定点としての死者:ミシェル・フランコ『ニューオーダー』
死者を定点に暴力を撮る。ここまで登場人物が主人公も含めて、”死”を準備させてもらえない作品もなかなかないのでは。この作品では、人間の生命の扱いにドキュメンタリー的な残酷さがこめられているのだった。
まるで、パチンとスイッチを切るかのように彼女の命の持続は途切れる。暴力は彼女の生をまるで陳腐な事実のように扱うのでした。そこに彼女が作品内における主人公かなんて、はたまたその彼女の母親かどうかなんて情状酌量の余地はないですから。ここでさえ人々の命は”陳腐化”されてしまう。そんな現実