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メタバースへの5つの入り口(ゲーム・SNS・XR・クリプト・インフラ)

武井 勇樹 | Synamon COO

こんにちは、Synamon COOの武井です!

最近、連日のようにメタバース関連のニュースが話題になってますが、今日はメタバースに至る道筋が複数あるという話を書いていきます。

メタバースは、わずか数ヶ月のうちに、一気にインターネット産業の一大トピックになりました。
そのため、色んなプレイヤーが異なる文脈でメタバースという言葉を使っており、その結果「結局メタバースってなんなの?」ということが分かりづらくなっているように感じます。

メタバースは定義自体もまだ決まってないですが、本記事ではメタバースを「3DCG技術でバーチャルな世界を構築し、バーチャル上で人々の交流や経済活動を含めた様々な活動が出来る仕組み」として話を進めます。

上記で定義したメタバースの要素としては、主にゲーム・SNS・XR・クリプト・インフラの5つがあります。そして、バックグラウンドが異なるプレイヤーが、それぞれの入口からメタバースという大きな山を目指している状況です。

メタバースの入り口のイメージ図

本記事では、メタバースの覇権を目指す入り口として5つの観点を紹介しつつ、各領域の代表的なプレイヤー達を紹介していきます。

実際には1つの入口からメタバースを狙っているというよりは、例えば「ゲーム+クリプト」「XR+SNS」のように、複数の要素の掛け合わせをすることでメタバース構築を狙っているプレイヤーが多数です。
ただ、本記事では内容をシンプルにするために、各領域ごとの特徴にフォーカスして話を進めていきます。

1.ゲーム

メタバースへの入口の1つ目として紹介するのはゲームです。
現在、メタバースの代表例として挙げられることが多いFortniteやRobloxなどがゲームを起点としたメタバース構築を目指しており、メタバースに1番近い位置にいるのがゲームと言っても過言ではないです。

なぜゲームがメタバースの実現に最も近いのかというと、メタバースに必要な要素をバランス良くカバーしているからです。
特に、メタバースの中心技術といえる3DCGをベースにゲームが作られているため、ユーザーを惹きつける魅力的なバーチャル世界の構築が出来るというアドバンテージは非常に強いです。

ゲームがメタバースと相性が良い理由

  • ゲーム自体が3DCGで構築されているため、メタバースの中心要素の1つであるバーチャル世界の作りやすい。

  • ゲーム自体がコミュニケーションの基盤となりつつあり、SNSの要素と相性が良い。

  • XRやクリプトといった先進技術との相性も良く、掛け合わせを作りやすい。

  • MMOの仕組みや多人数同時接続の技術といった開発面のナレッジを転用しやすい。

  • ゲーム内コンテンツへの課金で収益を上げることが出来るため、マネタイズがしやすい。

  • 制作会社側がクオリティの高いコンテンツを提供することで、初期ユーザーを集めやすい。

  • ユーザー自身が創り手となるUGCの仕組みを提供することで、コンテンツ量のスケールがやりやすい。


ゲームからメタバースを目指す上での課題

  • UIやUXがゲーム特化となっているため、ゲーム以外のコンテンツに拡充するハードルが高い。

  • ゲーム上ではボイスチャット等の機能が実装されてないことが多いので、ゲーム内のコミュニケーション手法に制約がある。

    • ※オンラインゲームは通常友人・知人と一緒にDiscord等で音声を繋いでやるケースが多いため、ゲーム上はテキストチャットのみが多い。


ゲームからメタバースを狙う代表的プレイヤー

  • Fortnite:バトルロワイヤルのゲームメインだが、バーチャルライブの開催やクリエイティブモード等も充実してきている。

  • Roblox:アメリカの小中学生に大人気のゲームプラットフォーム。基本的にはユーザーが作ったゲームがメインだが、最近はNikeやVansといったブランドとのコラボも盛んになってきた。

  • Minecraft:マイクロソフトが運営しており、ボクセルと呼ばれるブロックを使ってワールド構築が出来る。日本でもユーザー数が多い。


2.SNS

メタバースへの入口の2つ目として紹介するのはSNSです。

SNSでは、FacebookやInstagramを運営するSNSの雄であるMeta社(旧Facebook社)や、中国ではTikTokを運営するバイトダンス社がメタバース領域への積極投資を見せています。

メタバースでは単にバーチャル世界を作れば良いわけでなく、人々のコミュニケーションをどれだけ活性化できるのかが大事です。
その観点では、これまでSNSで培ってきたコミュニケーション活性化の仕組みやノウハウは、メタバースにおいてもアドバンテージになる可能性があります。

メタバースで人々のコミュニケーションが将来どのように変わる可能性があるかは、Meta社が発表したマーク・ザッカーバーグの基調講演の動画を見るとイメージが膨らむかと思います。

一方、SNSはサービス提供年数が長くなると若年層ユーザーを取りきれずに、別のサービスが新たなSNSとして立ち上がってくるという宿命を繰り返している領域です。
そのため、現状のユーザー数や優位性を維持し続けたい既存大手SNS企業と、これから新たに立ち上がってくる新興SNS企業との間で、メタバース時代のSNSを焦点とした戦いが激化してくると予想しています。


SNSがメタバースと相性が良い理由

  • メタバースの成功を支えるコミュニケーション活性化のノウハウが転用できる可能性がある。

  • すでに巨大SNSを運営してる場合、自社の会員基盤を活かして初期ユーザーの獲得が出来る可能性がある。

  • ゲームに特化していない分、バーチャルライブのようなエンタメ用途や、バーチャルオフィス等のビジネス用途など、ユースケースを広げやすい。

  • ユーザー数を一定数獲得出来れば、大手ブランドやIPとのタイアップやコラボ等でマネタイズ出来る可能性が高い。


SNSからメタバースを目指す上での課題

  • ユースケースや用途が広いがゆえに、初期のユーザーが何をやったらよいか分からない状態になる可能性がある。

  • ユーザーが熱狂するゲーム以外のコンテンツがどんなものかまだ明確になっていない。

    • ※SNS側から入ろうとしてるプレイヤーも、ミニゲームを作れる仕組みなどを提供して、まずはゲームとの掛け合わせで立ち上げを図ろうとしているパターンが多い。

  • テキストや画像・動画といった既存SNSと比べて、初期はユーザーが3DCGを作るハードルが高いため、コンテンツ量増加のハードルが高い。

  • 広告のマネタイズがどこまで伸びるかが現時点では不透明。


SNSからメタバースを狙う代表的プレイヤー

  • Horizon Worlds:Meta社が提供する次世代SNSで、2021年12月にようやく北米で一般公開されたばかり。日本での配信スケジュールは現時点では未発表。

  • cluster:日本のスタートアップであるクラスター社が開発するメタバースプラットフォーム。バーチャル渋谷等の企業とコラボした高品質なワールドの他、ユーザーが作成したワールドも充実しているサービス。

  • REALITY:グリーが運営するサービス。元々はバーチャルライブ配信アプリだったが、今後100億円を投資してメタバースサービスを目指すことが発表されている。


3.XR

続いて紹介するのは、VRやAR・MRの総称であるXRです。

「メタバース=XRデバイスの装着が必須」と思っている方も多いかと思います。しかし、直近のメタバースの話は、コンテンツが3DCGであるものは全てメタバースと呼んでいることが多く、現時点ではPCやスマホからアクセスするサービスの方が多いです。

一方、XRはビューワー側のデバイスやインターフェースとしての呼び名の側面が強くなってきています。
メタバースにとってXRは必須ではないが、XRがあるとメタバースの世界を最大限楽しむことが出来るという補完関係になっています。

既に、XRという新しいデバイスの特性を活かしたサービスも既に立ち上がってきており、前述のHorizonのようなXR特化のサービスの他に、PCやスマホでもアクセス可能なハイブリッド側のサービスも増えています。

XRとメタバースの関係性


XRがメタバースと相性が良い理由

  • 3DCGで作ったバーチャルな空間に、本当にいるかのような没入感を生み出すことが出来る。

  • 顔や手、身体の動きをトラッキングしてアバターに反映すること出来るため、自然かつリッチなコミュニケーションが可能になる。

  • 2D画面に縛られることなく、3次元の空間を最大限活かすことが出来るため、表現や演出の幅が物凄く広がる。

  • 先行プレイヤーが少ないため、今後XRデバイスが普及した際に大きなシェアを取れる可能性がある。


XRからメタバースを目指す上での課題

  • XRデバイスの端末がまだ広く普及しておらず、リーチ出来るユーザー数に制限がある。

  • (主に)VRゴーグルの重さやバッテリーの使用時間など、ハードウェア面での課題が大きい。Quest2の登場でかなりデバイスの進化は進んでいるが、マスに対して広く普及する上ではまだ課題が残っている。

  • PCやスマホと比較すると、マルチデバイスへの対応などの開発環境がまだ充実していないため、開発をするのが大変。


XRからメタバースを狙う代表的プレイヤー

  • VRChat:VR SNSとして最も有名なサービスの1つ。ユーザーが制作した魅力的なワールドの数が膨大で、規模の大きいライブやイベントなども頻繁に開催されている。

  • Neos VR:こちらもソーシャルVRとして根強い人気のサービス。VR空間の中で直接ワールドやアバター制作などが出来る点が特徴。


4.クリプト

4つ目に紹介するのは、NFTやWeb3、トークンエコノミーといった文脈でも盛り上がりを見せるクリプトです。

メタバースの文脈では、NFT(非代替性トークン)という、ブロックチェーンの技術を用いることで取引履歴を改ざんできないようにする仕組みが注目されています。

NFTは、デジタルアートやバーチャルトレカ等での活用や取引が活発になってきています。
メタバースにおいては、バーチャル上の土地や3Dアイテムの取引履歴が保証されることで、所有者を明確化することが出来るようになり、その結果として二次流通を含めたバーチャル上の経済圏を生み出すことが出来るという観点で期待されています。

一方、「メタバースにNFTやクリプトが本当に必要なのか?」という論点は、Twitterを始めとするオンラインメディア上で、非常に活発な議論がされています。
個人的な意見としては、短期的には必須ではないが、トークンエコノミーの文脈で語られるようなクリエイターやユーザー側への還元率が上がることにより、魅力的なワールド数とユーザー数が増えるスピードが上がるといった観点で、中長期で効いてくる要素ではないかと考えています。
※詳細を書くと、とんでもない文字数になるので、またどこかで考えをまとめます笑

クリプトがメタバースと相性が良い理由

  • NFTによってバーチャル上の土地やアイテムの所有者と取引履歴を明確化出来るようになることで、メタバース上のデジタル資産の価値を証明しやすくなる。

  • NFTを活用することで、メタバース上のアイテムの2次流通を含めた経済圏を作ることが出来る。

  • クリプトをベースにすると分散型ウェブ(いわゆるWeb3)が実現できる可能性があり、特定の管理者に依存しないオープンメタバースに近づく。

  • トークンを活用することでクリエイターやユーザー側に既存サービス以上のインセンティブを渡すことが出来るようになり、その結果サービス成長のスピードが上がる可能性がある。


クリプトからメタバースを目指す上での課題

  • クリプトやNFTはデータの裏側を支える技術なので、単体ではメタバースにたどり着けず、フロント側のUI・UX設計やコンテンツ開発が必要。

  • クローズドなメタバースであれば、クリプトやNFTを使わずともシステムの実装が出来てしまうため、クリプトを使う場合は開発や活用のコストが余分に上乗せされる可能性がある。

  • NFT自体が投機的な盛り上がりを見せている部分もあるため、今後も価値が継続するかが不明確。


クリプトからメタバースを狙う代表的プレイヤー

The Sandbox:3Dボクセルによって構成されたバーチャル空間で、キャラクターや建物をつくったり、ゲーム体験をしたりできるプラットフォーム。2021年11月末にアルファ版が公開された。

Decentraland:2015年から開発が開始されたクリプト系メタバースの古参といえるサービス。すでに一般公開もされており、LANDと呼ばれるDecentraland上の土地の高額取引が話題になっている。


5.インフラ

最後に、インフラ方面からメタバースを目指すアプローチを紹介します。

ここで紹介するインフラは、ゲームエンジンのようにメタバース構築を支える開発ツールや、ビューワー側のレンダリングを支えるGPUなどを想定しています。
※本来的なインフラの意味とは少し異なりますが、メタバースを支える裏側の基盤といった意味でインフラという言葉を使ってます。

インフラはどのアプリケーションが伸びてきたとしても必要になるものであるため、最終的にはインフラレイヤーを抑えていたプレイヤーが大きなビジネスチャンスを掴む可能性があるテーマです。
インフラが儲かる例として、ゴールドラッシュ時のツルハシとジーンズ、またPC黎明期のOSとCPUがあり、メタバースにおけるこういったポジションがどこかという議論も盛んになっています。

インフラがメタバースと相性が良い理由

  • バーチャル空間の構築に必要な3DCG制作やネットワーク同期の仕組みは、どのアプリケーションでも使うものになるため、今後のマーケットの伸びしろが大きい。

  • スマホ向けやクラウドサービスのような成熟化した業界と比べると、メタバース向けのインフラはまだプレイヤーが固まっていないため、参入できるチャンスが大きい。

  • アプリケーションの進化に伴って、求められるインフラのスペックも上がるため、新しい技術の開発競争の余地が大きい。


インフラからメタバースを目指す上での課題

  • インフラはあくまでメタバースを支える裏側の技術であるため、アプリケーションレイヤーで伸びるサービスが立ち上がるかどうかは、外部企業に依存することになる。

  • インフラレイヤーがビジネス的に大きなポテンシャルがあることをどの企業も分かっているため、マーケットシェアを取るために必要な投資金額が大きくなる可能性が高い(参入するハードルが高い)。

  • インフラレイヤーは、勝ち残るプレイヤー数が構造上少なくなることが一般的なため、競合に対して勝ち残る難易度が高い


インフラからメタバースを狙う代表的プレイヤー

Unity:代表的なゲームエンジンで、メタバース構築を支援していくことをCEOが対外的に大きく発表している。メタバースへの動きを加速するために、大型の企業買収なども実施している。

NVIDIA:GPU(Graphics Processing Unit)業界最大手のひとつ。メタバースの開発基盤「オムニバース」の商用展開を始めるなど、メタバース関連の取り組みを積極的に強化している。

クアルコム:Oculus Quest2でも使われている5G対応のAR/VR専用チップセット「Snapdragon XR2」などを開発している大手半導体メーカー。直近ではAR開発向けのプラットフォーム「Snapdragon Spaces」を発表している。


まとめ

というわけで、今回はメタバースへの5つの入り口というテーマで、ゲーム・SNS・XR・クリプト・インフラを紹介していきました!

冒頭でも書いたとおり、分かりやすいように5つの入口と書いてますが、実際はどれか1つから入っていくというよりは、複数要素を組み合わせながら伸ばしていこうとしているプレイヤーがほとんどです。

現時点ではどの要素の掛け合わせが最もハマるのかという解は見えていないため、各社が試行錯誤しながら新しい取り組みを急速に進めているのが、現在のメタバースマーケットの状況といえるでしょう。

勝ち筋が不明確なカオスなタイミングですが、だからこそどのプレイヤーにもまだ勝てるチャンスが残っている段階でもあります!

本記事をご覧になってメタバース活用にご興味を持った方は、ぜひSynamonにもご相談ください!


また、このタイミングで中の人として市場を伸ばしていくのは、物凄く面白いタイミングです。ご興味ある方はぜひこちらの記事もお読みください!


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それでは、よいお年を!

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