連作短歌「牛腸茂雄/風の作法」
見るは入る 知ってるような息切れと知らないような風のきもちよさ
産まれたら双子だったら鏡見るときにびっくりするんだろうな
風になった私とここで分岐して私は私で歩き続ける
手の大きい女性に抱きしめられていたような五感の澱だけがまだ
一本の毛糸を輪っかにした指が川を蝶々を風を生みだす
私以外あっち向いてる瞬間に誰かが鳴らしたシャッターの音
さっき見た落葉はずっとそこにある 塵になるまでずっとそこにある
この視界どう考えても私のじゃないんだ、け、ど、な、雲。が。灰。色。
嫉妬とはあの子があの子を撮るときにどの子でもない私の視線
楽しすぎた楽しすぎた校庭の縁に並んでいた木々々々々
無邪気すぎた無邪気すぎた校庭の縁に並んでいた木木木木木
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