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【要約】座右の書「貞観政要」


序章「世界最高のリーダー論」はなぜ生まれたか
「貞観政要」は、唐の時代に編纂された李世民の言行録です。ここでは中国の歴史が記載されており、皇帝が変わる理由が明記されている。皇帝が変わる際、新しくなった皇帝は後世に善政を行ったと言い伝えられるために前の皇帝を暴政だと正史を書き換えることがあった。同時に人民に良く思われるために善政を行ったと言われる。李世民は、側近に優秀な3人を置き、その内の一人である魏微に自身の行いを諫言させ、高い位に就かせた。その後に中国を支配するクビライも人材登用の上でこう言った人材を常に探していた。

第一章リーダーは「器」を大きくしようとせずに中身を捨てなさい
魏徴は「君主を滅ぼすのも立てるのも人民である」と伝えており、そうなれば君主としてどうあるべきかということについて十の思慮と九の徳行を説いている。理想のリーダーとは何もしないリーダーであり、そうするためには人材の配置、つまり適材適所が為されているかどうかが非常に重要な部分とされている。皇帝は無闇矢鱈に権力を行使しないのが理想である。そうならないために先の十思と九徳があり、そうなる器になるためには器を大きくするのではなく、現在詰まっている器の中身を捨てる事が大事である。つまり自身の価値観や好みを捨て、新しい価値観を常に勉強によって吸収し、本当に大事なものを残すというやり方である。その器の形によって人民は水のように変化するものなのである。その上で行動を起こす時は、人民を喜ばせることより嫌がることをしない等考えのもと、行動すべきである。そして何もかもに首をつっこむのではなく、部下の仕事は全て任せることも大切である。

第二章「部下の小言を聞き続ける」という能力
物事の本質を捉えることは難しく見る角度によって善にも悪にもなる得るので、正当な評価を下すためには多角的に色々な人の意見を聞き、様々な視点からの意見、考えを取り入れることが大切である。なので好き嫌いで人の意見を聞く事はしないで、寧ろ相性の悪い人の意見をどれだけ正面から受け入れるかが大事である。上司は上に立つほど権限が強くなり、行使したがるが、上司の能力とはどれだけ自分の欲を抑えて指導できるかが大事で、部下にどれだけ自分の間違いを指摘できる環境を作れるかである。優秀なリーダーとはいかに「三鏡」を行使できているか、である。「銅の鏡」である部下が楽しく仕事ができているか。「歴史の鏡」である過去に照らして準備ができているか。「人の鏡」である直言をしている人が周りにいるかどうか。

第三章 「いい判断」ができる人は頭の中に「時間軸」がある
相手の納得感を引き出す為に故事や逸話を使うと腹落ちしやすい有効な説明の手法となる。小事は大事だからこそ徹底的に任せる。任せたなら小さなミスを指摘しない。ただ、同じミスは繰り返させない。その為にもしっかり説明をし、納得をさせ、信頼を勝ち得る事が必要である。信頼を勝ち得るためには言葉を大事にし、一度口にした言葉は必ず曲げず、完遂させる事が信頼を得るために必要なことである。その判断、発する言葉をより強固にする為に勉強をし、知識を広く持ち、正しい時間軸で判断をするべきである。

第四章 「思いつきの指示」は必ず部下に見抜かれる
感情と思考は繋がっているので、感情が高ぶっている時はむやみな発言や評価は控えた方が良い。上司としてどっしり構える為に常に余裕を持った心持ちを保つ事が大事である。真の部下というのは本当に大変な時に残ってくれる部下を指すが、それまでに部下にどういった指導をしてきたかによる。しっかりとその人の本質を見抜いて適当な負荷をかけながら指導してきたか、そうでないかによって部下の成長具合は変わるからである。その指導法にも真があるか、そうでないかは部下はしっかり見ているのである。その為には部下を信頼しているかどうかである。

第五章 伝家の宝刀は「抜かない」方が怖い
間違った判断を下す際には感情が入っていたり、上司、部下などの関係性から本当のことを言えなかったりすることからくるものが多い。それを取り除く為には仕事の重要性を軽く考える必要がある。仕事は人生の全てではないと考える事で自分の意見を言える場合がある。優秀なリーダーとは「何もしないで部下を見守る」勇気が必要である。同時に優秀な部下を見つけるのではなく、今いる人材の適材適所をしっかり見極め、適正な配置を行うことがマネジメントである事を理解する。更にルールは出来るだけ簡潔化した上で時間と空間を制限し、その中で効果を発揮できる指導を行うべきである。

第六章 優秀の美は「自分」にかかっている
創業と守成のどちらかが難しいというのは比べようのないものであり、それぞれがそれぞれの成功体験を持っているので、これを上手く使うことが大事である。リーダーはあくまで舟であり、部下は水であるということを忘れずにリーダーとしてあるべき行動をとるべきである。その上で人材を登用する場合は、過去の関係を機にすることなく本当に能力のある人、必要としている人を採用すべきである。優秀の美を飾る最も大切なことは初心を忘るべからずであり、組織が成立した後の自身の戒めをどれだけ続けられるかであり、側近に機微のような直言を恐れない人がいるか、そんな人を採用しているかが非常に大事である。

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