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滋賀と鉄道を愛した写真家

「長浜鉄道スクエア」は初代長浜駅舎、北陸線電化記念館、長浜鉄道文化館からなる施設で、あのD51や北陸線で活躍した電気機関車ED70の実車や、鉄道を通じて栄えた長浜の歴史を学ぶことができます。

そんな「長浜鉄道スクエア」では鉄道写真家清水薫追悼写真展「滋賀・琵琶湖を巡る鉄道風景」と題して写真展が開催されていて、見に行ってきました。

”追悼”とあるように清水さんは2020年4月、脳出血により56歳という若さでこの世を去りました。写真展では生前に撮り貯めた中から滋賀の四季折々の風景を駆け抜ける列車の写真を厳選して展示しています。

その写真展を見た感想やその日にあったちょっとした思い出、びっくりしたことを綴ります。

滋賀を愛し、鉄道を愛し

清水さんは滋賀県草津市出身で地元を拠点に活動されていたことから、滋賀県内で撮ったものが多くある。(その他、全国各地で撮った写真も多い)

バックに琵琶湖や比良山系、伊吹山などの自然と列車を絡めたものや冬の湖北や湖西線で撮った写真では雪深い大地を激走する列車、融雪のスプリンクラーから噴射される水を蹴散らすように走る冬の東海道新幹線など…

清水さんが愛する列車が走るのバックを美しい湖国の風景が彩っているこれらの写真達は清水さんの真骨頂とも言えると僕は思う。

同じ滋賀育ちとして、同じく鉄道を愛する者として、ここまで美しく、心揺さぶられる写真は唯一無二だと思う。それ故なのか見ていて、思わずウルッときてしまった。

館内には、清水さんの遺影とともに寄せ書きノートがあり、僕も作品への思いの丈を全て綴った。書き終わるとスタッフさんから清水さんの奥様からのメッセージが印刷された遺影を頂いた。そこには寂しい思いとともにファンへの感謝の思いが綴られていた。

清水さんは享年56歳。技量があって、この先も良いものを撮ってくれるだろうと皆が思っていた矢先の突然の訃報。これに接したとき僕は惜しくて、寂しかった。しかし、ここに来れたことで清水さんの作品の美しさを直で見ることができた。もっと早くこの感動を知りたかったぐらいだ。そして、より作品が大好きになった。カレンダーも買ったし、クリアファイルも持ってるし、癒しにしようかな。

清水さん、本当にありがとうございました。安らかにおやすみください。

スタッフさんの思い出話

清水さん作品のカレンダーを購入した後、少しばかりスタッフさんと雑談した。スタッフさんは白髪の女性でSLに馴染みがある世代だそうだ。

最初は写真展に対する僕の感想を語っていたが、SL北びわ湖号の話から、スタッフさんの思い出話が始まった。

元々は北海道のご出身で幼い頃はSLが全盛期の頃だったそうだ。おまけに親戚にSL機関士がいて、運転台に乗せてもらったこともあるそう。当時はSLを撮りに来る人々に不思議そうな目で見ていたというのだ。

続けて、北海道から上京した大学時代に話は変わる。里帰りのときは、上野駅から夜行急行「八甲田」に、青森からは「青函連絡船」を乗り継ぐなどして向かっていたという。なんだか、僕には「津軽海峡・冬景色」を連想させる光景が頭に浮かんだ。そして、「青函連絡船」「八甲田」も一時代を築いた列車で僕は聞いて興奮した。

その他にも、SLのあるある話やご当地ドリンク「ガラナ」の思い出、オホーツク海沿いを走った絶景の路線、友達で酪農の跡取り男の子の逆転劇、牛乳の話、汽車土瓶、冷凍みかんなどなど綴るとキリのないぐらいにたくさん喋った。

スタッフさんは「年配の方とは話が合う」とのことで、確かに我々世代は「?」となる人が多いことでしょう。ただ、僕はガラナも汽車土瓶もテレビ、ネットで吸収し、SLのあるある話は父方の祖母などから聞いたことがあったし、冷凍みかんも給食で食べたことがあった。そんな知識量の多さと想像力のうまさなのか、十分に話を飲み込めた。

楽しくて、学びにもなったし、なにより、貴重なお話を聞かせて頂き、ありがたかった。

なんで分かったのーーー!?

「長浜鉄道スクエア」を後にし、長浜駅へ向かい、駅前のショッピングモールに入ろうとしたとき、僕の苗字を呼ぶ声が聞こえた。振り返ると、まさかの高1でクラスメイトだった女の子とその息子さんだった。

僕はマスク姿で、メガネも高校時代の銀縁から黒縁で大きめのメガネで、「知り合いは絶対誰も気づかんやろう」と思っていただけにビックリだった。なぜかは分からないが、それっぽく感じて試しに声を掛けてみたというところだろうか。。

彼女は僕のインスタを結構見てくれているようで、息子さんが鉄道好きもあって、「へぇーそーなんやぁ」と学びになっている様子。

ビックリはしたけど、嬉しかった。

逸れちゃいましたが…

今日1日の出来事も一緒に綴ってしまいましたが、清水さんの写真展は非常に見応えあって、感動しました。写真展は12月28日まで開催しています。気になった方、清水さんに想いを馳せたい方は是非とも見に来てはいかがでしょうか?


ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。