見出し画像

能登半島で発生した過去の被害地震

過去に能登半島周辺で発生した地震について,『日本被害地震総覧599-2012』(https://www.utp.or.jp/book/b306587.html)や地震調査研究推進本部の評価(https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismicity_annual/major_act_2023/)をもとにまとめました.どのような被害が発生しそうかなど,参考になれば幸いです.

ここに挙げた地震は,いずれも2024年1月1日16時10分に発生した地震(M7.6)よりも地震の規模としては小さいものばかりです.より大きな被害が発生している可能性もあります.


「石川県能登地方」「能登半島沖」を震源とする地震のうち,震度5または震度5弱以上を観測した地震は,1919年以降2023年12月まで,12個発生しています.そのうち6個は2020年以降のものです.

「石川県能登地方」「能登半島沖」を震源とする地震のうち,震度5または震度5弱以上を観測した地震(気象庁震度データベースより)

2023年能登半島沖の地震

2023年(令和5年)5月5日 M6.5
石川県珠洲市で震度6強.石川県の珠洲市長橋で4 cm、輪島港で10 cmの津波を観測.死者1人、負傷者 37 人、住家全壊 15 棟、半壊 13 棟、一部破損 514 棟など.

石川県能登地方では2018年頃から地震回数が増加傾向で,2020年12月から地震活動が活発になり,2021年7月頃からさらに活発になっていた.

地震調査研究推進本部「能登半島沖(*)の地震活動 2023年5月5日、M6.5」https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismicity_annual/major_act_2023/#a20230505

総務省消防庁 令和5年 災害情報一覧「令和5年05月05日 能登半島沖を震源とする地震による被害及び消防機関等の対応状況(第23報・R5.11.15更新)」https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/20230505notohantouoki23.pdf

平成19年(2007年)能登半島地震

2007年3月25日 M6.9 深さ11 km
穴水市,輪島市,七尾市で震度6強のほか,石川県,富山県,新潟県で震度6弱〜震度5弱.死者1名,重軽傷356名,住家全壊686棟,半壊1740棟など.山崩れや堰止めも生じた.火災はなかった.
津波注意報が発令された.半島部の震度によって,通常の津波(震源付近での海底の隆起・沈降によって発生するもの)よりも早く富山湾で津波が発生した.これは富山湾が地震動で揺れたことによって発生した津波と考えられている.

地震本部による評価

金沢大学地震学研究室「2007年能登半島地震の発生メカニズムと地形地質構造」

1993年能登半島沖の地震

1993年(平成5年)2月7日 M6.6 深さ25 km
輪島市で震度5.石川県で重傷1名,軽傷28名,火災1件.水道の被害(断水)約2000戸,電気の被害(停電)約3000戸.道路の被害142か所,鉄道普通1か所など.新潟県で軽傷1名.被害は珠洲市を中心に発生.輪島で最大波高26 cmの津波,小木港でも小津波.地盤沈下による建物被害もあった.

地震津波監視課・地震予知情報課・金沢地方気象台「1993年2月7日能登半島沖の地震調査報告」験震時報,58,97-114.https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/kenshin/vol58p097.pdf

1933年能登半島の地震

1933年(昭和8年)9月21日 M6.0 深さ20 km
輪島市、伏木町,富山市で震度4.七尾湾沿岸が強く揺れた.石川県で死者3名、負傷者55名、家屋や土蔵の倒壊12棟など.富山県で負傷2名.

1896年能登半島の地震

1896年(明治29年)4月2日 M5.7
土蔵倒壊2棟,家屋破壊15棟など
189

1892年能登の地震

1892年(明治25年)12月9日 M6.4,1892年(明治25年)12月11日 M6.3
高浜町で家屋・土蔵に破損(9日).羽咋郡堀松村で死者1名,負傷5名.全壊2,火打谷村で家屋・土蔵に破損(11日).

1729年能登・佐渡の地震

1729年8月1日(享保14年7月7日)M6.6
珠洲郡,鳳至郡で死者5,潰・損家791棟,蔵の潰れ16棟,山崩れ31か所など.輪島村で593戸のうち28軒潰れ.海岸で土砂崩れあり.

東京大学地震火山史料連携研究機構「1729年能登半島の地震の際の有感地震数」→https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/project/eri-hi-cro/topics/1729noto.html

1614年越後高田の地震

1614年11月26日(慶長19年10月25日)
越後高田の地震とされ,日本海側に津波があったとされてきたが,大地震とされる割には史料が少なく詳細は不明な地震.京都付近の地震とする説もある.

『日本海における大規模地震に関する調査検討会の報告書』(https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/daikibojishinchousa/)の図7には,能登半島から佐渡にかけての海域をこの地震による津波の波源域としているが,その出典は,羽鳥・片山(1977,https://doi.org/10.15083/0000033217)であり,宇佐美(1975)の被害地震の表から日本海側の地震を抜き出して検討したものである.上記のような震源に関する不確かさに注意する必要がある.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?