-reports)

参考文献

  1. https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jpclett.1c03380

  2. https://www.voiceforscienceandsolidarity.org/scientific-blog/omicron-the-calm-before-the-tsunami (和訳

  3. https://trialsitenews.com/continued-mass-vaccination-will-only-push-the-evolutionary-capacity-of-sars-cov-2-spike-protein-beyond-the-omicron-version/

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