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千歳くんはラムネ瓶の中

千歳くんはラムネ瓶の中

裕夢×raemz




概要
カーストトップに君臨する千歳朔。不登校生徒を外に連れ出すことに始まり、様々な女の子の悩みや想いに深く関わっていく。友情と恋愛が複雑に絡む人間関係に頭を抱えつつも、一人の素直な男子高校生が真剣に向き合う、陽キャ側の新感覚ラブコメ


感想

「このライトノベルがすごい2021」では堂々の一位を飾る本作、読んでみようと書店に立ち寄ったところ、陽キャ側のラブコメ、と1巻の裏表紙のあらすじにあり、恥ずかしながら最初は少し安っぽさを感じてしまいました。

しかし、読んでみると決してそんなことはなく、一人の男子高校生が、懊悩しながらも自分なりに誠実に女の子と向き合おうとする姿勢に非常に好感が持てる作品でした。

おそらくキャッチフレーズは一種のプロモーション効果を狙ったものだと思います。蓋を開けてみると、陽キャ、陰キャといった一面的な分類で語られるような関係性はどこにもなく、ただひたすら真摯な物語で、ある意味読む前との印象のギャップから期待以上の読了感が得られたような気がします。


千歳朔はライトノベルの主人公像、ぼっちで卑屈な冴えない男子高校生というテンプレに新しい風を呼び込むものでした。

彼はコミュニケーションに長けていて、ありがちな鈍感難聴系ではなく、相手の気持ちの機微にアンテナを張れる優しい男の子です。

いつも明るく振る舞い、そして絶え間ない努力と才能も合わせてスポーツ万能、成績優秀です。

そんな優秀な彼ですが、人付き合いが得意だからこそ、友人として接してきた女の子たちの恋慕に気づき、そして気づくからこそ深く思い悩みます。

どうすれば彼女たちに誠実になれるか。そもそも誠実になりたいのはただ誰からも嫌われたくないだけじゃないか、選ぶことから逃げているだけではないか。

そうやって自分を責めることも多々あり、自分に置き換えて考えてみたり、優しい千歳朔を応援したい思いに駆られたその時、気づくと「チラムネ」という物語にどっぷり浸かってしまいます

ところで、既出は6巻で、もう少し続きそうですが、まだメインヒロイン、つまり千歳朔が誰を選ぶのか、は皆目検討もつきません全員がメインヒロインであり、負けヒロインでもある、それも「チラムネ」の魅力の一つだと思います。

現代ラノベ界を牽引する王道青春ラブコメ、間違いなく絶対面白いです。

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