【旅日記】京都長期滞在記(2)
前回はこちら。
2日目 番外編的な大阪・兵庫詣で
廃止間近の妙味ケーブルに初乗車
京都滞在2日目。
本来であれば、さあ京都を楽しむぞ、というところではあるのですが、この日は都合で京都を脱出して大阪と兵庫の府県境へと向かいます。
四条河原町駅から阪急電車の特急で梅田へ。さらに阪急宝塚線、能勢電鉄と乗り換えて妙味口駅へ到着。ここは大阪府の北のはずれです。ここから20分ほど歩き、府県境を超えたところに妙味ケーブルというケーブルカーがあり、2ヶ月後の12月上旬での廃止が決まっていたため、貴重な京都の1日を潰して馳せ参じました。
小さい頃から時刻表に親しんでいた私は、このケーブルカーの存在は知っていましたが、特段の観光地ということもないため、訪れたことはなく廃止間近の初訪問となりました。
妙味口駅からだらだらとした上り坂を進むと、右手に「妙味の森ケーブル」の山麓駅である黒川駅が見えてきます。
「妙味の森」とはケーブルで上った先にあり、能勢電鉄が営業する自然豊かな行楽施設です。公園やバーベキュー施設、さらに山上に登るためのリフトのほか、以前は森林鉄道の動態保存的なこともしていたようです。娯楽の多様化など昨今の社会環境の変化で、妙味の森の営業が終了することとなり、ケーブルカーも廃止が決まったようです。
駅舎は木造のレトロ感たっぷりで廃止はもったいない感じでした。
ケーブルカーに乗り込むと程なく発車。ぐんぐんと勾配を登っていきます。ケーブルカーですので、もちろん中間地点で対向の車両とすれ違い、あっという間に山上駅に到着しました。距離はわずかに0.6キロ。といっても標高差は223メートルもありますから、歩いたら大変です。昔は多くの行楽客が乗っていたのだと思いますが、この日は三連休最終日とはいえ、乗客はそれほど多くありませんでした。お名残乗車の方もいらしたようです。
山上駅からは上り坂をしばらく歩くと開けたところに出て、ここに遊戯施設
などもあったようです。その一角から山頂へのリフトが出ているので、さらにそちらに乗って山頂をめざします。この日は10月上旬というのに天気が悪く、リフトで山頂へ向かうと肌寒いほどでした。
山頂近くでリフトを降りても特段に何かあるわけではありませんが、山頂まで上ると、能勢妙見山という日蓮宗のお寺があるので、そこまで山道を辿ってみました。
とりあえずお参りをして、もと来たルートを戻り、ケーブルで下って妙味口駅まで戻りました。ちなみに、能勢妙見山には通じる道路があり、参拝者のほとんどはそちらから来ているようでした。
いい時間になったので、妙味口駅前の食堂で「ししとじ丼」をいただきました。このあたり、しし鍋など猪料理がけっこう有名なようです。それだけ、元々は山の中ってことだったんでしょうね。
能勢電鉄沿線は、妙味口の手前に光風台という住宅地が開発されていますし、この後向かうもう一つの終点である日生中央は多摩ニュータウン並みの大規模宅地開発地で、元々のローカル鉄道からベッドタウン鉄道に変貌した鉄道でもありました。
日生中央から宝塚へ
妙見ケーブルの初乗車とお名残り乗車という、この日の最大の目的は果たしました。ということで京都に戻ってもいいのですが、いや良くないです。
私には、京都に滞在するというだけでなく、日本の鉄道に全部乗るという壮大な(それほどでもない)目標があるので、せっかくこんな面倒な地域まできたのであれば、このあたりの未乗路線を乗っておきたい!
まずは上記にも書いた能勢電鉄のもうひとつの終着駅である日生中央へ。ここは途中妙味口に来るのに乗り換えた山下駅で再び乗り換えです。もともと能勢電鉄というのは、妙味口までの路線しかなかったところ、高度経済成長期に開発された日生ニュータウンへの路線として日生線山下〜日生中央間を建設、開業しました。多摩ニュータウンめざして途中駅から分岐して作られた京王相模原線や小田急多摩線みたいなものです。でも能勢電鉄の場合は、こちらが完全に本線のようになってしまいました。大阪のベッドタウンとして、朝夕は長編成の電車がなんと阪急梅田駅まで特急として直通するのですから。
もっとも日中は全て線内折り返し運転で、電車も空いてます。なんとも、教科書のようなベッドタウンです。山下駅を出るといかにも新線という構造の路線を快適に走り、わずか3分で近代的な駅に到着しました。
日生中央の駅前は、いかにも計画的に作られた広い空間で、車寄せ、バス乗り場、スーパーや駅前ビルなどが配置されていて、その奥には住宅街が広がっているのがわかります。確かに生活必需品は駅前で揃い、ファストフードなどもありますが、それ以上のものはないので、まさに「ベッドタウン」。
特段長居する場所でもないので、折り返します。能勢電鉄の始発駅である川西能勢口駅まで戻り、阪急宝塚線の終点宝塚駅へ。これで宝塚線も乗り終えました。そして、宝塚は初めて来ました。
宝塚歌劇団の本拠地、駅のすぐそばに歌劇団の劇場もありますが、ちょうど宙組のイジメ問題で公演がすべてキャンセルされていた時期だったため、にぎわいは特にありませんでした。
駅前の銅像は、普段であれば記念写真を撮る人でもいるのかなぁと思いましたが、誰も関心なさそうでした。
箕面のビールで小休止
宝塚からは、西宮方面へ向かう阪急今津線もまだ乗っていないのでそそられたのですが、宝塚線の支線を先に片付けることを優先して宝塚から引き返します。
石橋阪大前で箕面線に乗り換え。箕面線のホームは梅田方面に直通することができるようになっていますが、今は線内運転しかありません。かつては箕面も行楽地だったのかもしれないですね。
箕面まではわずか3駅、6分で到着です。
箕面といえば、クラフトビール好きな方には定番、お猿さんの図柄で有名な箕面ビールのお膝元です。タップルームに行きたいところでしたが、箕面ビールのタップルーむは箕面駅ではなく、ひとつ手前の牧落駅から徒歩12分という微妙なところなので、どうしようか悩んでました。
ところが箕面駅に着いてみたら、なんと駅構内に素敵なタップルームがあるではないですか!もう、こちらに即決です。
残念ながら箕面ビールは置いてなかったのですが、大阪のクラフトビールを生で飲める貴重なお店です。軽食のプレートとともにエールをいただきました。ちょいゆっくりさせていただき、箕面まできたことは大満足に終わりました。
この日の最後は京阪プレミアムカー
ビールをいただいていい気分になって、梅田に到着。このまま四条河原町ゆきの電車に乗れば乗り換えなしで帰れるところですが、まだ乗ったことのなかった京阪プレミアムカーを試したくて淀屋橋駅へ。
プレミアムカーは、京都と大阪をむすぶ特急や快速急行に連結されるようになった指定席車です。3列シートでJR特急のグリーン車よりゆったりしていると評判も上々と聞いていました。さてこの指定券、京阪電鉄のネット会員になっていればネット予約できるのですが、一回のためにそんなことはしたくなかったので駅で購入することに。
JRでも私鉄でもこのような通勤特急的な列車の場合は指定席券売機があるものですが、京阪の場合、それは改札外の券売機にはなく、有人の窓口へという案内。「えーっ」と思いつつ、窓口カウンターへ行くとあっさり発券してもらえました。
もっとも、ホームに行ってみれば、ホーム上に指定席券売機がありました。要はすぐ乗る場合はホームで買えってことなんですね。
出町柳ゆき特急は京橋を出ると急行線を飛ばしますが、ビールの酔いであっという間にうたた寝。気がついた時にはもう七条でした。これってプレミアムカーを堪能したことになるのかならないのか。いずれにしても、今度はシラフで乗る必要がありそうでした。
夕飯は木屋町のイタリアン
祇園四条駅から地上へ出れば、もうすっかり日が暮れていました。
夕飯をどうしようかと考えながら四条大橋を渡り、渡ったところで左に入って木屋町方面へ。しばらくぶらぶらとしてから、割とひとりでも入りやすそうなイタリアンのお店へ。三連休最終日の夜ということもあってか、すんなりと入ることができました。
コースメニューしかないということでしたが、それほど高いわけでもなかったので問題なしです。でも、このお店、正解でした。
写真を見てください。このサラダで心掴まれてしまいます。
ともあれ、京都2日め終了です。翌日からは京都を本格的に歩きました。
次回はこちら。