OSI参照モデルとは #352
OSI参照モデルとは、通信プロトコルを性質や送信対象に応じて7つの階層に分類した規約です。
通信プロトコルとはコンピューター同士でデータをやり取りするための規約で、データ形式やパケット構成、エラーへの対処方法などが取り決められています。HTTPなどは代表的な通信プロトコルですね。
OSI参照モデルは、異なる機種間でのデータ通信を実現するために「ネットワークの役割を明確に定義しよう」という背景で、ISOによって策定が進められました。
7つの階層とその主な定義は以下の通りです。
各階層について簡単に見ていきたいと思います。
アプリケーション層 (L7)
ハードウェアが持つ「通信機能」と「ソフトウェア」、及びそれらを繋ぐ「窓口部分」に関するルールを定義したものです。この中でアプリケーションごとにプロトコルが細分化されており、代表的なものは以下です。
HTTP / HTTPS:
Webプラウザを利用してWebページを閲覧するためのプロトコル
FTP / SFTP:
サーバーにファイルを転送するためのプロトコル
SMTP / POP:
メール送信 / 受信のためのプロトコル
Telnet:
サーバーを遠隔操作するためのプロトコル
SSH:
サーバーに遠隔から接続する際にパスワードを暗号化する場合のプロトコル
アプリケーション層のプロトコルはアプリケーションによって様々あり、全て異なっています。そのためプロトコルは実質無数ですが、ハードウェアの通信機能がこれらの制御を行なって通信を確立しています。
プレゼンテーション層 (L6)
文字コードや暗号の変換など、コンピューターとネットワークのデータ形式の変換に関する規定です。データの表現形式を定義しているとも言えます。代表的なものは以下です。
FTP / SFTP:
サーバーにファイルを転送するためのプロトコル
SMTP:
メール送信のためのプロトコル
ここが上手く行われなかった場合によくある不具合は「文字化け」です。適切な文字コードや改行コードでHTMLファイルを作成しファイル転送することで、上位のアプリケーション層にデータを渡すことができます。
セッション層 (L5)
アプリケーション間での一連の通信処理の継続(=セッション)の仕方を規定しています。通信を確立し、維持し、終了するまでの一連の手順の規定です。
SSL / TLS:
TLSはSSLの次世代に定義された安全に通信をするためのセキュリティプロトコルで現在の主流。ただしSSL3.0からは通信方法はほぼ一緒なため、合わせて表記されることも多い。
SSLサーバー証明書:
「運営者の実在性」を確認し、ブラウザとウェブサーバー間で通信データを暗号化するために認証局から発行される電子証明書。これにより通信中の盗聴・なりすまし・改ざん等のリスクを回避し、フィッシングサイトによる詐欺被害を防止できる。
トランスポート層 (L4)
通信の品質をコントロールする層であり、正確な信号を送信する通信の規約を定めています。信頼性重視やリアルタイム性重視など、用途に応じてプロトコルを使い分けることができます。
TCP:
信頼性重視のプロトコル。ノード間の接続を作り、通信が終わる時に接続を切り、確実な信号を送信する。TCPを利用して到着順序や到着確認を実施できる
UDP:
リアルタイム性重視のプロトコル。すぐに使える身近な通信機能を提供する。動画ストリーミング配信やリモート会議などのライブ配信などの速度重視の通信が可能。
通信の確立とは、端末からウェブサーバーに対して「通信する?」と投げかけ、ウェブサーバーから端末に対して「OK、通信しよう」と応答しているイメージです。
ネットワーク層 (L3)
サーバー同士が接続する際の、IPアドレスを利用したルーティング方法を規定しています。IPアドレスを利用した割り当てや、ルータによる宛先のコンピュータまでの最適なパスの選択などです。
IP:
接続するコンピューター機器にIPアドレスを付与し、機器同士を通信する。
このように複数のネットワークをつないで相互にパケットをやり取りする機能を実現することをインターネットワーキングと言います。
データリンク層 (L2)
1つのネットワーク回線上で直接接続された機器(ノード)同士の通信について規定されています。代表的な組み合わせは、LANで使われているMACアドレスによるイーサネット接続です。
MACアドレス:
ネットワークに接続できる全ての機器に割り当てられている一意の番号です。ノード間のデータ転送を行う際の宛先として使われるアドレスで、コンピュータ機器の製造時に割り振られます。
イーサネット:
主に室内や建物内でコンピュータや電子機器をケーブルで繋いで通信するLAN(構内ネットワーク)の標準の一つで、最も普及している規格。イーサネットの概念は有線でも無線でもローカルエリア(室内、企業のオフィス内)のネットワークであることです。
物理層 (L1)
ビットによるコンピュータ間の物理的な接続やデータ伝送形式を規定しています。0と1のビット列を電気信号に変換しネットワークへ伝送する方法などがあり、ハードウェアのコネクタ形状やピン数なども定められています。
イーサネットの物理層を規定するIEEE 802.3が代表的です。
基礎こそしっかり押さえたいですね。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
参照
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