習作 #4
平和は貧乏くさい。物語で描かれる戦争は決まって夏で、タンクトップに坊主頭の少年が木造家屋で団扇を煽いでいる。現実の慰霊式典は毎年仮設テントにパイプ椅子で、蝉の声が響く中で毎年同じようなスピーチが発表される。戦後何年たっても日本人にとっての「戦争」は太平洋戦争のイメージのままだ。同じイメージの反復は、私たちの社会は平和なのだ、という自己暗示でもある。
私はミュージシャンでテロリストだ。比喩ではなく、世界のさまざまな場所で事件を起こしてきた。単独犯で起こせるテロの規模は限られているが、その分柔軟に活動できた。要領さえ押さえれば治安当局の目をかいくぐることなど容易だ。あるときは「テロ」として、またあるときは「災害」や「経済危機」として、世界に恐怖を与えた。そして私は唄を歌って、人々を奮い立たせた。
私はテロという小さな戦争を通じて平和を追求している。恋人にキスをしたり、教会で祈りを捧げるように、神聖な気持ちで爆弾を仕込む。人が死に、遺族が悲しみに暮れ、そして世界が更新されていく。すべての出来事は祝祭であり、そして私はあなたを愛している。
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小説の練習に取り組んでいます。とりあえずノートに1行目を書き、言葉を継いでいくと、思ってもないような文章が出来上がっています。表現力も拙く、またあまり良い文章でもありませんが、何かになるかもしれないので投稿しておきます。上達のためには、公開することが何より重要なので。
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