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ようこそ、世界へ


また1年が経った。
それはわたしにとって大きな事実で、現実だった。

小さい時から何故か25歳になる前に死ぬと思っていた。
死因は考えたことがない。
ただ漠然と、わたしはいなくなると思っていた。

なのに、生きている。まだ息をしている。
不思議で、でもそうだろうなと納得しているわたしがいる。
簡単に死ぬことはできないし、消えることもできない。
わたしのことだ。いろんな言い訳を作って
死なないのだろうと思っていた。

だって、死は怖いことだから。

先の見えない闇が怖くて、今でも独り泣く。
死という何か分からないふわっとしたものがずっと心にあって、
たまに深く考えてしまう。
それを誰かに言うことは何故かできない。
言うべきことではないと、薄っすら分かっているから。

未来なんて誰にも分からない。
たくさん聞くけれど、本当に分からないのか。
生まれた時から人の生き方は決まっていて、
その通りに動いているだけではないのか。
そう、小説の登場人物みたいに。
答えはどこにもないけれど、それを探したがるのが人。

ーーーーー

死ぬと思っていた自分が生きている姿を想像できたのは、
誰かと生きるようになってから、
独りではないのだと実感したからだった。
わたしが死んだら悲しいと伝えてくれる他人がいた。
身内ではない人の言葉は響いた。

親がいなくなれば悲しい、そういう感情はある。
いろいろあったが、この人はそういう人と割り切った。
割り切ることができた。
だからこそだろうか、親に言われても何も感じない。
自分の生きる意味を見つけられなかった。

他人の言葉は、私の未来を少しだけ見せてくれた。
この人の隣を譲りたくない、年を重ねても一緒にどこかに行きたいとか。
そういった小さいけれど大きな気持ちが死ぬことを妨げた。
昔より死が怖いことになった。

私はまだ、息をしている。

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