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Tom Traubert's Blues - Tom Waits

On Music

疲れ果て傷ついた月のせいでもなく、
身から出た錆さ
明日会おう
なあ、フランク
2〜3$ 貸してくれよ
あてのない旅に出よう、そう旅に出るんだ
おまえも一緒にな

バーボンをボトルから浴びるように飲み、朦朧とした意識の中、この曲を聴いたのは、仕事と都会暮らしに疲れ果て何もかも投げ出したくなった夜の事だった。
ビルの隙間から見える空に尖った月が自分を見下ろしていた。
アスファルトの冷たい感触だけが現実の世界と繋がっていた。
煙草を一本取り出し、残りは箱ごと通りに投げ捨てた。
煙を深く吸い込み、檻に閉じ込められた月に吹きかける。
Tom Waitsの声が遠ざかる。

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