連作短歌「タイム・スリップはひとりで」
引き出しは壊れてしまった かつてには想像もつかなかった仕方で
みらいみらい蒙古タンメン中本がすべての首都にある未来だわ
なんとなく来てみてふたりで眺めてる前方後円墳 と距離感
生きている人が死ぬほど死んでいる人が産まれるほどのウザさで
彼が君、君が私たちわたしたち小動物って噛むの速いね
昨日より二〇グラム増えてる彼はいつかわたしも追い越してゆく
赤ちゃんが走る 雨がふらなくなって半年か ほとばしる二語文
もし僕に息子がいたらこうだろう 眼鏡が割れては泣いてるだろう
母の行くバレーボールのさいごの日 小学生のからだの匂い
小学校か中学校か高校の理科室からは線路がみえた
返すときまた会うために借りている! 図書室の横にトイレがあった
もし僕に娘がいたらそうだろう 髪を急に切ったりするだろう
二回目はすこし上手になることの忘れてみたい哲学がある
ずいぶんとながい独り言になってしまった迷惑はかけてない
「おい息子誇りに思え、父さんはテラスハウスにいたことがある」
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