連作短歌「音楽室だった」(10首)
君が笑って僕も笑っていたときの音楽室のようなひだまり
はじめてを取り戻せない僕たちは数えることもやめてしまって
もう僕の言い淀むときの沈黙も待っていてはくれないんですね
覚え合うことはそれぞれ別だけどいつか一緒に忘れ合おうね
音漏れをしてるかどうか訊いてくる距離とか声とかさりげなさとか
さよならがいちばんエモい フラッシュの影がフィクションみたいに暗い
世界には君と似ている人たちがたくさんいるなと思えてきます
噓みたいな歌詞だったのでもう一度歌ってみたのが最後の夜だ
点だけで描いてある絵がほろほろと流れる川に見えて消えない
歌ってるように喋って喋ってるように歌って去る人、君は
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