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連作短歌

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2023年3月の記事一覧

連作短歌「おそい春」

誘い方が美しすぎて来てしまう 気遣いのフレームがたくましい 好きなものがいっぱいあっていいですね私は真似して言ってみるだけ 恋人の恋人と今この道を歩いているという不確かさ

連作短歌「人情」

殴られたこともないのにアラサーの入り口へ、いま、アムロ行きます 混んでいる店が嫌いな客としてどういうふうに応援しよう 知り合いが絶対いない居酒屋でクラフトビール飲むの最高

連作短歌「メンスト」

メインストリートのことをメンストと呼ぶのもなんか許せなかった 二階から入って一階から出れば昨日と同じ人が立ってる 自信あるふうに話せばだいたいはなんにも考えなくてもいけた 人類学の講義を受ける元カレも今カレもいる大教室で 水筒にコーヒー入れているけれど水ですよって噓ついちゃった 新横浜駅の円形歩道橋みんなハッピーで終わる昼ドラ 地震の揺れ、そのうえを走る電車の揺れ、そのなかにフリーターである俺 雪の絵の紺色きれい ごめんなさい在廊時間は避けて来ました 木綿でも

連作短歌「エシカル」

夕方まで寝てる日とかのないヒトがパンダの横に展示されてる 泣いているところを見られそうになるのが好き 夜の高速道路 インスタに写り込んでる親指を見ているだけで暮れてゆく冬