見出し画像

タイニーハウスは家の価値を変えるカウンターカルチャー

ニューヨークで出会った投資の神様は言いました。「投資するなら株にしなさい。人生の不確定要素(住む場所や結婚、子供の有無など)が多い人は不動産購入に向かないよ」と。ニューヨークで浪費しまくっていた当時30歳の私には投資するお金は全くなかったけれど、「そうか投資は生き方の選択とリンクするものなのか」と、そのとき初めて投資というものに興味を持ったのを覚えています。

画像1

関係ないけどNYのゲイパレード、すごく感動した思い出。

今までに払った家賃はすでに1千5百万円

そこから約7年が経っても相変わらず不確定要素の多い人生を歩んでいるので、家という不動産は持っていません。でも大学を卒業してから15年間、毎月家賃は支払っている訳です。関西にいようが、東京にいようが、ニューヨークにいようが、台北にいようが、生きていくのに絶対に必要なもの。今までの家賃を平均して8万円としたら、8万円×12ヶ月×15年=約1千5百万円なーりー。地方都市の中古マンションなら買える金額を、すでに家賃に使ってしまっている。そして手元には何も残っていない....!!
かといって若い頃にマンションを買っておけばよかったかというと、住宅ローンを持ちながら仕事を辞めてニューヨークに行く度胸はなかっただろうし、そんなに給料が高くない今の仕事(台北のスタートアップ)にも身軽に挑戦できなかったと思う。そういった「投資と生き方とのバランス」という視点でも、私はタイニーハウスに興味を持っています。

画像2

Image ©️ stuff アメリカの大学は学費がべらぼうに高く、学生ローンの返済に苦しむ人も多い。家賃を無駄にしないために卒業してすぐに22歳でタイニーハウスを購入した彼女。

家の価値=土地の価値

家を購入する人は、将来的にその家が価値を維持できる、もしくは少しでも値上がりする期待を持って購入します。そしてその価値を保証してくれる要素は「土地」です。その土地の上にどんな家を建てようがマンションを買おうが、人口がある程度多くて便利な立地にあればその家の価格は時間が経ってもゼロにはなりません。将来的な家の価値は全て土地の価値に集約されるのです。逆に言うと田舎ではただ同然でも売れなくなっています。
そしてタイニーハウスは「土地なしの家」なので、将来的な価値はゼロです。どんなにこだわりのタイニーハウスを700万円で建てようと将来的な資産価値はゼロです。趣味の似た友人が買ってくれれば、もしかしたら数百万は返ってくるかもしれません。

将来価値を放棄することで得られるものは新たな「機会」

それって、損なんじゃない?と思うかもしれません。でもタイニーハウスは将来的な価値を保証しない代わりに「今のあなたに100%価値提供」というスタンスだと思っています。まず家の価格に土地代が含まれないので、安い。停車する場所に多少の家賃がかかるかもしれませんが、それでも普通の家を購入するよりかは十分に安く建てられ、小さくて可動性があるからその時々によって住む場所を変えることもできれば、場所を移動させて貸すこともできます。私のように30代ですでに2タイニー分くらいの金額を家賃に使ってしまっている人は全国にたくさんいるはず。タイニーハウスに住む人たちが必ず言う「Mortgage Free(住宅ローンを持たない)」とは「家に対して将来的な価値を求めない」という価値観のシフトだと思っています。土地を投資対象から除いて、今の自分に必要な家の部分だけに投資する。このパラダイムシフトは、とくに若者にとってより自由な人生設計を可能にします。

画像3

Image ©️ Living Big 自分でタイニーハウスを建てた木工作家さん。かっこいー!

今年、ある大学のオンライン授業に出させてもらう機会をもらったのですが、授業への感想をくれた学生さんたちが将来を心配し過ぎて、保守的に将来を捉えていることにびっくり。もしかして大部分の若者にとって、生き方の選択肢が昭和からアップデートされていないんじゃ・・・?

次は、タイニーハウスがもたらすこれからの新しい生き方のシナリオを考えてみたいな、と思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?