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週刊!リハマガ! ~整形リハビリの考え方~

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人工股関節全置換術後の歩行 「意外に多い歩行障害の残存に対し、何を見て何に介入する?」

変形性股関節症(以下:股OA)は股関節の重大な疼痛や障害を生じさせる原因となる疾患です。45歳以上の4~9%が症候性の股OA(症状が存在するOAのこと)を抱えていると考えられています。 症候性の股OAでは、症状を管理するために保存療法や投薬などが用いられます。しかし、保存的介入でも症状が緩和、軽減しない末期の股OA患者に対しては、人工股関節全置換術 (以下:THA) が適応となることもあります。 THAを実施することで、痛みの軽減、股関節機能の回復、生活の質の向上します。

膝関節内側に広がる痛みの正体 ~見逃された伏在神経~

膝関節内側部痛を引き起こす組織として内側側副靱帯、鵞足、半月板などがありますが、今回は伏在神経と膝関節内側部痛を考えていきたいと思います。この伏在神経の障害による、膝関節内側部痛は臨床上よく出会うので、解剖、症状、評価、介入について説明していきます。 1.伏在神経の解剖大腿神経はL2~L4の神経根から発生し、大腿三角形の鼠径靭帯のすぐ下で分枝します。伏在神経は感覚枝であり、大腿部、膝関節、足関節、足部に至るまでの内側面に神経支配を供給します。 また、膝関節周辺で膝蓋下枝を

小殿筋の多彩な役割

小殿筋は大殿筋や中殿筋の深層に存在し、関節包に隣接しているため、股関節の安定性に重要と考えられています。また、股関節の外転運動だけでなく、関節包の動きを引き出す役割もあると考えられており、小殿筋には多彩な役割が存在する可能性があります。 今回の記事では、”小殿筋”にスポットライトを当てて、機能解剖や歩行時の役割、関節可動域制限との関係性などを考えていきたいと思います! 1.小殿筋の解剖と機能小殿筋の起始は腸骨外側面の前殿筋線の前方で、停止は大転子の前面(Anterior

尺骨神経障害を評価するための3つのポイント ~尺骨神経はどこで障害されている?~

尺骨神経は腕神経叢より、分枝し上腕~前腕にかけて走行します。尺骨神経は走行中にいくつか絞扼されやすい部位があります。 中でも、肘部管で尺骨神経が絞扼される肘部管症候群(Cubital tunnel syndrome:CBTS)は手根管症候群に続いて2番目に多い神経絞扼性障害と報告されています。 今回の記事では、臨床でも意外と出会うことが多い、尺骨神経絞扼障害について「肘部管」「Struthers Arcade」「ギヨン管」の3つのポイントを中心に記載していきます! 1.

上腕三頭筋に介入し屈曲と外転可動域を獲得せよ!

臨床で肩関節疾患の肩関節屈曲、外転可動域制限はよく出会う問題の内の1つです。肩関節屈曲可動域制限と言っても、筋肉、滑液包、関節包など多くの組織が関与するため、ひとくくりに考えてしてしまうと危険です! 今回の記事では、上腕三頭筋と周辺組織の関係性から、肩関節屈曲-外転可動域制限について考えて行きたいと思います! 上腕三頭筋が肩関節屈曲や外転可動域制限に関与するといわれると少し疑問に思われるかもしれませんが、上腕三頭筋の詳しい解剖や機能、周辺組織との関連を考えると理解すること

前鋸筋への介入をする前に…~効率を上げる下準備~

前鋸筋への介入はスポーツ選手や肩関節疾患がある患者さんでは実施されること多いと思います。例えば、スポーツ選手(オーバーヘッドスポーツ)であれば、肩甲骨の安定性を改善するために実施されるかもしれません。 また、肩関節周囲炎で腱板機能が低下している場合やPainful arcが認められるような患者さんでは、肩甲骨の動きを引き出すために前鋸筋への介入が選択されるかもしれません。 僧帽筋と前鋸筋のバランスを改善させ、協調的な肩甲骨の動きを引き出し、肩関節可動域の改善や腱板筋の収縮

足関節背屈可動域制限 ~前方組織の影響見逃していませんか?~

足関節の背屈制限は前方組織と後方組織の両方から影響を受けます。足関節後方組織が短縮していたり、癒着が生じていると足関節背屈時に距骨が後方に動かず(滑り・転がり)、足関節背屈可動域制限が生じます。 足関節背屈可動域制限に関与する後方組織には下腿三頭筋やアキレス腱、長母趾屈筋、Kager’s fat padなどが挙げられ、背屈制限が存在する場合、介入の第一選択肢とされることが多いと思います。 足関節の前方には3つの筋肉(前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋)の腱が存在し、足背動脈と

なぜ生じる?外反母趾

外反母趾は多くの方(特に女性)に発生しやすく、発生すると足部の痛みやバランス能力の低下、歩行障害など多くの問題に繋がります。外反母趾は一度発生するとなかなか改善しにくいため、外反母趾を発生させないための予防が大切になります。 外反母趾の発生に寄与する要因として、”変えることができる要因”と”変えることができない要因”があります。セラピストが介入することができる要因は限られていますが、今回の記事では、足関節背屈可動域制限と扁平足・開帳足がどのように外反母趾の寄与するのかについ

僧帽筋の硬さは肩こりを引き起こすのか?~そんな単純明快な話ではない~

日本における肩こりの有訴者数は男性が2位、女性が1位です。コロナの影響でデスクワークの時間が増え、スマホの普及なども影響して、国民病かつ現代病が肩こりだと思います。 肩こりには定義が定められており、「後頭部や肩、肩甲骨にかけての筋肉のこわばりによる不快感や鈍い痛み」と定義されています。つまり、痛みだけでなく、感覚的な問題も肩こりに含まれるということです。 肩こりは原因がわからない肩こりを一次性、原因となる疾患がある肩こりを二次性に分けています。今回の記事では、原因となる疾

母趾外転筋の機能から介入を見つける!~足部形態・歩行への影響~

足部内側縦アーチ(MLA)は骨構造、靭帯支持、足部外在筋および足部内在筋のすべてがMLAの支持に寄与しており、歩行中の回内やMLAの低下を制御する役割を担っています。 MLAに寄与する構造が障害されると、過回内やMLAの低下が生じ、衝撃吸収機能が適切に作用しない可能性があります。そのため、組織に加わるストレスが増大し、シンスプリントや足底腱膜炎などの二次的な障害を引き起こす可能性も考えられています。 また、MLAが低下すると、足部が柔らかい状態となります。そのため、歩行の

週刊!リハマガ! ~整形リハビリの考え方~ 上肢編

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踵骨下脂肪体 ~機能と痛みの関係~

以外かもしれませんが、踵の痛みは整形外科領域では一般的な症状であり、年間100万件以上の外来患者を占めていると言われています。成人の有病率は1/10人で意外に多いことがわかると思います。 踵の痛みを引き起こす組織には足底腱膜や踵骨下脂肪体、踵骨、末梢神経、腰部神経根などがあります。踵の痛みにに一番多く関連するのは足底腱膜になりますが、今回の記事では踵骨下脂肪体に着目して記事を記載していきます。 まず始めに「脂肪体とは?」について、私の考えも含めて記載していきます。脂肪とい

足関節捻挫のRISK

足関節捻挫は日常生活やスポーツにおいて、一番生じることが多い怪我の内の一つです。ですが、足関節捻挫の一般的な考えは”そんなに大した怪我ではない””病院に行かなくてもすぐに良くなる”といったような考え方が多いのが現状です。 実は足関節捻挫は簡単に考えてはいけない怪我になります。足関節捻挫では前距腓靭帯(ATFL)の損傷が多く生じます。MRIを用いて急性足関節内反捻挫の損傷部位を調査した報告によると、96%に前距腓靭帯の損傷がみられ、踵腓靭帯の損傷も80%と高率であったと報告さ

長母趾屈筋の基礎知識 ~足関節背屈制限への関与~ 評価・介入編!

以前の記事で、足関節背屈制限と長母趾屈筋(以下:FHL)の関係性とFHLの基礎解剖や役割について記載していますので、そちらも是非ご覧ください。 今回の記事では、私が臨床で実施しているFHLの評価と介入方法についてご紹介していきたいと思います。 1.FHLの評価FHLの問題を疑うためには、評価が大切になります。私は臨床で問診や足趾の状態、関節可動域などを重要視しています。 問診では、スポーツ歴(バレエやサッカー)、捻挫などの足部の外傷歴、秋レス腱障害や三角骨障害の有無など