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満月しか美しいと思えない先生

休職をする前のお話。

私は医者に帯同し、夜遅くまで患者さんのご自宅へ診療に回っていた。(在宅医療の現場で、医療従事者の医療行為以外のサポートをするお仕事をしていた)
信号待ちをしていたとき。ふと見上げた先に、大きな三日月がとても綺麗に夜空で輝いていたもんだから、思わず先生に声を掛けた。

私「先生!見てください!今日は月がとても大きくて綺麗です!」

先生「なんだ。満月じゃないのか。」


がっかりした声が後部座席から聞こえた。こんな一言が、石原さとみさんが結婚したときと同程度の衝撃を私に与えた。満月しか美しいと思えないその感性の貧しさが悲しかった。きっと彼は常に自分に完璧を求めてきた人生だったのだろう。

"満月のみが美しいとする人間"と"すべての形の月を美しいとする人間"が同じ空間で一緒に仕事をしている。仕事において彼は常に完璧にこなすタイプで、私は細かいことは気にしないタイプ。美意識が異なるから仕事のスタイルも異なるのだとこの件で納得した。


甘えのように聞こえるかもしれないが、人間も仕事も完璧でなくてもいいと思う。完璧を目指して努力することは素晴らしいと思うが、多少不完全さは許容されてもいいのになといつも感じてしまう。特にここ日本では、どの地域に行っても、コンビニ店員さんまでも接客が丁寧だ。適当にスマホでもいじりながら鼻歌歌っといてくれ〜と心の中で叫んでいる。ちょいとテキトーな感じで肩の力抜こうよ、日本社会。


ところで、今日は十五夜満月だそう🌕
きっと先生は今日の満月は綺麗だと言ってあげるのだろう。

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