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18きっぷでJR東海満喫

2022年も「青春18きっぷ」が発売されることになった。「ムーンライトながら※」が廃止されショートカットできる快速系列車が少なくなったが、「鈍行列車の旅」には一定の需要はあるみたいで、今回も「北海道新幹線オプション券」とともに発売と相なった。

※大垣から東京までを直結した夜行快速列車。座席タイプの特急列車を使用し、夜行バス感覚で寝ながら移動ができた。静岡県内は快速がほぼ無くこれで一気に行動範囲が広がるため、臨時列車ながら人気が高かった。しかし、コロナ禍の煽りで休止したまま廃止された。

5回分の1回目の行き先は愛知、岐阜方面。故郷からも近い場所で、米原駅で目にするJR東海のオレンジの快速、普通電車は最早見慣れたもの。ただ、JR東海の乗り放題きっぷのバラエティがけっこう少なく、関西、西日本ばかりじゃ飽き足らず「青春18きっぷ」が数少ない行けるチャンスとして記念すべき1回目の行き先とした。ポピュラーなものから豪華仕様まで様々な東海の在来線は非常にバラエティ豊かだった。

統一感ある電車

京都から新快速で米原まで、そこから乗り換えたのは普通列車の大垣行き。

「313系」と言い、1999年から2010年代にかけて500両以上が製造、米原から東海4県、長野県内などエリア内で架線があったらほぼどこでも見れる。

製造期間の長さや輸送事情に応じてマイナーチェンジが多々ある。行き先が幕からLEDに変わってたり、座席の変化、関西線(下写真)や飯田線など輸送力の小さい路線はワンマン対応で押しボタン、整理券箱、運賃箱付き、静岡では全車ロングシートという輸送力重視の形態もいる。

車内は関西のJRでは見慣れた座席配置や窓割り。座席は新幹線を彷彿とさせるブルーの落ち着いて爽やかな色合い。何気に世代がカブっている「関西の新快速」にもよく似てる。

余談だが、岐阜が舞台となった映画『聲の形』でもこの電車と思しきドア横スペースで腰掛ける主人公2人の姿が描かれていた。予告をCMで見た当時の僕は、ほぼ「地元民的電車」が「京アニクオリティ」で描かれたリアルさに興奮したのを覚えている。

今回もいろんな曲を聴いたが、「緑黄色社会」はメンバー全員愛知県民、「ヨルシカ」のn-bunaさんは岐阜県民ってことでこの2つを中心に「アーティスト縛り」の選曲ってのもやってみたりしてひと味違う音楽と列車の旅だった。

持て余してる豪華普通列車

名古屋駅まで来て名物「きしめん」で腹ごしらえした後、今度は中央西線で「日本一暑い街」こと多治見を目指す。

8番線に止まっていた快速瑞浪みずなみ行きは東海道線とは違うオレンジを強調した313系とオレンジと緑の211系の組み合わせ。前後で色が違う上、全く別物のような車内だ。まずはビビットなオレンジが際立つ左の313系から。

ワインレッドの高級感ある座席、通路上の電光掲示、デッキのような仕切り、ロールカーテン、大型の窓、さらにボックス席にはテーブルまで設置されている。「②自由」という文字があるが、これは名古屋と中津川を結んだ快速「セントラルライナー」が全席指定だった時の名残。故に特急を思わせるぐらいの豪華仕様となっている。関西人からしてみれば京阪電車の赤い特急にもよく似てる。今は通常仕様と混じって普通、快速として活躍しているが、ラッシュ時に名古屋から瑞浪で運行される座席指定列車「ホームライナー」では設備を生かした活用がなされる。

大阪環状線チックな最新鋭車両315系の投入で今月から一部が関西線で三重県内にも進出している。なかなか持て余してる感も否めないが、ここまでの設備を運賃オンリーはなかなかすごいし、会えると疲れが吹っ飛ぶかも。とはいえ、「ホームライナー」ではこういう設備が打って付けの役目を果たしている。

相方はどんなんかなぁ

名古屋を発車し、しばらく乗っていて、今度はペアを組む211系は「どんなんかなぁ」と乗り移ってみた。

豪華仕様とは打って変わって、JR京都線や環状線、私鉄お馴染みの「ザ・通勤電車」なオールロングシート。JR発足直後の生まれで色褪せはけっこう出てはいるが、モーターの爆音と相まって、良い味出してる。しかもこの爆音は琵琶湖線や奈良線で聴き慣れた全く同じモーター。

国鉄末期だった80年代後半から都心の東海道線や宇都宮線、湘南新宿ラインなどで2階建てグリーン車を連結して走っていたお馴染みの顔だった。これらからは姿を消し、群馬や甲信地方で細々と活躍している。東海地方でも同じ年ぐらいから中央西線や静岡などで活躍はしてきたが、315系により淘汰が始まっている。この過渡期を逃すまいと撮ってる人は沿線や名古屋駅にはわんさかいるぐらい。「密不可避」になる前の今のうちに乗って、録っておいて良かったと思える。

地元である米原駅で見慣れたオレンジの電車ではあるが、ここまでエリアを満喫したのは初めてだ。滋賀ではまず見られない多種多彩な電車や始まった過渡期の貴重な光景を目撃することができた。お得意のリノベーション術で国鉄生まれをまだまだ生かす西日本とはまるで違う新型で比較的統一されたJR東海はどこかいい刺激となった。車両以外でも、キビキビしたしっかりした指差しやタブレットサイズの「列車運転支援システム」、下手でも必ずやる英語肉声放送なども西日本の乗務員さんとは違う姿で似て非なるし、JRを名乗れども全く別会社だから。

多治見から先はとあるアーティストに想いを馳せて列車旅することになるがこれはまた次回以降。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。