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自選八十首

猿山を何時間でも見てられる君と仲良くなれるだろうか 

北鎌倉駅にいるって言われても昔みたいにすぐ行けないよ

だけどまあ今かもなって思えたらまた誘うからまた遊ぼうね

予測変換されるたんびに泣いちゃうしかわいいサラダを作って食べる

見つけると入ってしまうブックオフ愛ってなんだ愛ってなんだ

類型でほとんどのことはわかります スプリングハズカムかもしれず

重いじゃなくて重たいと言う 溢れ出す 君はシャワーを浴びただろうか

放課後のコートダジュール満室でシダックスまで歩いて行った

五年ぶり二度目で君に勧められやっと読んだらめっちゃよかった

告白をしたらじぇじぇじぇと返されてそれでフラれたことになってた

絵に描いたような雲だね いくつかの河口を示すグーグルマップス

シャワーの温度を手で確かめるシーンなどは何度描いても飽きないだろう

わざとじゃないよ古傷は光りつつ「アニメに出てくる写真は絵じゃん」

イヤホンは思い出になるイヤホンは思い出になる前に壊れる

混ぜられてしまった絵の具の苦しさを想像すればいつも眠れた

京都駅と新潟駅と博多駅の地下が記憶の中でつながる

バラバラの要素がそよぐ春風にいちばん聞きたい言葉は消える

追いかける速度において叙情的関係性が結ぶいるか座

起こすときキレられるのがちょっと怖い幼年時代に由来するもの

川面がね、もわもわわーってなっててね、キレイってゆうかなんかさみしい

君はさあ煙草を吸ったりしていてさ、ときどき一本もらったりしてさ

街灯が等間隔でありがとうたまにチカチカしててありがと

復縁するかしないか的なストーリーがわけわからんほど心に沁みる

ある日思った なんで捨てなきゃいけないのって なんで狂っちゃいけなのって

同じ風がふたつの頰を撫でていく手触りのある冷たさだった

長すぎて誰の役にも立ってない暗記ソングと君に幸あれ

間奏の長さがやけに湿っぽく一人と一人で歌うカラオケ

長いことベンチの下に置いてある折り畳み傘だれのなんだろ

夢に出てきた完璧なオムライス 殺すのがもったいないほどの

パーカーを羽織って歩いた夜がある ポーカーフェイス的な感じに

お墓だらけになった地球の夢をみる 食欲なくて青汁をのむ

ラブストーリーならそれでもいいだろう 夜中に広い公園に来て

後輩がどんどん仕事を辞めていく ずるして昼休みを長くとる

何かが何かに似ていることを語るとき人は最も雄弁になる

折り返し地点と言っても二周目と言ってもいいけど今そんな時期

やめちゃったことのリストを作ってさ君が寝てから眺めてるんだ

生きることはやめていくこと 大好きなこととか夢中になれてたことを

毎週のようにガストに集まってドリンクバーを飲んだ友だち

正直に言えば言うほどタメ口で子どもっぽいとなじられそうで

腕枕しているうちはここにいて オリオン座くらいしかわからない

私より細い体で持ち上げる観葉植物、夕陽を浴びて

あの虹に立ち止まらない人たちとおんなじでっかいビルではたらく

身につけた技がまったく通じない 街は冷たいまぼろしのよう

余ってるものをくださいそれだけで僕はほんとに生きてけるので

国道を歩いて丸亀製麺に行きたいそして帰ってきたい

生きていることがやさしい そんなところにほくろ? いや、拭いたら取れた

単著だす夢を叶えてくださいね(潜在的な君のファンより)

コーヒーが緑に光る きっとまだ私は愛されながら死にます

こだわりをぶつけることが怖くなり自分で淹れた紅茶飲み干す

歌にしたおかげで今も覚えてる青い車と冬とスカート

部屋がぜんぜん暖まらないと思ったら窓が微妙に開きっぱだった

湖にやばそうなものが浮いている 夢に出てくる白いふともも

奇遇だねって言い合うことが楽しくて雨の日だって君を殴った

乾かないタオル 視線の誘導を語るところでなんだか萎えた

早口で聞き取れなくってそれっきり雨の季節に思い出す人

最終話に急に妹あらわれるそれまでのなんか楽しい感じ

サイズ感が合ってないのが逆にいいって言いながらいつか探す生き方

晴れすぎた空が白くて野良猫の右脚すこし細く見えた日

台風が近づいてくるのがわかる まつげがゆれるまつげがるるる

毎日のように会ってた頃があり自分のじゃないたばこのにおい

透明な一輪挿しが割れたまま放置してたら馴染んだ畳

ちぎったりかさねたりしておもいだす不自然に安い物件を見る

会うだけで終えた気になる現実が世紀末ってうわさで聞いた

あのころはやさしさだって思ってて今もまだそう思ってるから

諦めを感じるときに夕焼は一瞬つよくつよく溢れる

歌うなら雨の早朝 踊るならおとぎ話の雪の箱庭

痙攣を見るのが怖い 黒猫が俺が渡るの待ってくれてる

戻っても戻ってもまた同じことなんならもとより悪くなってる

花火に感動して禁煙を決意する 二段ベッドで仔猫とじゃれる

あまちゃんを見ているのだが泣けてきて一旦ゆるキャン見て落ち着かす

丑三つの一瞬で来る返信の句点読点にぎやかそうだ

真っ直ぐな道に惹かれて目的の本屋へ行くのは明日にしよう

バランスが一番大事と言う人の僕の気持ちのわかっていなさ

できることもできないことも増えていく目の前がぼんやりとしてくる

ゆるせると思ってたのにゆるせないなるほどこれが実体験か

左目と右目の像を重ねたら浮かびあがって見えてくる差異

こわさない程度に崩す遊びだよ、ゆびさきそしてきみのてのひら

右足に全体重をかけるとき解放されている左足

ぼんやりと常に何かを思いつつホームの端をふつうに歩く

いつのまに失くしたのかすらわからないマフラーこれからもずっと無い

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