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【自分で裁判】ゴルフ場の預託金を自分で取り戻す方法|本人訴訟のすすめ

3月、久しぶりに実家を訪問。父81歳の脚が弱っている様子。頭がしっかりしていうちに、資産の棚卸をしようと会話。その中で出てきたのが20数年前まで父が通っていたゴルフ場の会員証書。よく見れば預託金とやらが60万円の記載。父はそれは使わないから要らないと。ゴルフ場に退会したい旨の連絡と同時に預託金を返してほしいと連絡。ほどなくして、ゴルフ場の代理人弁護士から連絡。弁護士の書面にはゴルフ場の経営状況が良くないため預託金が返還できないと。。。じゃ、経営状況を教えてほしいと伝えるも代理人弁護士からゴルフ場から開示できないと。。。

ここまでは良くある話しらしい。

ここからが本題。通常、こちらも弁護士を立てて争うとゴルフ場の弁護士も真面目というか本気でやり取りしてくれるらしい。とはいえ、弁護士の報酬はまちまちらしいが、およそ手付金+成功報酬で20~40%と高額。明らかに預託金という債権を有しているし、通常営業をしているゴルフ場が返還できない金額とは思えない。わざわざ弁護士を立てずに何かできないのか。。。自分でやってみようか。いわゆる「本人訴訟」といってできるらしい。

ここから本人訴訟、少額訴訟の方法と、そこから通常訴訟への移行と、先方弁護士からの答弁書、それに対する準備書面、証拠準備などなど私が辿った経緯をご紹介します。(ちなみに弁護士ドットコムに月額330円に登録して相談を書き込み、相談してみました。ただし、リアクションはあれども回答は得られず。あくまで原告候補と弁護士マッチングするサイトのようで、なんだか330円でも損した気分でした)

どうも調べると、60万円以下であれば少額訴訟という簡易裁判所で1日で審理を終えられるものがあるという。簡単に終えられる、そんな軽い気持ちでスタート。東京にある簡易裁判所に行って手続きをしようも、原告または被告の住所のある簡易裁判所じゃなければならないとのこと。原告(父)の住所を管轄する簡易裁判所に少額訴訟の訴状を提出。少額訴訟と検索すると裁判所のホームページにフォーマットがあるので、それに事実を端的に記入するだけでOK。想像以上に簡単。

ただし、印紙と切手代が12000円が発生。切手代は今後、簡易裁判所から原告側に何度か書類を送ってもらうための費用らしい。この程度は必要経費。訴状にも請求の趣旨の項目2に「訴訟費用は被告の負担とする」の一文。勝訴すれば戻ってくるらしい。

期日呼出状が郵送で到着。1か月後の金曜日で時間指定。口頭弁論。法廷に出頭することに。

予定期日の2週間前、通知書が到着。口頭弁論日に父に代わって出頭して先方弁護士と会うのか、それ以前に示談の連絡が来ると予想していたが、まさかの通知書の到着。「通常訴訟移行申述書」と「訴訟委任状」ということで、一発勝負の負け戦ではなく被告代理人弁護士が戦うつもりらしい。

それから1週間後、つまり口頭弁論の1週間前に、被告代理人弁護士から「答弁書」「証拠説明書」「証拠」が郵送で到着。趣旨としては、預託金の存在は認めるが、原告(父)には年会費の滞納があるから預託金から差し引いて減額して和解したいとのこと。。。

父と母から年会費については20数年前に引っ越した際に、父の退職のタイミングと腰痛の持病もあいまって、ゴルフ場に退会の連絡をしたものの、ゴルフ場から腰痛の診断書と休会届を提出すれば年会費は納付しなくて良いというアドバイスというか、預託金返還をさけるがための作戦にのってしまって診断書と休会届を提出していたという。

ゴルフ場と弁護士の言っていること、父と母の言っていることが明らかに食い違っている。。。

父と母が言っていることが嘘ということはあり得ない。どうにか証明しなければ、、、とはいえ証拠がない。。。あるといえば18年前に届いた先方書式の年会費請求書。

口頭弁論の日。被告代理人は答弁書に擬制陳述という記載があり、当日は不在。私は父に代わって出頭するために、「代理人許可申請書」を書いてもらって正式に原告代理人(弁護士ではなく一般人)に。

簡易裁判所というだけあって、5-6人が座れるような机と椅子に裁判官と書記官と登場するという簡易な雰囲気。裁判!という飲まれる雰囲気まったくなし。裁判官と書記官と私の談話が開始。いわゆる心象というのも大事だということで普段は着なくなったシャツ、ジャケット、パンツ、革靴というオーソドックスなスタイルでなるべく柔和に会話。

この日はとりあえず被告の答弁書の内容を聞くというだけでOKということなので、次回に反論というか被告の答弁書を切り崩すロジックと証拠を準備することに。当初1か月後の木曜日と言われていたものの、いろいろと都合が悪いと伝えると1か月半後に期日が設定されて終了。

ここから1か月半で「原告準備書面」「証拠」の準備をすることに。証拠になるのは唯一残っていた18年前の先方書式の請求書。これだけだと正直弱い印象。。。。

たまたま、会社が契約しているよろず相談ができる弁護士相談窓口の存在に気付く。これまでの経緯と証拠の話しと両親の話しを説明すると、両親の話しを「陳述書」という証拠にすることが可能とのこと。確かに父だけではなく、母もそう言っているし、辻褄や話がクリアだったりするので、それを文書化したらよい。とはいえ、この手の無料の相談窓口は会社に限らず、世の中にちょこちょこあって相談というか、話しは聞いてくれて、↑この程度のアドバイスで終了。あくまで一般論として方法を教えてくれるのみ。今回の事案に対する弁護士の見解はもちろんのこと、勝訴に向けた戦略やロジックと証拠集めや作り自体はやってくれません。つまり、弁護士として軽く相談というか話しは聞くけど、責任は持ってくれない。なので、そこは本人訴訟として責任は自分で取って大事な戦い方は考える必要あり。とりあえず考えられる事象、事実なんでもかんでも1人ブレストして出し尽くす。

そうして、それらを整理して「原告準備書面」「証拠説明書」「証拠(第1号証)」「証拠(第2号証)」が完成。証拠1は先方書式の18年前の「年会費ご請求書」、証拠2は自作の「陳述書」として提出。

次回の出頭は来月。今度は被告代理人弁護士も登場。前回のアットホームな雰囲気とは違って、ちょっとはピリッと、緊張感のある法廷を迎えたい。

どうも調べると、債券には時効というものがあるらしい。この時効の話しと次回の法廷の出来事はまた次の記事にてご紹介。

✴︎3月9日更新
その後、第1回@10月、第2回@12月、第3回@1月、第4回@3月を経て和解に至りました。証拠はそれなりにあったので、裁判官に判決を求める考えも当初はあったものの、退会または休会届のコピーなど決定的な証拠がなかったため、3回目の後に悩んだ結果、和解に方針転換しました。裁判官と会話を進める中で和解させたいという様子もあり、判決でこちらに有利なる結果になると判断はつかず(そこは流石と言ったら失礼だと思いますが、裁判官はポーカーフェイスそのものでした…)こちらに有利な条件での和解案を出すことにしました。そして、4回目の期日のかなり前に提出することで被告代理人がゴルフ場と着地点を会話できる時間を作ることにしました。これは正解でした。4回目のその場で被告代理人はある程度の裁量を持たされていた結果、やや交渉めいた話しになりますが、その場での会話でこちらの和解案を若干減額する形での着地になりました。ゴルフ場の内実を想像すると、負け戦であることは分かっていて、いかに減額ならびに分割回数を多くして、一回あたりの返済金額を減らして、通常営業に影響を与えないようにするか、ということだったと思います。これはゴルフ場それぞれの経営状況やら体力、さらには原告から求められている金額によって対応は変わってくるなと思いました。ゴルフ場からすると満額を取られる可能性があった中で弁護士を通じて減額を勝ち取ったということと思いますが、果たして弁護士費用やゴルフ場側の関係者の稼働を考えた場合に意味があったのかは怪しいところです。いずれにせよ、素人でも色々な情報を整理して書面に落として、裁判所とやり取りすることで満額とは言わないものの、十分な額の返金を勝ち取れたことをお伝えしたいと思います。最後に、私は今回戻ってくる預託金をもとに父が日頃から通ってる公園と、義母と息子がよくお世話になっている公園に、それぞれベンチを寄付することにしました。この話しはまた別の記事でご紹介したいと思います。

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