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ミーターの大冒険 第四部 コンポレロン 第4話 「ジャーナリスト」

116ミーターの大冒険 第四部 コンポレロン 第4話 「ジャーナリスト」

あらすじ
 ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、シンナの軌道上、カルガン以来、初めての惑星探索を果たした。はじめはドローンで、そしていよいよ、ミーターは地表に到達し、人間社会にも扮装して紛れ込んだ。人間たちは、透明なドームの鋼鉄都市に住みはじめていた。それはトランターの繁栄した時代のような外界の宇宙空間から身を守るような形態であって、ターミナスやその周辺星域の惑星とは異なっていることに二人(?)はいわゆる懐古趣味というような違和感をおぼえた。さらに、コンパーやジスカルド・ハニス、オリンサスの縁故がいないのには何故か落胆したが、ミーターの洞察力はにわかに鋭さを増していく。
 ミーターの鋭い質問に怯えたり、避けたり、拒否するコンポレロンの人々に、あるものの影を感じたのであった。不死の従僕の呪縛が、セッツラー最初の移民惑星コンポレロンに強烈にかかっているのを察知したからであった。
 それに、故郷の星の忌まわしい出来事にも関係があるらしい。
 ミーターは、その人物(?)が、ハリ・セルダンの友人であったとされるチェッター・ヒューミンたる人物に思い当たった。
 ミーターは、チェッター・ヒューミンについてのイルミナの長いデータ説明にすぐに口を挟んで、歴史消滅の張本人の思惑に話しを持って行った。

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イルミナ ミーターさん、「ジャーナリスト」とはね、一般的に言って、「放送記者」などであって、メディアに社会の時事をレポートしたり、それに主観を加えたライター、その編集をするエディター、などの総称を言うのよ。いつの世でも大衆の側に立って、時代の風潮をよく読み、批判的精神をもって政治全般のあるべき理想を提言もする職業を言うわね。

ミーター アルカディアのお父さん時代に、そのお父さん(トラン・ダレル)博士の極く親友で夜な夜な会のメンバーの一人に、ヴィジ・キャスターのジョウル・ターバーがいた。ずんぐりして唇の厚い、一見して醜男(ぶおとこ)に見えたものだったが、当時ターミナスでは誰でも知っているジャーナリストであった。彼の政府批判は人気があった。
 ジョウル・ターバーの源泉は何処にあったか?アルカディアは知っていたんだ。彼は、なんとあのベイル・チャニスの弟子だったんだ。チャニスがコンポレロンで老後を安楽に過ごした時のね。そして不思議にもジョウル・ターバーの弟子がジスカルド・ハニス。チャニスの孫の。

イルミナ 何か面倒臭い関係ね。こんがらがるわね。じゃあ、もっと簡単にそのマジックの技というシロモノを解いてくださらない!

ミーター まだわからないのか?そのからくりは、全部、あの「不死の従僕」のせいさ。コンポレロンとの深い関係から考えるとだね!
 ハリ時代のチェッター・ヒューミン。彼は、時の宰相、エトー・デマーゼルの仮の姿。ハリ・セルダンを誘導し、影で支えたR ・ダニール・オリヴォーそのもの。
 あらゆるデータから蓋然的に俯瞰すると、おおよそ13000年前に彼は天の川銀河の「歴史消滅」を敢行した。その理由について確固とした理由を突き止めなければならない。

イルミナ まあ!つまるところねぇ、ミーターさん。ここコンポレロンの痕跡を探せば、オーロラに辿り着くっていうことなのね?

ミーター まあ、そんなところだ!「消去の達人」の正体が。そしてコンポレロンからシリウス星系に向かって、その先にオーロラがあると考えるのが妥当だ。そしてその先に目指すアタカナがあると思いたいね。

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