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新潟県阿賀町の観光PRじゃないワーケーションモニターツアーがとにかく濃かった

少し時間が経ってしまいましたが、10月30日〜11月1日の2泊3日で、新潟県阿賀町のワーケーションモニターツアーに参加してきました。

新潟県ワーケーションプログラム実証事業の一環で、日本ワーケーション協会が運営事務局のモニターツアー。

新潟県阿賀町は新潟県と福島県の間にあり、飯豊⼭や御神楽岳を代表とする多くの⼭々と、福島県境の⼭を源流とする阿賀野川と清流・常浪川の流れに恵まれた美しい⼭河の⾥ということで、どっぷり自然を満喫できる環境でした。

ただ阿賀町のワーケーションモニターツアーが濃かったのはそういった観光成分ではなく(もちろん自然は素晴らしかったけれども)、
現地に住んでいる一癖も二癖もある方々との出会いだっと思います。

濃かったところ。

  • なにを置いてもやはり宿泊先の民泊「和彩館」と彫刻家の佐藤さん

  • 「ちょっと温泉で気分転換」もできるワークスペース風舟

  • 山登りに命をかける町役場の江川さんとまちあるきガイド

まず全体のスケジュールはこんな感じでした。

1日目
お昼に津川駅に集合、ちょうど年1のマルシェが開催されていたのでマルシェでランチ。ワークスペース風舟でオリエンテーション後は夕方までフリータイムなので参加者各自が自由にリモートワークなどで普段通り過ごす。
夕食は宿泊先でもある和彩館に移動し、交流会。

2日目
午前は昨日同様に自由に風舟でリモートワーク、午後希望者のみで観光ガイドの方とまちあるきをし、夕方またリモートワークに戻った後、地元の名店「⼩会瀬」で夕食。

3日目
夕方まで自由に風舟でリモートワークをしたあと、全員で振り返り会をして現地解散。 

どうですか?かなり自由なプログラムだと思いませんか?

自治体事業としてのワーケーションモニターツアーは、よくアクティビティ体験や観光スポットの視察、現地の方との意見交換会などがぎっしり詰め込まれていて、慌ただしく終わってしまう、というようなことがあります。

私もそういった体験ツアーに何度も参加していますが、それはそれで詰め合わせパックのようにざっくりと現地のことを知るにはいいのですが、WORKとVACATIONの、WORKの方がほとんどできないため、「ワーケーションをする」というよりも、「ワーケーションをするためのオリエンテーションを受けている」ような感覚になります。

目的が漠然としていてただなんとなくのツアーは、参加者も次に来る目的を見つけにくいため、一過性の滞在となってしまうような気がしています。

もちろん観光寄りの詰め合わせワーケーションツアーもあっていいと思いますし(それはそれで好き)、最近はそうじゃないワーケーションモニターツアーも増えてきています。

そう言う意味で、今回の新潟県阿賀町ワーケーションモニターツアーは日本ワーケーション協会さんがコーディネートされているだけあり、一方的な詰め込み型ではなく、参加者がそれぞれの働き方と価値感を優先して柔軟にワーケーションして過ごしながら、しっかりと地元の方とも交流ができる、シンプル且つストレートな「ワーケーション」体験だったと思います。

そんな中でも、私が感じた濃かったところを少しずつご紹介していきたいと思います。

なにを置いてもやはり宿泊先の民泊「和彩館」と彫刻家の佐藤さん

民宿和彩館にて(写真右側と奥に立っているのが佐藤さんご夫婦)

佐藤賢太郎さんは、和彩館という民宿を夫婦で営んでいて、今年で74歳になった今でもまだまだ現役の超元気な彫刻家の方です。
彫刻家として日本全国に佐藤さんの作品が設置されていますが、空き家をリフォームしたゲストハウスの中も芸術や遊びでいっぱい。
さらには、DIYで露天風呂や縄文館(竪穴式住居)まで作ってしまいます。

私は見学できなかったのですが、一緒に来ていた私の同僚は朝早くから連れ出されて(?)竪穴式住居を見学したのち、記念に植樹までしていました。
思い出にもなるし、自分の植えた木に名前入りネームプレートが付けられるので、次また来た時に成長が楽しみにもなるという。

ちょっとうらやましかった笑

ゲストハウスには卓球台やビリヤード台もある。佐藤さんめっちゃ動く。
部屋のあちこちにアートがある
寝るところはこんな感じ。奥の絵はテレビの収録でゆきぽよさんが描いた絵とのこと

そして問題のこれである

寝室のふすまを閉めると登場する巨大な目

さあ寝ようと思ってふすまを閉じた瞬間に、巨大な瞳が血を流しながらこちらを見つめてくるという、なんなんこのアトラクション!?
と、びっくりしたけれどそれよりも、ここに至るまでに十分佐藤さんのお茶目さや面白いキャラクターに馴染んでいるので、つい笑ってしまいました。
いや、でも普通に一瞬びびる笑

という感じで佐藤さんの人柄に惹かれ、生き様にあこがれて日本だけでなく海外からの宿泊客も多いこの和彩館と佐藤さんは、阿賀町の最大のワーケーションコンテンツだと思います。

決して広くも新しくもない、Wi-Fiや電源が十分にあるわけでもないこの宿をワーケーションモニターツアーの宿泊先に選定した新潟県も事務局も勇気があるなと思いましたが、実際に泊まってみてなるほど、これはまた来たくなるな、と思いました。

この来たくなる要素をどれだけ作れるか、もまたワーケーションには重要なのではないでしょうか。

「ちょっと温泉で気分転換」もできるワークスペース風舟

滞在期間中、ずっとお世話になったワークスペース風舟。

風舟の外観。
フロアの様子。木製を基調としていて居心地が良い。地元の方のカフェ使いも多いそう。
Web会議NGの集中スペースが結構広い(8席もある)
こういうすみっこスペースにいたくなりません?(ぼっち属性笑)
風舟の目の前にある津川温泉。
一瞬でリフレッシュするし湯につかっていると違う視点のアイデアも浮かぶ。風呂だけに。

風舟は地元の方が通うカフェであると同時に、人が集まるコワーキングスペースでもある。
運営しているNPO法人かわみなとの方針もあり、高校生や大学生との距離が近いのも印象的でした。

受付で読書しながらアルバイトをしている高校生の子がいたり、新潟市から通ってきている大学生スタッフがいたり。
私は少ししかお話しませんでしたが、普段なかなか接することのない日々を送っているので、ちょっとした会話でも刺激になった気がします。

ちなみに風舟のワークスペースは全席WEB会議OKであるものの、個室というものはないので、機密性の高いオンライン会議や重要なオンライン商談がある場合は、スタッフに相談すると向かいの津川温泉清川⾼原保養センターの空いている客室を一時的に利用させて頂けるかもしれません。
但し空いている時のみなのでいつでも利用できるわけではないことは意識しておいた方が良いと思います。

また、集中スペース以外のオープンスペースはカフェ兼用なので電源の数が少なかったのですが、
このワーケーションモニターツアーの最終日にそのことを話したら、後日すぐに延長ケーブルを設置されていて、対応の早さに感心しました。参加者の体験フィードバックをすぐに反映しているのはよいワーケーション実証の取り組み方だと思います。

山登りに命をかける町役場の江川さんとまちあるきガイド


狐の嫁入り屋敷にて

2日目の午後にこの道何十年、という観光ガイドの方にかなりディープなまちあるきを案内していただく。90分で阿賀町の「狐の嫁⼊り屋敷」周辺をぐるっと歩くだけなんだけれど、これが普通に歩いてたら絶対分からないような歴史や由来などがあり、確か一人500円くらいの料金で体験できるアクティビティなので、これは絶対参加しておいたほうがいいやつです。

あとこのツアー期間中、ずっと阿賀町役場の江川さんという女性の方が付き添ってくれてたんですが、この方のキャラクターがまためっちゃ良い味を出していました笑
山登りが好きすぎて、仕事と関係なく山小屋の管理をされていたり、命をかけて山登りをすることに生きがいを感じるとてもタフで面白い方でした。
そしてめっちゃ良いひと。このまちあるきガイドさんもよく知っているらしく、漫才のような掛け合いが楽しい。

というかツアー参加者(我々)と話すときは標準語に近いのに、地元の方と話するときの会津弁というか新潟弁というかこの土地の方言の響きがとても素敵でした。別に県外の人にあわせなくていいと思うな。もったいない。

阿賀町は豪雪地帯で、雁木の発祥の地とのこと(諸説あり)
津川河港は江戸時代まで、塩や海産物を陸揚げし会津へ海道輸送する西の玄関口だった
もちろん自然もすばらしい

もっと他にも米が最高に美味しいだとか、狐の嫁入りの逸話だとか、色々観光成分的なこともありどれも素敵な体験だったのですが、
そのあたりは観光ガイドなどでも触れられていると思いますのここでは割愛して、ワーケーションツアー体験記事を終わりにしたいと思います。

阿賀町の観光案内パンフレット。イラストが超素敵なんですが、物語性を感じるコピーが素晴らしい。ストーリー大事。

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