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スロー思考で考えるってどうやって?:ファスト&スローをうまく活用する方法の案


これはなに?

 ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?によると、どうも人には速い思考(System1)遅い思考(System2)というものがあるらしく、何かを決める時、速い思考だけではあんまりアテにならないぞバイアスによって間違っていることが多いぞ。遅い思考を活用して熟慮しろよ。ということらしい。

 たしかに身に覚えがある。間違うこと多い。
 できることならちゃんと考えたい。

 でもね、遅い思考を活用する。って具体的に何するの?という風に困ってしまうかたへ、私のちょっとした工夫をお伝えします。

 シンプルな方法で、速い思考と遅い思考を明確に分けて考えることが出来ます。

 

アイデアの元ネタと留意事項

 これから書くアイデアは認知療法で利用されるコラム法に強く影響を受けています。

 コラム法は強い不安を感じる人によくあるような、不安を感じる背景にあるトラウマのような偏ってしまった思い込みをうまく解きほぐすための方法という理解をしています。

 私自身、コラム法を使うことで上で書いたような効能を得ていくつもの不安を乗り越えることができました。

 そうした経験を踏まえ、改めて思い返してみると速い思考と遅い思考を切り替えて進んでいるといえるのでは?とふと気がついたのが今回のアイデアのきっかけとなっています。

 とはいえ、こうした手法の取り扱いについては非常にセンシティブな領域だということも理解しています。素人が勝手な使い方をご紹介してしまうことで、誤った使い方を助長してしまう可能性もあると考えるからです。

 ですので、あくまでもコラム法は土台にあるけれど、コラム法の利用目的とは異なる。速い思考と遅い思考を分けて考えるための工夫としてとらえていただけると幸いです。

具体的なアイデア

 前置きが少し長くなりましたが、具体的なアイデアについて書いてきます。非常にシンプルなので説明は簡単に終わります。

 とある出来事について、7つの質問に順に質問に答えていくと、2つの思考の結果をそれぞれに抽出できて並べて評価できる。7つのボックスと矢印で構成されたフレームワークです。

 スタートから始めてゴールまで数字の順に沿って考えを進めます。おおよそ速い思考的な領域は青いボックス、遅い思考的な領域は赤いボックスで表現しています。

どうやって使うの?ちゃんと使えるの?

 ボックスに書いてある番号の順に質問に答えていくだけです。といわれればそうか。とはおもうけど、イメージがわきにくいですよね。具体的な例をフレームワークに当てはめてみましょう。

 お題には、ファスト&スローの著者でもあるカーネマン教授も研究で用いたとされる問題にならってこんな問題を用意してみました。

 チョコレートとガムは合わせて110円です。
 チョコレートはガムよりも100円高いです。
 ガムの値段はいくらでしょう?

どんな研究だったか?に興味がある方はお時間あるときにリンク先をご覧ください。


 では、ボックスに順に中身を入れながら考えを進めていきましょう。

①状況 
 そのときの状況はなんですか?

チョコレートとガムは合わせて110円です。
チョコレートはガムよりも100円高いです。
ガムの値段はいくらでしょう?

 状況には、問題文をそのまま入れちゃいました。

②意思決定
 そのとき下した意思決定はなんですか?(=出した答えは何ですか?)

 ガムは10円だ!

 これが正解しているのであれば、最後に出てくる⑦と同じになるはずです。もし異なっていれば、どちらか、あるいはどちらも間違っているかも知れません。先に進みます。

③自動思考
 意思決定のとき瞬間的に浮かんだ考えはなんですか?

だって、110-100=10でしょ。
 簡単な引き算するだけじゃん。

④根拠
 自動思考を裏付ける事実は何ですか?

・合計は、チョコレートの値段と、ガムの値段を足したもの。
・ガムの値段は、合計からチョコレートの値段を引いたもの。
なんか違うとこある?

⑤反証
 根拠と矛盾する事実があるとしたら何ですか?

あれ? 
・あれ?もしチョコレート100円でガム10円なら、差分は90円になる。
・そうすると問題から外れてしまうよ。
・そうか。100円って差額であって、チョコレートの値段とは別物だ!
・単純に引き算するだけではだめらしいぞ。

⑥適応的思考
 反証を踏まえるとどんな考えが浮かびますか?

・チョコレートの値段は、差額の100円+ガムの値段だ!
・そもそも110円は、チョコレートの値段+ガムの値段だ。
・ということは、110円=100円+ガムの値段+ガムの値段ともいえる。
・10=2×(ガムの値段)ともいえる。
・ガムの値段は5円だ!
・ガムの値段が5円なら、チョコレートの値段は、110 - 5 = 105円だ!
・チョコレートとガムの値段の差は 105 - 5 = 100円だ!

⑦意思決定
 適応的思考を基にするとどんな意思決定ができますか?

ガムの値段は5円だ!

 速い思考の結果である②と遅い思考の結果である⑦は異なる結果になりました。どちらが正解していそうか・間違っていそうか?については、フレーム全体を眺めてみれば自明なようです。 

 とまあ、こんな感じで考えを進めていくことができます。何となく機能していそうです。

まとめ

 今回のアイデアを通じてわかったことは、おおよそこんな事でした。

速い思考:直観
遅い思考:筋道を立てて順に考える

 そんな風にとらえると、世の中にある様々な思考のフレームワークは直観の中に潜む思い込みや誤りをできるだけ排除するために、筋道をたて順に考えるという戦略で作られているのですね。

 たくさんの思考のフレームワークをなかなかうまく使いこなせない。という時にはこんなところを意識してみるとよいのかなと感じました。

 


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