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節目の折に

書きそびれていたが、今朝書くことにした。

9月14日に母が死去。

9月25日に父が死去。

母を愛してやまない父は

母の死から11日目にこの世から旅立った。

今頃、かの地で

二人仲良く新しい暮らしを始めていることだろう、きっと。

母は認知症が進行し末期の状態だったが

同じ老人ホームで暮らす父のことだけは

わかっていたようだ。

そんな母を6つ年上の父は歩行困難になっていたとはいえ

高齢にも関わらず携帯メールが打てるほどクリアな頭で

いつも母の行動を気にしていた。

肺の調子が悪くなり、死線をさまよった3月。

父は入退院は繰り返したものの

母を残しては旅立てないという気力が勝ったのか

担当医も驚くほどの奇跡的回復をした。

母は一人で車いすを繰りホーム内を走り回り

職員を困らすほど元気だった。

7月に悪性リンパ腫が判明してからは一気に様子が変化した。

母の死は、父には知らせなかった。

父は4月から寝たきりになり

7月くらいからは視力のない生活に入っていた。

聴力も弱く、手探りでのコミュニケーションだった。

そんな父に母の死は酷である。

ところが、母の亡くなった日の夜

父は部屋の壁に向かい、大きな声で誰かと話していた、という。

日頃、温和な父らしからぬ大声は、職員も驚いて父の部屋に駆け込んだ。

幻覚か。。。

それから数日後

父は、急に、食事も体を動かすことさえも拒否し始めた。

「おれはもうしばらくだから、何もしないでくれ」

自分の死を覚悟したような言葉を残した。

私は、その言葉を聞いて、父の死生観を垣間見たように思えた。

そして、何よりも母への深い愛情を感じた。

父は、25日の早朝に静かに息を引き取った。

多分、母のもとへ急いだのだろう。

90歳を過ぎても熱い夫婦愛を持ち続けた両親。

人としての敬意さえ感じた。

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