見出し画像

2020 Netflix ドキュメンタリー TOP5

デザインにも、仕事にも、タイニーハウスにさえ関係がない、ただ大好きなNetflixのドキュメンタリー作品からおすすめの5作品について書き残したいと思います。そうじゃないと、2020年日本にも帰れなかったし、あまりにもどこにもいかなかったので何も記憶がございません、で終わってしまいそうで。ありがとうNetflix、あなたがいたから2020年楽しかったよ。

The Social Dilemma 

元TwitterやFacebookのエンジニアたちが、いかに私たちを「中毒」にさせるように広告のアルゴリズムやUIを設計しているか暴露していくもの。SNSが広まってからアメリカは中学生たちの自殺率が約2倍になり、政治的な分断が埋められない状況になってしまっていても、それでもアルゴリムは企業に広告を出稿させて儲けるために、私たちをSNSにつなぎ止めようとする。「自分が見ているスマホの画面の先には、世界一優秀なスーパーコンピューターが私たちの行動と欲望を分析し、刺激している。それに勝てると思う?」というセリフのように、SNSを使うユーザー側の私たちはもう自分の意志なのか操作されているのかさえも曖昧になっている。Deep Learningによってもはやエンジニアたちにもそのアルゴリズムが制御できなくなっているのも恐怖。キーワードは「Manipulate (巧みに操作する) 」。いわゆるハードウェア(家電やカメラなど)と違って、ソフトウェア(アプリ)は、”確かな存在”がないからこそユーザーを中毒にさせて操つることでしか利益を出せない、そういう仕組みであることを覚えておきたい。

American Factory 

2019年の作品だけど2020年に見たので。結構地味なテーマだったのだけど強烈に印象に残った。アメリカの片田舎にある中国企業の工場で、アメリカ人のブルーワーカーたちが企業のメンバー(全員中国人)に対して賃金交渉のために過半数がとれるのかどうか?を追ったドキュメンタリー。労働者側は仕事の選択肢がない中で少しでも所得を上げたいが、過半数をとれなかった場合に解雇されることは避けたい状況。そんな中、企業の社長が工場を訪問し、アメリカ人労働者たちを目の前にして中国語で彼らは話す「この作業グループは来月には誰もいなくなりますよ。ロボットアームで全自動化するから。」この会話は、十数年前に中国でアメリカ人たちが中国労働者を前にしてしていたような会話じゃないだろうか。それがいま、真逆の状況になっている。アメリカが先導していたはずの「Globalism (グローバル化)」の行き先として、こんな逆転も想定していたんだろうか?いままでどんな仕事でも低賃金で引き受けてきた中国の逆襲が、すでにアメリカで始まっている。

Kiss the Ground 

2020年は地球温暖化の緊迫度を訴えるドキュメンタリーがいくつも出た年だったように思う。サンフランシスコの山火事で地獄のように赤くなった街の景色と合わさって、余計にその緊急度がリアルに感じられた年だった。植物がCO2を吸収して、その根と「Microbiome (微生物の集合体)」がその40%を炭素として土の中に留める重要な役割をしている、という話。土と言われると地球上に無限にあるように思えるけれど、実際に植物が育つのはTop soilと呼ばれる15-25cmくらいまでの範囲で、それが農薬を使用する大規模農業によって微生物が住めなくなるまで壊され、土がただの砂になり、砂漠化し、2050年にはそのTop soilがなくなってしまう可能性さえもあるそう。それが、よくSF映画で描かれる砂漠化して食料がなくなってしまった地球の姿。とくに鳥肌がたった見せ方だったのが、NASAが作成したCO2量の変化を世界地図で表したもの。1年のうちで、4月は地球全体が燃えるように真っ赤になり(大量のCO2が発生している状態)、なんと6月になるとどんどんとその赤が青に変わっていく・・・。そのデータを大規模農家の人たちに見せながら「6月、農家は何をしていると思う?」

David Attenborough : A Life on Our Planet


あのBLUE PLANETでおなじみのDavid Attenboroughが、人間が心地よく便利な生活のためにDiversity(生物多様性)をどんどんと犠牲にし、いま私たちが本気で行動を変えないともう取り戻せない状況になっていることを、あの語り口調で伝えてくれる。彼は20代からBBCの番組で世界中の野生動物の生態系やその魅力を伝えてきて、なんといま93歳。地球スケールでの生物多様性の変化を見てきた生きた証人。彼が子供だった1930年代はまだ地球全体の人口は23億人だったのがいまは75億人。3倍以上にふくれあがった人間が自分たちの快適性だけを追求すれば、彼が生きてきた時間の中で自然が急激に崩壊されていってもおかしくない。このドキュメンタリーでも、地球の未来を変えることができる重要な方法が「炭素を貯えられる土の健康を取り戻すこと、植物を植えること、農業を変えること」だったのが印象的だった。また、ネガティブに語られる日本の人口減少が「少ない人数の子供を持つことで、人口が安定している」というポジティブな面として表現されていた。「私たち人間がいようといまいと、どれだけ人間が大きな間違いを犯そうと、いつか自然や動物たちは自分たちで自身を癒すだろう。でも人間は、彼らと一緒に生き残れる智恵を持っているだろうか?」最後のチェルノブイリの「今」の映像に涙が出た。

Tiger King

先の4つがまじめだったので、最後はアホなやつで。コロナとトランプのために、非日常な日々を送らざる得なかったアメリカ人の癒し?だったであろう、このドキュメンタリー。非日常には、さらなる非日常を。狂気には、さらなる狂気を。トラを育てるビジネスに取り憑かれた変人たち。ドキュメンタリーなのに7話もあるし、フィクション映画よりも非現実。「このおばさん、絶対に元旦那をトラに食べさせてるやん・・・!」というおばさんやおじさんたちが平然とカメラの前に立ち、いかに自分が正しく、いがみ合う相手が間違っているかを語る。正義と悪ではなく、出てくる全員が悪。でも7話一気に見てしまった。


2021年、最初に見たNetflixドキュメンタリーは「Death to 2020」これも面白かった。今年も豊作でありますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?