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日本人がwechat miniアプリをリリースしました。

こんばんは。
SIerで働くマネージャー、29歳です。

タイトル通り、中国のマンモスアプリwechat内部のアプリケーション、wechatminiアプリのリリースを数回経験したので、そのことについて書こうと思います。

結論言っておきます、日本人だけではリリースできません。

Wechat Mini App とは

wechatってアプリは、みなさんご存知でしょうか。
日本でいうところのLINEです。

ただ、中国国民は本気で、wechatしか使っていません。
しか、は嘘でした。
Wecaht、tiktok、Alipay、baidu まあ、こんなもんです。
流石のBAT!!!!って思いました。

去年秋、中国にいった時のレポートも時間がある時に書こうと思いますが、その中でも、WechatとAlipayは、これがないと生きられないってくらい。
中国国民にとってかなり重要なライフラインなのです。

例えば、2022年10月時点で、0コロナ政策をまだまだバリバリに実行していた中国では、どのお店に入るにも、3日以内のPCR検査陰性証明と入店時のQRスキャンが必要でした。

それを可能にしていたのが、何を隠そうwechatのminiアプリであるHealth kit なのです。
逆説的に言うと、このwechatminiアプリがないと、中国国内、外歩けませんでした。(マジで)
全国民がこのアプリを使うことを前提にした政策であり、それほどまでにマンモス偉大な地位を築いているのが、Wechat miniアプリです。

なので、中国全体的に(私がいってたのは北京)miniアプリから注文が基本だったり、支払いは90%はwechat Payとか色々、wechat様様でした。(日本人は中国の銀行持てないのでwechat Pay使えず、Alipayを使いました)
チャットツールとしてもほぼ全国民が使っていそうでした。

ミニアプリ作らないと中国は誰も使ってくれない

言いたかったことは、中国では、日本人がサイトやアプリを利用するように、miniアプリを使うことが日常的で、中国でのデジタルサービス導入においてはminiアプリがリリースマストだったんです。

日本のようにgoogleやappleのストアに公開して、QRコードでインストールお願いちゃん、じゃだめでした。ほんとにそんなことしている企業1つもありませんでした。
世界展開するときは、各国のデジタル事情をちゃんと調べることがマジで必要ですね。学び学び。

なので、右も左もわからないまま、とりあえずストアに公開しているネイティブアプリを、miniアプリ化することにしました。

とりあえず中国法人に連絡

幸いなことに、弊社は小規模ですがお付き合いのある中国の開発会社があったので、速攻そこに連絡。
「wechatのminiアプリ開発したいんですけど….」って言って、話を進めてもらいました。

確認したところ、(私はエンジニアではないので、はっきりはわからないのですが)いわゆるwebフロントエンドの言語と同じような感じで書けるみたいで、利用するライブラリなどは特殊だがwebアプリを扱ったことがある人は、ある程度コードは書けるようでした。

実際に、初期構築は上海の会社にお願いしましたが、保守の軽微なソースコード修正に関しては、自社のエンジニアで対応ができています。

IDEはこちらを利用していました。

なので非常に良かったのは、バックエンドのAPI仕様書もフロントの画面仕様書も、現在のありものを送るだけで見積もりが取れて設計を向こうで始めていただけた点でした。

なので、開発のパートナーとなる会社さえつてがあれば、開発着手まではそこまで難しいことではなかったです。

ここで幸いにも、言語の問題に関しても恵まれていました。
弊社側に中国語を話せるメンバーがいましたし、委託した会社にも日本語が話せるメンバーがいたことで、コミュニケーションは円滑にできました。

コミュニケーションはwechat, redmine, slack

中国の会社とは、定例でコミュニケーションを取るようにしていました。

メインのコミュニケーションツールはslackとwechat。幸いにも、slackは中国回線からも使えるので自社のワークスペースに招待して、コミュニケーションをとっていました。

ファイル共有に関しては、弊社では基本的にGoogleのサービスを使っているのでそのままファイル共有ができなかったのは問題でした。そこでは先方からファイル共有ツールとしてredmineを指定いただき、.cnドメインでプロジェクトを立てていただいて、招待してもらいました。

中国ならではの問題がいくつか・・・

中国のインフラ

中国のアリババインフラと、日本のAWSを繋げるのに、速度の問題や金盾(GFW:Grate FireWall)の問題など、もろもろの接続で課題が発生しました。
中国とリージョンを超えてAWSで繋ごうとすると、画像などの容量の多いデータはかなり転送に時間がかかりました。
インフラエンジニアが非常に苦労していました。中国語のドキュメントを読み込みながら、対応していただけたのが非常に幸運でした。

ICPライセンス

今回のサービスは、販売系のサービスだったので中国のICP登録・ICPライセンスが必要でした。リリースが終わった今でも「?」が3個くらいついてるようなよくわからないルールだったんですが、とにかく、中国でサイト公開をするためにはICP登録を行う必要があります。さらに、営利目的の販売を伴う場合は、ICPライセンスが必要であり、これは中国国内で登記済みの法人・駐在員事務所のみ申請が可能なものです。

Wechat開発用アカウント

wechatのアプリ開発には、lineのdeveloperアカウントのように、法人登録が必要です。ここも中国法人である必要がありますし、さらに、管理者に指定する1名が、中国国籍である必要があります。
これが、日本人だけではwechatアプリをリリースできない決定的な理由です。中国の国民番号を持っていないと、アカウントの管理者になれず、あらゆる行為ができないルールとなっていました。

リリース

リリース自体はとても簡単です。
こちらが、該当のプラットフォーム。

ログインするための事前準備としては以下のたった二つ。

  • wechatのアカウントを持っていること

  • 管理者の次にエライ権限を付与しておいてもらうこと

ここのQRコードをwechat アプリで読み込んで、ログインをすれば、管理画面が開きます。

developer管理画面

こんな画面です。
もちろん日本語には対応しておらず、英語も未対応なので、chrome先生に翻訳してもらうか、translateレンズを起動してスマホを介して解読していきます。
左メニューの版本管理と、成員管理が、それぞれリリース管理とメンバー管理になります。メンバーの招待や権限変更は、最強権限の人しかできないので要注意です。
リリース方法は至ってシンプルです。
版本管理ページを開き、下から順番に審査提出→公開をしていく感じです。

リリースの段取りの流れ

開発版には、以下のようにいくつかのバージョンがアップできます。

開発版アプリはここで管理される。

「提交宙核」みたいな奴が、審査に提出するボタン。審査は半日〜1日くらいで終わります。
プルダウンメニューから、開発版の体験用のQRコードが取得できます。

QRコードを読み取って、テストページを開くことができる。

他にもいろんな機能があるみたいですが、現状はこれくらいしか触ってません。中国語が読めないと、ちょっと厳しいです。

その他

アクセス管理ツールとして公式のwe分析というのが用意されています。
こちらも、先ほどと同じような方法でログインすることができます。

UIも結構綺麗ですし、いろんな分析がここだけでできるみたいです。
ダッシュボードとしては、Googleに引けを取らない感じでした。

実際のアクセスデータ

終わりに

今回は、ミニプログラムのリリースの概要を紹介してみました。
幸いなことに、中国とすぐ繋がれたり、中国人の方が近くにいたことで、スムーズな開発に取り掛かれましたが、日本人だけではかなり障壁が高かったと思います。
実際の工程では、wechatのpay機能を使ったり通知機能を使ったりと、もう少し踏み込んだチャレンジがありましたが、今回はここまで。

次回も何かためになる情報を、お届けできればと思います。

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