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Kindle出版中堅者の小説制作秘話 ライト文芸とKindleの関係



さて、2023年も師走となり、調整作業に忙しくなってくるこの頃。筆者も年末調整と言わんばかりに今年に挑戦した様々な事に蹴りをつけております。そんなわけで、2023年12月13日にAmazon Kindleにて『君は心の海に溺れる。』を発売しました。今年は挑戦の年ということで、計3作品を刊行することができました。ハイ拍手!

Amazon.co.jp: 君は心の海に溺れる。: 青春日常ミステリー (ライト文芸) eBook : 灰橋 仁寿

3作品も作っているとですね、いろんなことが見えてきます。今回はいろんなことの中でも、『君は心の海に溺れる。』のジャンルである、ライト文芸に焦点をあてて漫ろ話をしていこうかなと思います。

ライト文芸とは

ライト文芸とは、ライトノベルと呼ばれる若年層向けに制作される広義の小説ジャンルの中の一つです。ライト文芸で取り上げられることの多い題材としては、青春モノであったり、ティーンの恋模様などが多く、若者のモラトリアムに働きかける物語が多い傾向にあります。そのため、硬派な読み物というよりも、エンタメ色がとても強い傾向にあります。

青春モノのライト文芸は、回顧や憧憬に働きかける作品が多く、青春に思いを馳せるべく社会人が読む傾向が高くなっています。

『君は心の海に溺れる。』をKindleで売るには

Kindleというプラットフォームは非常に癖が強く、なんの後ろ盾もなく小説を売るのには向かない環境であると言えます。というのも、Kindle出版ではノウハウ本の市場が強く、それ以外のジャンルの本は影に隠れてしまいがちになってしまうからです。

Kindle出版は不良在庫を抱える心配がないため、一般人がノーリスクで本を出版できる環境となっています。そのため毎日無数の人々が本を出版しています。では、皆さんはどんなジャンルの本を出版しているのか……。それはノウハウ本と呼ばれるジャンルです。

例えば、写真に関する本がKindleで出るとします。その作者は写真歴20年のベテランです。しかし、趣味として写真を続けているため、界隈での権威性や知名度は高くありません。ただ、時間に裏打ちされた技術は持っています。その作者は自分の技術を他の人にも知ってほしい、そのノウハウをお金に変えたい、などの理由から参入のしやすいKindleでノウハウ本を出版するに至りました。

このような人がKindleには無数に存在しています。人間は長い時間を生きていれば、何かしら卓越した技能を持つものです。その技能は希少性も高く有価値であると言えるでしょう。だから彼らはそれに纒わる本を売るのです。人の数だけKindle本が出る。いや、一人が何本も出版することも珍しくないので、人の数以上に出版しているのかも。

このノウハウ本の市場は大きく、尚且つ深いと言えます。Kindle本のコミュニティに参加してみてください。毎日毎日ノウハウ本の宣伝の嵐です。極々稀に絵本作家の方や小説作家の人もチラホラと見かけますが、まぁ、一ヶ月に数人程度の出現率です。その数は推して知るべし。

話を戻しましょう。ノウハウ本の市場が活発であるため、Kindle出版の小説は埋もれやすいというのは、一部事実です。宣伝をするにも何をするにも、濁流のように生まれては消えていくノウハウ本の数々は非常に疎ましく感じてしまうこともあります。

しかし、KindleはAmazonの運営で成り立っています。ということは、いくらノウハウ本の市場が大きく見えようとも、それは近いものが大きく見えるのと同じように、全体から見るとそこまで市場としては大きくないのかもしれません。つまり、そこまで脅威に考えなくても良いのでは?と。

そこで、私は今一度自分の小説と向き合い、ジャンルの選定から洗ってみることにしました。そして、その結果、ライト文芸に行き着いたのです。

ライト文芸とKindle


Kindleで本を購入する人はどんな人だろう。まずこの考察から初めなければなりません。ノウハウ本がKindleの市場で賑わっている理由を考えたとき、そこがヒューマンライブラリーのような空間を形成しているからであると考えました。確かにその形質はあるでしょう。では、小説において、Kindleはどのような形質を持っているのか。

私が考えるに、Kindle小説は年齢層が20代後半から40代半ばまでの会社勤務の方が多いのではないかと。理由は強弱様々あります。まず、初老の方でKindleを読んでいるのをあまり見かけない、という私個人の経験によるものです。彼らは電子書籍ではなく、各々が紙の書籍を持参し、電車の中で読んでいる印象が強いです。とても脆弱な意見ですが、考えの補強には十分ではないかと思います。

また、紙の本だと表紙や挿絵などが他の人へ晒される危険が強い一方、電子書籍は造りの関係上、事故が少なくなっています。そのため、作品の性質に関係なく、どこでも楽しみやすくなっています。私個人としては誰がどの小説を読もうが大変結構だと思うのですが、世の中には大の大人が可愛いキャラの表紙や挿絵が入っている小説を忌避する人もいます。電子書籍は外面を保つためにも、必要な処世術なのかもしれません。

そこで、ライト文芸です。通勤時に電車の中で本を読む20代から40代半ばの方で、尚且つ電子書籍の強みを生かした強固な情報遮断が必要になってくる環境。これらが活かされるジャンルはライト文芸であると結論づけました。

硬派なミステリーやSF小説などは、電車内で読んでいても周囲の人からの興味関心は強くないでしょう。しかし、ライトノベルは違います。いまだに子どもの読むものという先入観が強く、小説界隈でも一歩引いている印象が強いこのジャンルだからこそ、電子書籍では強いのではと考えました。

Amazon.co.jp: 君は心の海に溺れる。: 青春日常ミステリー (ライト文芸) eBook : 灰橋 仁寿

まとめ

これまでの3作品は、ホラーミステリー、SFミステリー、青春日常ミステリーと続いていました。ミステリーという軸は置きつつ、どうにかして市場の傾向を掴もうと奔走している毎日です。

ライト文芸がKindleでどれだけ戦えるのか、ということはこれから緻密に確認していかなければなりません。今回の出版から得られた経験を糧にして、これからも精進していく所存です。


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