おめでとう。

盆の最中、また1つ歳をとった。
そう、このタイトルは自分に向けて発した言葉なのだ。

謙虚なので控えめなタイトルにしておこうと思う。決して、絵文字なんて入れない。そんなことをしたら、恥ずかしさで血反吐を吐いてしまう。何がおめでとうだなんて記述しない。でも、1行目でもうバラしてしまった。そう生まれたのだ30年前に。嬉しいから、語る。

いつも、誕生日はお盆だ。そりゃ、毎年生まれ直すことなんてないんだから当たり前といったら当たり前なんだけど、お盆と言ったらみんな実家に帰省する。当然ぼくも帰省をするのでこの誕生日にリアルタイムで友達と会うことはほぼない。それでも、何人かの友人たちは「おめでとう」LINEをくれたり、おめでとうの伝書鳩を飛ばしてくれたり、おめでとうのテレパシーを送ってくれる。いや、LINEだけだ。

実家に帰省するなり母も祝ってくれた。
「おめでとう、あんたももう29歳やね。早いわぁ。あんたこんなちっこい体で…」と以下、無限に出産の頃の話が続いていく。そして母ちゃん。もう、30歳なんだよ。おれ。「早いわぁ。」ってあなたがボケる方が早そうで心配です。

母はぼくが大学生くらいの頃、誕生日を忘れて旅行に出かけてしまったことがある。そんな調子なもんだから、来年は32歳くらいになっていてもおかしくはない。

* * *

高校生からの友人にIがいる。Iは高校、大学と同じでなんなら教育学部の専攻(コース)まで一緒だった。そして、誕生日が同じで血液型も同じ。辛うじて顔は違う。好みのタイプは全然違う。

Iはぼくの変な人生をよく知っている、貴重な友人だ。大学を卒業してからは2、3ヶ月に1回くらい連絡を取り合っていたのだけど、最近は誕生日にしか連絡がこない。

「こない」というのはぼくがあんまり連絡をしないタイプで大体いつもIからの連絡だからだ。本当に申し訳ないんだけど、連絡するのは苦手で返事をするのも苦手なのだ。で彼は生存確認のため1年に1回連絡をくれている。基本的に生きていることを信用されてないらしい。

今年もIから誕生日おめでとうのLINEがきた。ちょうど1年ぶりだ。ぼくも、Iにおめでとうと送った。彼からの文面に何故か涙が出てきた。

「誕生日おめでとう。とうとう30やな。ネガティブにならず、覚悟を決めてがんばろう。」

こんな短いやりとりだった。いかにもIらしい文面だ。最近「覚悟」について悩んでいたのを見透かされていたのだろうか。

短い文面には十分すぎるほど、何かが詰まっている気がする。

そんなに友人が多くはないのだけれど。人間関係が得意な方ではないのだけれど、人との繋がりは大切にしないといけないと強く感じた。

他にも、職場の同僚には何故か「元気出して」とおめでとうの連絡がきたり。教え子から「大丈夫ですか」とおめでとうの連絡がきた。

いろんな人のいろんな言葉の「おめでとう」をもらったので、もう少し生きていけそうな気がする。

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