開会式を見て思ったことなど

東京2020パラリンピックが昨日幕を開けた。開会式では「空港」をテーマに、片翼の無い飛行機をパラアスリートやハンディキャップを持った人々に見立てた物語を軸に、はるな愛さんや歌手坂本美雨さん、ギタリスト布袋寅泰さんなど豪華顔ぶれが揃う。障がいを持つダンサーや障がいを糧に独自の奏法を編み出したギタリスト陣など多様性を随所に盛り込んだ演出となった。テレビラジオ双方で見ていた僕も目と耳を奪われるように見聴きしていた。

ハンディキャップを持つ人とそうでない人が一緒になって、この物語を描いていた姿は理想の世界を象徴しているようで、それを乗り越えて自分自身を表現しているのは美しいものを感じられた。

LGBTQへの支援が広がっていたり、ユニバーサルデザインをあらゆる乗り物に取り入れるなどハンディキャップの格差を是正する動きや寛容になる雰囲気はあるように感じられる一方で、偏見の強い政治家の発言や障がい者を狙った痛ましい事件など発展途上感も否めない。さらに、ハンディキャップに対する過保護な接し方も少なからずあって、当事者を悩ませていたりする。

僕自身は、ハンディキャップがあろうとなかろうと相手のことを思うのが第一に考えている。健常者である自分自身だってそれで嫌になった過去があるから、ハンディキャップがあってもできることを否定するようなことは一緒なんだと感じる。

とは言ったものの、僕は「サービス介助士」の資格を持つ駅員さんのようにプロではない。以前綴った目の不自由な人の対応では少ない知識で悩ましいことが多かった。なんとかご希望に添えることは達成できたが、プロセスを振り返るとやっぱり不十分だ。

1つの経験で学びだから否定するわけではないし、人間誰しも完璧できるはずがない。ただ、いろんな境遇の人と付き合うことが価値や寛容を育んでよりいい接し方が身につくと思う。

多様性が叫ばれているが、どこか一呼吸置いたり、いろんな人々と付き合っていく中で自分も相手も、そして誰にでもより良く付き合ういい方法が見つかると思う。そして、独りよがりな善意を提供するよりは、何を求めているかを読み取ったり聞いたりすることが大事かと思う。心の面でも、ハンディキャップでも、災害でも。そんな話はよく聞くし、自分だって何も求めてないものを貰っても…と思うから。

多様性が広がるのはとてもいいことだが、やり過ぎではそれが意味を成さない。ニーズや思いやりを大事にしていく方が誰にとっても良いのかと思う。

最早パラリンピック関係なくなってるが、時々覗いたり、パラアスリートを取材するNHKリポーター3人が感じたことに耳を傾けたりして、今大会を楽しみたい。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。